恋愛守備範囲の意味を考えてみる、宰相子息1
宰相子息視点です。
閑話の次の日辺りです。
十四歳は子供だ。
十六歳も子供だ。
十八歳でも悩む所だ。
体つきが大人でも、精神が幼ければ手を出す気になれない。
大人の体が欲しいのではなくて、大人の中身が欲しいのだ。
『大人の女』じゃないと恋愛(結婚は含まれず)をする気にはなれない。
その気に『なれない』のか『ならない』のか……両方だろう。
だから。
悪友の妹・イリア(十四歳)には興味ない。
全くもって興味ない。
なのに。
一昨日双子の美女を連れ立って、妹ちゃんに声を掛けただけで、何故怒られなければならないのか理解出来ない。
手を出した訳でもないのに……。
「手を出さなくて良かったな。三日間不眠不休の訓練を課す所だ」
それ……職権乱用だよな?
三日間不眠不休って……二十五歳の俺、死ぬよな?
何、俺殺したい程嫌われてるのか?
「……そうかもな」
ポツリと言ったけど聞こえてるからな。
本気……?
じゃ、ないよな 。
うん、悪友は意地が悪いな。
本当、酷い男だ。
妹ちゃんに関すれば、輪をかけて酷くなる。
ホント、 この妹狂いは……。
「女狂いには言われたくない」
む。
兄妹揃って……。
俺のどこが女狂いだと言うのか!
全く……。
いい加減、悪友は俺を信用して欲しい。
妹ちゃんは恋愛対象外だと、何度言ったら分かるのだろうか。
確かに女ぐ――女好きかも知れないが、ロリコンではない訳で。
悪友は安心して、俺を妹ちゃんの元へ送り出して欲しい。
そして悪友もいい加減、他の女に目を向けるべきだろう。
今は未だ子供の妹ちゃんも、いずれ嫁に行くのだから。
しかし。
子供の妹ちゃん相手に、若干遣り過ぎちゃった感は否めない。
おかしいな。
あんな風に言うつもりは無かったのだが……。
子供相手に大人気なかった。
妹ちゃんの態度が酷かったとはいえ、それを真っ向から受け止め、同じように返すとは……自分らしくない。
普段なら、優しい大人の……加えて言うなら宰相補佐の仮面を被って。
優しく語り掛けるように、微笑み、お菓子の一つでもプレゼントして、後々何の禍根も残さぬように取り成すのだか……。
昨日は、ついむきになってしまった。
つい、からかいたくなってしまった。
悪友を見れば、悪友の薄紫がかった銀髪が目に入る。
書類を眺める藤色の瞳は細められて、妹ちゃんのきつい濃い紫色の瞳を思い出させる。
要は、良く似ているのだ。
悪友と妹ちゃんは。
だから。
子供の妹ちゃん相手でも、ちょっとむきになって、からかいたくなるのだ。
普段、悪友相手にしているみたいに。
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