プロローグ
初めての投稿になります。
温かい目で見守って頂ければ幸いです。
どうぞ宜しくお願いします。
右を見れば筋肉。左を見れば筋肉。正面にも筋肉。もちろん、後ろにも筋肉。
360℃全て筋肉だらけだ。
わたくし、イリア・ノーランドは盛大にため息をついた。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
それはそれはもう、聞こえよがしに。
だけども彼らは、わたくしの胸の内など知ってか知らずか(いや、知らないんだけども)。
「イリア嬢、どうしたんだい?」
「お腹でも空いたのですか?」
「|チョコレート<ショコラ>、食うか?」
「それよりクッキーは如何ですか?」
と、構ってくる。前後左右、ぐるーーっと筋肉で取り囲んで。
近い……。
近すぎる。
結婚前の貴族の令嬢に、この至近距離はセクハラではないのか?
距離だけではない。彼らは訓練後のため、上着を脱いでその裸身を惜し気もなく晒している。
鍛え上げられた筋肉を自慢気に掲げている。
求婚相手のわたくしの前に。
筋肉嫌いのわたくしの前に……。
ここは、とある王国。
ごく普通の中世ヨーロッパ風の王国。
剣はあるが魔法はない、ドラゴンや妖精もいない、そんな世界の小さな王国。
ただ、他の国々と違うのは
筋肉至上主義!!
ってこと。
な理由で、わたくしはこの国を『筋肉の国』と呼んでいる。
そんな筋肉の国の侯爵令嬢、それがわたくしイリア・ノーランドだ。
誰にも内緒だけど、前世の記憶がある。
皆さんご存知、地球・日本でOLだった。でも、いつ死んだのか記憶にないので、普通に天寿を全うしているかもしれない。
わたくしがマッチョ嫌いなのは、間違いなく前世の影響だろう。
自分より痩せている細身の日本男子。マンガやイラストに溢れかえる美麗キャラち。
ああ、眼福眼福。
アメフトやボディビルダー、筋肉隆々な男達は別世界の存在で、一切関わりがなかった。
関わりたくもなかった。関わる必用もなかったけど……。
そんなマッチョ嫌いのわたくしが!
何の因果か!!
筋肉の国に転生してしまったのである……。
読んでくださって有り難うございます!!