お姫さまとお茶会3
イリア……主人公。侯爵令嬢。
姫……王子の妹。婚約中。
伯爵令嬢……語尾に『~』がつく。
追っかけ少女……語尾に『っ』がつく。
メイド……語尾に『ぁ』とか『ぅ』がつく。
一体何故わたくしが男性の名前を挙げただけで彼女達はここまで騒ぐのだろうか。
先程までウェディングケーキの話で盛り上がっていた三人とメイドは、キャーキャー言っている。わたくしをちらちら見て頬を赤く染めている。その様子はまるで、意中の男性を盗み見して悦に入っている女子高生みたいだ。でも、ひそひそ話している訳じゃないから内容は聞こえる。
「ああ、やっとイリアにも想い人が出来たのね」
余計なお世話だ、姫様!自分の恋人を見つめるような惚けた目で見ないで!!感嘆のため息つかないで!!!
「今までちっとも恋ばなに入ってこなかったものね~。」
マッチョの話だからね、伯爵令嬢!マッチョの話にはついていけないんだよ!!残念な目をするな!!!
「好きなタイプ聞いても教えてくれないしっ!」
無理だろっ、追っかけ少女!マッチョ嫌いって言えないだろっ!!笑ってやり過ごすしかないだろっ!!!
「でもぉ、やっと出た名前が殿下の側近なんてぇ・・・」
何、悲しそうな顔しているの、メイドちゃん!紅茶の淹れ方負けてるのに失礼だよ!!泣きたいのはこっちだよっ!!!
というか、男性の名前が出ただけで随分大騒ぎし過ぎじゃないかな?別に気になる人の名前を出した訳じゃないよね?ただ、メイドちゃんに紅茶の淹れ方を側近君に教えてもらったら、どうかなと思っただけだし。恋ばなじゃなくて世間話なんだけど・・・。
「兄上の側近……って、公爵子息ね。悪くはないと思うけど・・・」
「そうね~。イリアさまにはもうちょっと大人の方がいいんじゃないかしら~」
「それに筋肉がまたまだですよねっ!」
「大人で筋肉隆々……あ、殿下の護衛の方とかですかぁ?」
わたくしは黙って紅茶を飲む。自分で淹れ直した紅茶だ。側近君には遠く及ばない・・・メイドちゃんに何か言える立場じゃなかった。
わたくしはひたすら紅茶を飲む。普通の声でひそひそ話しないで、わたくしを巻き込んてくれれば完全否定してやるのにっ!!
わたくしはちらちら彼女達を見ながら紅茶を飲む。あ、もう空だわ。
「南の侯爵の次男ね。悪くはないけど」
「姫さま~、他に気になる方がいるのね~?」
伯爵令嬢、その言い方だと婚約中の姫に他に好きな人がいるみたいなんだけど。
「皆にはもっと早く気付いてもらいたかったわ」
「だっ誰ですかっ?!姫さまっ!!」
「教えて下さいぃ!姫さまぁ!」
やっとわたくしを巻き込んでくれるようだ。ソファーから立ち上がった姫が、わたくしに向かって高らかに宣言した。
「イリアには王太子妃が相応しいわ!!!」
ごほっっ!げほっ!!
こんな巻き込まれ方はイヤだぁっ!!!
いつも読んでくださってありがとうございます!!
書き足しましたが、内容は大して変わりません。2016.2.22