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イリアと姫と休憩室と

イリア16歳♪

姫17歳♪

イリアは広間に戻る気になれず、けれどもこのまま中庭を彷徨う気にもなれず、かといって馬車がなくては帰る事も出来ないので、どうして良いか分からずに広間の入口でウロウロしていた。


「イリア?何してるの?」


声を掛けて来たのは妹姫だった。

王子と同じ金髪碧眼の、黙っていれば絶世の美少女。彼女は華やかなドレスに身を包んでいるものの、長く伸ばした髪を何時も通りに一つに纏めて高く結わえた残念な印象だった。誰か注意する人間は居なかったのだろうか?


「疲れたので、広間に戻りたくなくて・・・。それより……この髪型はないですわ」


近寄って来た姫のサラサラな馬のシッポをくいくいっと引っ張る。


「じゃあ、休憩室に行きましょ。この髪の何が良けないのよ?皆のセンスが分からないわー」


周りの人間は注意したようだ。姫のセンスこそ分からないわー。


姫に連れて行かれた部屋には何人かの女性が長椅子などに腰掛けていた。踊り疲れたり話し疲れたりして休みたくなった女性が休憩出来る部屋だと教えてくれた。少し離れた所に男性用の休憩室もあるそうだ。初参加のイリアは知らなかったので姫に会えた事は幸運だった。


ここで兄の仕事が終わるのを待つことにしよう。イリアも椅子に腰掛け給士から水を貰った。

姫は空き椅子を退かして隣に立つと壁に寄り掛かり、出会った時から手にしていたグラスの酒を呷った。良い呑みっぷりである。もしかして、兄だけではなく(友達)の嫁ぎ先をも心配しなければならないのだろうか……?最も要らぬ心配であったが。


「イリア~見たわよ~」


酒のせいか少し頬を赤くした姫がニヤニヤしながらイリアを見下ろしてきた。

逆にイリアは顔を青くした。



一体何を見られたというのか。

南の次男坊か宰相子息か王子の側近か。

側近に見られたか聞かれたか不安だったのが、やっと安心に変わったというのに。


「何を見たというのかしら」


動揺したのを気取られぬように、けれども姫から視線を外して言う。水を口に含んで落ち着かせる為に舌でゆっくり味わう。


「兄上と良い雰囲気だったじゃない」


何故かグラスを頭の上に載せられた。



あ~。

王子か。

王子とのダンスに見られて困る事はない。

相手が王子だったから注目されるのは解っていた事だし。

てか。

手を添えられているとはいえ、(そこ)にグラスを置かれると動けないんだが……。


イリアが返事に困っていると、姫はそれを照れと受け取ったのか、更に笑みを深めた。


「あんなに真っ赤になってっ!貴女、可愛いかったわよ!!兄上も楽しそうだったし」

「か、可愛いって!!」


姫に可愛いなんて言われるとは思ってなかったので、思わず声を上げてしまう。

頭の上のグラスは直ぐ様姫の手に戻ったが、他の女性達の注目を集めてしまう。


「あ~、本当に、可愛いわねぇ。兄上の気持ち分かるわ~」


頬を赤く染めて見上げたイリアの頭を、姫はグシャグシャと掻き回した。


「ちょ、ちょっと。止めてっ姫さまっ」


崩れる!

崩れるからっ!!




「出来れば義姉じゃなくて、妹にしたいんだけど」


ぽつりと呟いた姫の言葉は髪型に気を取られていたイリアには届いていなかった。










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