|公爵家嫡男《側近》とイリア1
側近視点・側近語りの過去話です。
まだ側近になってないので、サブタイトルは『公爵家嫡男』にしてみました。
僕は公爵家の嫡男で十三歳になります。年の離れた弟妹がいます。
王都から見て東北の方に住んでいます。そこは神殿と、僕の家族、家人一家、神官たちが暮らす屋敷(皆一緒の家です)しか無い寂しい所です。
僕はそこを守る公爵家の嫡男ですので、いずれ父の跡を継ぐことになります。
でも大分先の話になりますので、今は殿下の従者その2として勤めさせてもらいながら色々な事を勉強しています。
先輩である従者その1は三十代既婚で、先日待望の女の子が産まれたばかりです。なので、僕を一人前に育ててさっさっと引退してやる!と宣言され、日々厳しく教育されています。従者その3は僕より年上ですが、僕の方が従者歴は長いので後輩になります。今は先輩と後輩で夜勤を繰り返しているので(僕は年齢的に夜勤禁止だそうです)、引退出来ずとも早く僕を一人前にしたいようです・・・一人前云々ではなく年齢がダメなんですけど、ね。
さて。
僕がイリアさまに初めて会ったのは、殿下の従者として訓練所にお邪魔していた夏の暑い日でした。
僕はまだ見習い騎士ではなかったので、殿下や他の騎士の方々を見学していました。
美少女の見学者がいる!と、僕と同い年頃の見習い騎士たちが騒ぐ以外はいつもと変わらぬ光景でした。
殿下がその少女の元へと丘を登って行くので、僕と護衛の騎士は慌ててその後を追い掛けました。
彼女は本当に美少女でした。銀の髪がキラキラと光り輝いていて、濃い紫の瞳は夜を映しているようで、神話に出てくる女神さまはきっとこんな感じなのかなと思いました。
僕の周りには年の近い女の子があまり居なかったので、少しドキドキしました。同い年の姫さまは、殿下の後を追って走ったり木に登ったり木剣を振り回すような、男の子のような女の子でしたので、白いドレスの彼女は余計に『女の子』という言葉がピッタリに感じました。
とても可愛らしい印象でした。
僕自身よく「可愛い」と言われるので、あまり好きな言葉ではありませんが彼女には大変似合っています。僕に「可愛い」と言った大人たちに、本当に可愛いというのは彼女みたいな女の子の事を指すのだと言いたい気持ちです。
彼女が、『可愛らしい』のは見た目だけでした・・・。
あ、声も可愛らしかったです。
僕もよく高くてほんわり?していて優しい女の子みたいな声、と言われるのですが(勿論嬉しくありません、男ですから)、彼女の声も高くてどこか大人びていて澄ましている感じの可愛いらしい声でした。
でも、口調がきつかったです・・・。
残念です。
護衛の騎士が言うには、生意気だそうです。
僕は訓練所の脇まで水を取りに戻りました。
何でも『ねっちゅうしょう』という病に罹らない為に、こまめに水を飲む必要があるそうです。
水筒を手に急ぎ戻ってみれば、もう水は必要ない上に二人は名乗りの挨拶を終えたようでした。
どうしたのでしょう?
殿下の様子が少し可笑しいです。
落ち着きがありません。
少女に促されて水筒を殿下に手渡しながら、ちらりと見上げてみれば百面相をしています。
・・・これが「ねっちゅうしょう」という病なのでしょうか。
読んでくださってありがとうございます♪
「神籍に入って」を消しました。何故、神籍なのか謎です。2016.2.22




