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月下のお茶会、二つ目の秘密2

誰にも言えない。

言いたくない。

友達にも相談出来ない。

きっと目を輝かせて根掘り葉掘り聞いてくる。

父は勿論母にも言えない。

求婚されたなんて。

母はきっとその話を婚約まで進めそうだし。

兄より先に結婚なんて、無いでしょ。

兄は兄で……どんな顔をするのだろうか。

怒る?喜ぶ?

シスコンだから反対してくれるかな?

そうだと助かるけど。

わたくしはまだ結婚する気ないし。

そもそも……好きじゃないし。

だから、これは。

絶対、誰にも秘密にしないと。

南の次男坊(正騎士)に求婚された事と、王子の側近(今、従者)に告白された事は。



「ごめんなさい」と言ったのに。王子の側近はにこやかに微笑んで「はい。だけど、諦めませんよ」と返して来た。さっきまでの青白い顔は何処へ行った?

彼は掴んでいた腕を緩め、爪が食い込んだ跡をそっと撫でた。


「僕も頑張りますから覚悟して下さいね」


一体何を頑張ると言うんだ。ツッコミたくなるが我慢する。余計な藪は突付くまい。

覚悟なんて、出来ればしたくないのだが……。

自分の方こそ、覚悟を決めたような晴れ晴れとした笑顔で宣わないで欲しい。キラキラ笑顔が胸に突き刺さって何故か痛い。


「寒い中、ありがとうございます。僕も膝掛けか何か用意するべきでした……そしたら。そのマントを脱いで貰えたのに」


彼は少しだけ眉根を寄せて残念そうに言った。

告白されて断った気まずい空気が若干流れてイリアは安堵の溜め息を吐いた。


「大丈夫ですわ。それにもう戻るところでしたし」


そう、告白されそうになったから逃げようとしたのだ、広間へ。だが、立ち上がった時に腕を捕られて……今に至る。多分、逃げようとしたのは彼にばれている。

覚悟しろと言うのは、『逃げるな』という事だろうか。


逃げたい。

考えたくない。

今は、未だ……。


「あの……差し支えなければ僕がマントを返しておきましょうか?どなたのですか?」


イリアに胡乱な目で見られて、王子の側近は慌てて(かぶり)を振った。


「あ、あの、僕は仕事で裏とか行けますから……近衛隊も見つけやすいかな、と思って……」


イリアにじぃっ~と見詰められ続けて、王子の側近の声は段々小さくなっていく。彼は自分の心の内を見透かされた様で居たたまれなくなった。実はマントの主を知りたかったのだ。そう、恋敵の名を。

そうとは知らないイリアは安堵していた。

彼はマントの主を知らない。

つまり、見てない、聞いてない。

安心しきったイリアは花も綻ぶ満面の笑みで答えてしまった。


「適当に返すから大丈夫ですわ」


王子の側近の顔は真っ赤に染まったのだが、イリアは無視して別れの挨拶を述べた。






サブタイトルを考えるのが大変です。

適当に『秘密』で良いやー!と しちゃって頭を悩ませました。

昨日の自分を殴りたいです。


秘密は求婚と告白です、いちおー。

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