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|公爵家嫡男《側近》とイリア5

公爵家嫡男《側近》 14歳

イリア13歳

王子18歳


これにてやっと側近視点過去編が終わります。


「――殿下の、ですか?」


イリアさまは形の良い眉を寄せました。桜色の唇をきゅっと引き締めました。


う。可愛いいです。


「ダ、ダメですか?」


王宮の渡り廊下に沈黙が落ちます。

鳥の鳴き声が聞こえてきます。

不味いことを言ってしまったようです。

お茶会でしょうか。招待でしょうか。

え、と・・・殿下のこと、でしょうか。


どれも不味いことであるような、ないような。

断られそうな雰囲気に思わず僕は捲し立てました。


「イリアさまに是非僕の淹れ紅茶()を飲んで頂きたいのですが生憎僕の実家はご招待出来るほどの屋敷ではなく。かといって北の侯爵家にお伺いするのはちょっと・・・」


僕達は世間話をする仲です。友達ではありませんし、勿論恋仲でもありません。

未婚の男子が未婚の女子の元を、それも実家を訪れるというのは、かなり勇気の要ることです。僕にはまだ無理です。僕にはまだ自信がありません。ましてや・・・僕の実家には巫女&メイド(おねえさん)が居る訳でして・・・何を言われるか分かったもんじゃありません。


それに。

何より。

僕は殿下を応援しなければならない(・・・・・・・・・)のです。



「それはそうですわね」


 イリアさまが僕の言葉の続きを拾ってくれました。


「はい。それに王宮なら勝手知ったる、と言いますか、僕も給仕するのに慣れてますし・・・イ、イリアさまも来やすいですよねっ!」


『イリアさま』と初めて直接呼んでしまいました。

噛んでます。恥ずかしいです。顔が赤くなります。気付かれませんように。


「――それで何故、殿下もご一緒に?」


いえ、分かってますけど、とイリアさまの唇が小さく動きます。


分かっているけど。

頭では理解してるけど。

心は分かりたくない・・・という所ですか?

イリアさま。

殿下が苦手、なんですね。


あれ。

あれれ。

なんで。

口が弛む。


ダメ。


「あのっ。やはりっ。王宮なので。殿下とお茶して頂くのが一番最適なんです!」


ダメダメ。

隠さないと。

ダメダメダメ。

笑っちゃ・・・ダメ。


僕はもう背中を半分近く折り曲げてお願いしました!


「お願いします!!僕の淹れた紅茶()を飲んで下さいっ!!!」


「わたくし、貴方の、紅茶()を採りますわ」


僕は思わず顔を上げました。イリアさまの唇が拒否の言葉を紡ぐのを見たくなかったのですが、今はイリアさまの笑顔を見たかったのです。


「わたくし、とおっーーても美味しい紅茶()を楽しみにしてありますわ」


笑顔でした。

笑面夜叉・・・でした。







僕「お願いします!」

イリア(これで右手を出されてたら、お見合い大作戦?)



実家に招きたくない理由を追加しました2016・6・1

笑面夜叉・・・見た目は笑顔だが心の底で悪い事を考えていること。表向きは柔和だが心の底では陰険だったりすること。

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