|公爵家嫡男《側近》とイリア4
少し側近暴走です。
殿下が恋の病に罹った!!!
って!
何考えてるんですかっ?!
相手は子供ですよっ!多分僕より年下!
あんなに沢山のお姉さんから熱烈アプローチを受けているのに、その中から選らばないで、何故、殿下を避けた女の子に恋しちゃってるんですかっ!
深呼吸深呼吸深呼吸・・・。
えと、これって一目惚れ?
将来を見越してのコトなとかなぁ。
侯爵令嬢らしいし・・・。
今。手を出さなければ許される範囲?
いやいやいや。
今の年の殿下が子供のあの子に恋しちゃってるんだよっ?
手を出すとか出さないとかの問題じゃないよね。
ちょっと年齢差があり過ぎ、というか・・・。
殿下って本当は『お子様が好き』なのかなぁ。
はっ!
いけないいけない。
つい巫女&メイド達の影響が・・・。
考えないようにしなきゃ。
うん。
殿下が『お子様が好き』とかどうでもいいよね。
本当に殿下がイリアさま・・・のこと好きなら・・・ちゃんと応援しないと。
うん。
応援しないと・・・。
従者の務めだもんね。
僕は十四歳になりました。
イリアさまとは王宮で出会ったときに少し世間話をする仲です。
今日も他愛ない話をしました。ほんの小さなことでもイリアさまのことを知れると嬉しいのです。
イリアさまは紅茶をよく飲まれるそうです。
「どんな紅茶がお好きなんですか?」
「甘くない紅茶ですわ」
「えっ・・・と、甘くない、ですか?」
僕は種類を尋ねました。アールグレイとか茉莉花茶とかジョルジとか。でも返ってきたのは『甘くない』です。
はて・・・?
イリアさまはフフっと笑って小首を傾げました。
同じ角度になった目と目がぶつかります。
どうやら僕の真似をして首を傾げたようです。
僕は可愛くないですが(男ですから当たり前です!)、イリアさまのその様は大変可愛いらしいです。
「ケーキとか甘い物を食べる時に紅茶を飲むでしょう?紅茶も甘かったらくど過ぎるから、お砂糖を入れないようにしましたの。その内甘い紅茶は苦手になってしまって・・・」
「だから種類は何でも良いのてすわ、その時その時で楽しむの。今のお薦めはさっぱりとレモンティーですわ」
にっこり笑ってくれたイリアさまは本当に可愛いです。僕に、笑ってくれるんです。
「レモンティー!良いですね。僕も、好き、です」
あれ。
言葉が上手く出ません。
「今、僕は殿下の紅茶を淹れさせて頂いているのですが――」
「まあ素敵!!とっても似合いそうだわっ!!」
何が似合うのでしょうか?
それはさておき、咳を一つ。
「僕の淹れた紅茶を飲んで頂けませんか?」
「――――喜んで」
花の咲いたような笑顔です。
僕の心臓は高鳴って何も言えなくなってしまいました。ガンガン響いて五月蝿いです。
言わなくちゃいけないことがあるのに……。
深呼吸深呼吸深呼吸……。
「あ、ありがとうございます。それで、あのっ。是非とも、殿下のお茶会にご招待させて頂けませんか?」
僕は殿下の従者です。
殿下の従兄弟で公爵家嫡男ですが、ここでは、僕はただの殿下の従者です。
紅茶を淹れる係です。
イリアさまに僕の淹れた紅茶を飲んで頂きたいので。
吝かではございますが、殿下を利用させて頂きます。
殿下のお茶会なんて存在しないので、お茶を飲む機会を事後承諾で作って頂きます。
まあ、二つ返事で許可くださるでしょう・・・。
うん。
あれ。
胸が痛いな。
側近は執事の格好が似合いそうですね。
王子の従者の紅茶とかテッパンです!
今日はもう一話、投稿したいです!
貴族っぽいし を 侯爵令嬢だし に変更しました。
巫女&メイドにルビを お姉さん とふりました。
イリアの語尾を訂正しました。2016.2.22
紅茶の種類などを変更しました2016・6・1
アールグレイはフレバーティー(香りづけをした)でセイロンティーは産地から。オレンジペコーにはブレンドティーとしての銘柄と等級(OP)の二つの意味があるそうです。オレンジの味は関係ないようですね。ジャスミンティーは中国茶のフレバーティーでジョルジはロシア産のストレートティーです。
産地はインド、スリランカ、ケニアやトルコ・・・と続くようですが、ヨーロッパ産は見当たらず・・・。
異世界で鎖国してたり流通が鈍かったりすると食糧事情や文化もおかしなことになっていきますね・・・うーん大変だぁ。こういうのしっかり考えている人、凄いですね。尊敬します。わたしもしっかりしないと。