求婚者と書いて、マッチョと読む1
読んでくださってありがとうございます♪
パソコン慣れしてないので、文字入れるのって大変ですね。
山の上の国の都は山の頂にある。
王宮の南側に、赤い煉瓦の屋根の家々が建ち並んでいる。
西側に騎士の為の訓練所がある。
「お茶にしようか、イリア嬢」
言い終わるやいなや、王子の従者達がテーブルと椅子を二脚運んでくる 。
五人いるのに二脚って。
王子は椅子を引いてわたくしに座るよう、促す。背後では騎士達が筋肉を鍛えたり、筋肉を苛めたり、筋肉をマッサージしたりしている。
「殿下。他の方々が訓練中なのにお茶にするのは如何なものかと……。」
やんわりと断ると、 王子はわたくしから背を向けて二、三歩歩いた。
怒ったのかな?
「きゅーけぇー」
よく通る声で休憩と告げた。
え。勝手にいいんですか?
案の定広場で訓練中の十数人の騎士達は、突然休憩を与えられて困っているようだ。
何かを探すように辺りをキョロキョロと見回している。
王子が再び休憩を求めたので、仕方なさそうに腰を降ろしたり、寝ころんだり、水を飲んだりしている。
これでいいんだろう?と言わんばかりの満面の笑みで、王子は振り返った。
王子は御年二十一歳、金髪碧眼の美青年だ。
柔らかそうな金の髪は、太陽の光を受けて燦然と輝いている。
翡翠のような瞳は明るく澄んで、薄い唇から白い歯が覗く。
明朗な笑顔が、とてつもなくキュートだ。
でも、マッチョ。
王子は今度は、わたくしの腕を取って椅子に座らせようとする。
急なことにわたくしは対処できず、引っ張られるまま、王子の腕の中に収まってしまった。秀麗過ぎる顔が近い……のと、筋肉隆々を服の下に感じて。
「1人で座れますわっ!!」
力一杯押し戻したら、王子は尻餅をついた。
なななななっ何やってんのっ!!
まるでわたくしがマッチョより力持ちみたいじゃないか!
真っ赤になったわたくしは真っ青になった。
「風邪か?これでも被っとけ。」
重低音と茶色い布が頭の上から落ちてくる。
何を勘違いしたのか知らないが、風邪のせいで顔を白黒させた訳ではない。
「暑いので結構ですわ。」
今は初夏だ。マントは必要ないので、突っ返す。
「ちっ」
ちっ、って何だ!ちっ、って!!
横を向いた顔の頬に赤みが差していて、どうやら拗ねているようだ。
うっ、少し可愛い……かも。
彼は正騎士。
他の三人は兼業騎士だが、彼は騎士を生業としている。
一応、南門を守護する街の侯爵家の次男坊だ。すでに跡取りとなる兄がいるので、恐らく一生騎士だろう。
若干二十歳で、親衛隊副隊長を拝命している。
この訓練所にいるのは、訓練の為だけではなく王子の護衛の為でもある。
正騎士は、この四人の中で一番背が高く肩幅もがっちりしている。
黒髪赤眼の美丈夫だ。
後ろの髪は項までの長さなのに、前髪は長い。目に掛かっている。
切れ長の赤く鋭い瞳を隠しているようだ。
凄艶で美しい瞳なのに勿体無いと思う反面、見つめられたらきっと逃げられないとも思う。
でも、残念ながらマッチョなのだ。
誤字脱字とかあったら、申し訳ないです。
明日の夜(11日)にも、更新できたらと思います。
宜しくお願いします!
王子と正騎士の年齢を訂正しました(2016.8/5)。