第4話:分かれる探偵
「う・・・。」
朝方、まだ完全に日が昇っていない頃、綾はうなされていた。
そんな綾を、心配してか、弟の大輔が様子を見ていた。
「だ・・・い・・・す・・・け・・・。」
目を覚ました綾は、大輔を見て呟いた。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
大輔が聞く。
「うん、大丈夫。怖い夢を見ただけ。」
綾は、大輔に心配を掛けたくないがために、わざとそう言った。
「さ、大輔、早く寝なさい。」
綾は大輔に言い、部屋から追い出した。
「うっ!?」
大輔を追い出した綾は、苦しみながらその場に倒れた。
そして朝、日が完全に昇った頃、綾はベッドの上で目覚めた。
「(あれ?
私、どうしたんだろう?
夜中、入り口の前で倒れて・・・。
そうか、あれ、夢だったのね。)」
綾はベッドから起きると、リビングへと向かった。
誰もいない。リビングは蛻の殻だった。
普段なら、弟の大輔がいる筈なのに、今朝はいない。
どうしたのだろう?
綾は疑問を抱いた。
そして、その疑問は、次の瞬間に晴らされた。
「お姉ちゃんただいまあ!」
大輔が帰ってきた。
「だ、大輔、何処に言ってた・・・の?」
リビングから玄関に駆け込んだ綾は、大輔の後ろにいた男を見て驚いた。それが、かつての自分だったからだ。
「あ、あんた誰よ!?」
綾はその男に言った。
その男は、自らを、こう名乗る。
「霧崎 真。」
と。
「ど、どう言う事よ!?」
綾は驚いて叫んだ。
「さあな。
今朝、目が覚めたらこうなっていた。」
真はそう言う。
解らない。何が起きたのか、全く。
謎が呼ばれました。一体、どうなっているのでしょう?