王子とイリア2
本日二作目です♪
王子視点の出逢い編ですが、王子がちょっとずつ可笑しくなっている気がします……。
王子は十七歳 なので、もうだいぶマッチョです。
イリア・ノーランドと名乗った少女は再び俺から視線を外したが、驚愕して開いた口が塞がらなかった俺はそれどころではなかった。
イリアは美しく成長していた。五年前も可愛いいとは思ったが、それは子供特有の可愛いらしさだった。美男美女の侯爵夫妻の娘。あの男の妹。美しくならない要素がない。
白い肌の上に桃色の愛らしい唇、ほんのり色付いた桜色の頬。髪と同じ銀色の睫毛に縁取られた大きな、でも意思の強そうなきつめの瞳。女の子なのに凛々しい眉毛。白いドレスから伸びた手足はすらりとして柔らかそうだが、まだ少女の域を出ない。胸の膨らみはまだまだ先が長そうだ。
そう、まだ・・・まだってなんだっ!!!
違う違うっ!何考えてるんだっ俺っ!!
「なんですの」
俺の頭の中を覗かれたかのような、氷のように冷たい声が、疑問ではなく文句を告げる。
女の子らしい高くて可愛いい声なのに、わざと低く言ってくる・・・可愛いいっ。
いやっ、あれ?!
盛大に頭を振れば、心配してくれたのは従者だった。
「殿下?大丈夫ですか?」
ちょっと可笑しな物でも見るかのような困惑した目だ。
「殿下達の方が熱中症に気をつけるべきですわ。お水を」
「あ、ありがとう・・・」
イリアに促されて従者が水の入った器を渡してくれる。
イリア嬢の水筒が良かっ――――たぁ?!
変だっ!なんか変だっ!!早急から変だっ!!!
一体全体、俺は早急から何を考えてるんだ。
この少女が、あの時のイリア嬢と分かってから、何だか変なことばかり考えている。
そうだ。
良く考えるんだ。
彼女は確か……十二歳、俺は十七歳。俺はあと半年で成人。彼女はあと六年もある。
そうだ。
彼女はまだまだ子供だ。
……あれ?
いや、確か……十六歳から結婚適齢期だっけ?
あれ?
そうすると、彼女もあと四年で結婚出来る訳で……。
「イリア嬢っ!」
彼女へ一歩近付いた。
無意識に、だ。わざとじゃない。俺は紳士だから。淑女に一定の距離を取るのは礼儀だから。でもこの時は、考え事から目が覚めて慌ててたから、無意識に、でも近づきたくて踏み出してしまった。
そして、彼女は俺から一歩離れた。
身体中からさあぁぁぁっと、血の気が引くのが分かった。
自分でも、今、顔青いかも、と思った。
女の子から離れられるなんて初めての経験だった。
よくよく考えれば彼女は、俺と目を合わせないし態度も拒絶してたし、俺から距離を取っていた、と思う。
そんなことは初めてだった。
女の子は俺の目を見つめてくるし、こっちが困るくらい喋りかけてくるし、腕を絡めてくる。
頬を赤く染めて、俺を誉めながら自分がいかに王太子妃に相応しいか説明してくる。
俺はそれに笑顔で答え、俺はそれを黙って聞く。
紳士だから。礼儀だから。
俺は次期王として、相応しい女性を妃に迎えなくてはいけないから・・・。
あれ。
俺、とても疲れている気がする・・・。
イリアは、出逢った時は
美少年だったのにマッチョになってしまって残念!!と思っています。
お読みくださって
ありがとうございました♪
一ヶ所訂正しました。内容は変わりません。2016.2.22