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恋とはどんなものかしら、と王子は思った1

恋とはどんなものかしら、と王子は思ったとか思わなかったとか……。

王子は悩んでいた。




何故、五歳も年下の()の事が気になるのだろうか。

彼女は十二歳、俺は十七歳。

彼女はまだまだ子供で、俺は次の新年には成人する。

何を悩む必要があるのか。

そもそも、何を悩んでいるのだろうか……。



もしこれが二十三歳、男盛りの宰相子息なら、十二歳は勿論、結婚適齢期の十六歳でも守備範囲ではないと、開き直って(?)言えるのだろうが(彼は恋愛や結婚に対する明確な意識があるため)。

王子は女性に向かって行くというよりは、向こうから来るため、あまり自分の好みのタイプなどを考えてこなかった。好み云々の前に、宰相子息以上に『王妃』に合うか否かの目で女性達を見定めていたからだ。

今まで『王妃』に合う女性が居なかった訳ではない。でもこの女性(ひと)て良いのか、と迷う。

迷ってる内に、その女性は「殿下は私に気がない」と諦めて次の男に行ってしまう。行ってしまえばそれはそれで縁がなかったのだと、王子も次に目を向ける。何しろ次から次へと女性はやってくるのだから、『王妃』になれたかもしれないけど迷う女性に構ってる暇は無い。次に会う女性(ひと)こそ、最も『王妃』に相応しい女性かもしれないし……。


だが、しかし。

迷ってしまうのは、本当は心の底で『愛』を求めているからではないか、と王子は思う。

本当は、『王妃』か否か、だけではなく。

この女性(ひと)と一緒に居たいのか、愛せるのか、愛されたいのか、と……。

だから、その女性が『王妃』としては良くても、『妻』としては心惹かれず、迷い、結局彼女は去って行き……その後も同じ事を繰り返す。


宰相子息は言う。

「まだ成人前だから焦らなくて良い」のだと。

「色々な女性と付き合えば良い」のだと。


焦ってはいない。

色々な女性と付き合っている。

皆、綺麗で話上手で優しくて気が利くし少しスキンシップのきらいがあるが、総じて気立ての良い女性ばかりだ。自分には勿体ないくらいの……。

なのに。


『王妃』か否か、は分かるのに。

自分の心の事となると、途端に分からなくなる。


妹姫は簡単に誰それが『好き』だと口にする。

楽しそうに幸せそうに笑いながら。

一体何を(もっ)て『好き』だと分かるのか。

『好き』は嬉しい事なのか……?


宰相子息は曖昧に笑う。

いつか突然降って来る、と笑う。

その笑みは少し哀しくて。

『好き』とは苦しい事なのか……?



『迷う』のは結局、『好き』も『恋も』も『愛』も分かっていないからだ。




はたまた王子視点でスミマセン。

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