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第2話:名探偵誕生

2殺目です。

お楽しみ下さい。


俺は高校生探偵、霧崎 真。

今まで数々の難事件を解決して来た。

俺はある日、幼馴染みの高山 かなを誘い、オープン仕立てのトライアルランドに遊びに行った。

そしてその帰りに、俺は女性と男性の怪しい取引現場を目撃してしまう!

取引に夢中になっていた俺は、背後から近づいてくる男に気付かずに気絶させられてしまった。

俺は、気絶している間に組織の開発した毒薬を飲まされ、目が覚めたら・・・体が女の子になっていた!

霧崎 真が生きていると奴らにバレたらまずいと思い、俺は偽名を使い暮らして行く事にした。

見た目は女、心は男!

その名も、名探偵・霧崎 綾!




「キーンコーンカーンコーン」と、チャイムと同時に先生が教室に入って来る。

すると・・・。

生徒:「起立、気を付け、礼、着席!」

と、生徒が号令を掛ける。

先生:「はい、では出席を取ります。」

担任は出席を取り始めた。

先生:「影山!」

影山:「はい!」

先生:「桐生!」

桐生:「はい!」

と、先生はどんどん名前を読みあげ、生徒はそれに返事をして行く。

そして、とうとう私の番が回って来た。

此処で注意しなくてはならないのが、決して真として返事をしてはいけないと言う事だ。

先生:「霧崎!」

・・・・・・。

先生:「霧崎!

霧崎 真はいないのか!?」

返事は無かった。

そりゃそうだ。

今は真では無く、綾なのだから。

先生:「彼奴が遅刻するなんて珍しいな。

誰か彼奴が遅れる理由を聞いてないか?」

そんな奴いる訳が無い。

仕方がない、取りあえずごまかしておくか。

綾:「先生!」

先生:「どうした霧崎?」

紛らわしい・・・。

さて、どうする?

何て答える?

真を双子の弟にしておくか、それとも従兄弟と言う設定に?

よし、此処は弟って事にしておくか。

綾:「真・・・いえ、うちの弟は今日から暫くの間、学校に登校出来ません。」

先生:「弟?

ま、良いや、彼奴が登校出来ない理由を教えてくれ。」

綾:「弟は、ある事件に首を突っ込んでしまいました。

それで、暫く帰れないそうです。」

先生:「あの推理オタク目。

今度はどんな事件に首を突っ込んだんだ?」

綾:「(ははは・・・。

とてもじゃないけど、俺がその推理オタクだとは言えないよなぁ・・・。

てか、真が綾の弟だと言う事に誰かつっこめよ!?)」

先生:「んじゃ、後は全員いるな。

それじゃ、今日の出席チェックは終了!

各自、自分の選択授業の教室に移動する様に。

それと、霧崎 綾は先生と職員室に来い。

解散!」

と、先生が解散を宣言すると、殆どの奴らが教室を出て選択教科の教室に移動してしまった。

当の私は、選択教科が決まっていない事になっているので職員室に行く事になった。

何故か、かなも同伴している・・・。

綾:「ねぇ、何で付いて来るの?」

かな:「それはね、霧ちゃんともっとお話したいからだよ。」

霧ちゃん?

俺の呼び名か?

こいつの初めて会った人に平気であだ名を付ける癖はまだ治っていない様だな。

かな:「あ、ゴメン。

霧ちゃんじゃ駄目だった?」

綾:「ん、良いよ、霧ちゃんで。」

かな:「良かった、気に入ってくれたんだ。」

綾:「気に入って無い。」

かな:「霧ちゃん酷い!」

綾:「やっぱり予想通りの返事だ。」

かな:「え?」

綾:「いやね、昨日さ、真ちゃんに聞いたんだよ。

そしたら、真ちゃんはこう言ったんだ。

『俺の彼女で、高山 かなってのがいるんだけど、そいつは勝手にあだ名を付ける癖があるから注意しろ。

もし、嫌なニックネームを付けられたら気に入ってないと言え』ってね。」

かな:「彼女だなんて、そんな。」

そう言いながら、かなは顔を赤く染めた。

綾:「あれ?

貴方、真ちゃんの彼女じゃないの?」

かな:「いやねぇ、そんな訳無いじゃないですか。

ったくあのバカ!

何吹き込んでやがんだよ!?」

まずい、こいつがキレたらどうなるか解ったもんじゃない。

何せ、かなは現役の不良だからな・・・。

綾:「ちょ、ちょっと、かなちゃん、落ち着いて。」

かな:「あ、ゴメン。

つい、いつもの癖で。」

そうこう話しているうちに職員室に到着した。

私は扉を開け、「失礼します」と一言言って中に入った。

先生:「綾さん、こっちこっち。」

そう言いながら、担任は自分の所へ来る様に手招きをした。

先生:「綾さん、君は昨日来たばかりで選択教科を決めていなかったね。

その事についてなんだけど、君はどの授業が良いかな?」

かな:「霧ちゃんさ、私と同じ家庭科に入りなよ。

そしたら、私が色々と教えてあげるよ。」

先生:「よし、それで良いかな?」

綾:「んー、かなちゃんゴメン。

私、理科基礎の方に行く。」

かな:「理科基礎?

マジ?」

先生:「理科基礎で良いのかい?

理科基礎は男子だけしかいないよ。

本当にそこで良いのかい?」

何だこいつら。

俺が理科基礎へ行くのがそんなに問題か?

俺を止めたいのか?

綾:「そこで良いです。

実は言うと、私、物理学が大好きなんです。

だから、選択教科とかは、せめて自分の好きなのを選びたいなと思っているんです。」

先生:「変わってるねぇ。

ま、良いや、その選択、承りました。

お行きなさい。」

私の選択教科は理科基礎に決まった。

早速、私は申込書を持って、理科室へ行った。

理科室までは、かなが案内してくれた。

かな:「じゃ、私はこれで。」

そう言って、かなは理科室の隣にある家庭科室に入って行った。

「ガラガラガラ」と、私は理科室の戸を開け、中に入った。

理科系の先生:「君は誰かな?

もしかして申し込み?」

私は、理科系の先生に申込書を渡した。

理科系の先生:「正当に受理した。

今日から君は理科基礎のメンバーだよ。

じゃ、空いている席に座ってくれるかな?」

私は、そう言われると、空いている席を探した。

空いている席は直ぐに見つかった。

私はその席に座った。

浩介:「初めまして、三谷 浩介です。

君は確か、同じ1組の霧崎さんだよね?」

綾:「えぇ、そうよ。

よろしくネ!」

浩介:「宜しく。」

何だろう、この感じ。

彼を一目見ただけで胸がドキドキした。

これって、同姓愛って奴!?

いや、違う・・・俺はこの通り女だ。

と言う事は、女としての一目惚れって奴か!?

いや、待て。

それだと、冒頭の「心は男!」と矛盾している様な・・・。

そう思いながらも、俺は授業を受けた。

ふと気が付くと、時間は既に下校時間になっていた。

かな:「ボケっとして、どうしたの?」

話しを掛けて来たのはかなだった。

綾:「うわ!

吃驚した。

で、何?」

かな:「ボケっとしてどうしたのかなって。」

綾:「いや、ちょっと。」

かな:「なになに、私に話してごらんよ。」

綾:「恥ずかしいから嫌だ。」

かな:「解った、恋の悩みでしょ。」

ドキッ!

相変わらず女の感は鋭いな。

綾:「う・・・うん。

実はね、今日の1時間目に、理科室で三谷君に会ったの。

それで、私、彼を一目見て胸ドキドキして・・・。

私、どうしちゃったのかな?」

かな:「それ、一目惚れって奴だよ。

彼、格好いいからモテるんだ。

私、彼へのアタック、手伝ってあげる。」

綾:「はぁ?

何言ってんねんおめぇ?」

やべ!

何時もの癖が!

そう、自分に理解出来ない事を言われた時とかに関西弁で答えてしまうのが俺の悪い癖。

だが、かなは鈍感だ。

そんなの気付くはずが無い。 かな:「だって、霧ちゃん、三谷君に一目惚れしたんでしょ。

だから、私が手伝ってあげるって。

まずは、ラブレター作戦よ!」

ちょ、待て!

俺は男だ!

第一、男の俺にそんな趣味はねぇ!

神様〜、いるならお助けを〜。

と思っていたら、勝手に作戦が実行されていた。

なんと、かなが勝手に私の名前でラブレターを書いて浩介の下駄箱に入れてしまったのだ。

しかも、それを浩介が取り、中身を読んでいたのだ!

そして、浩介は中身を読み終えると、私の存在に気づき、私の方を振り向いた。

浩介「やぁ、このラブレターをくれたのは君かい?

実は俺も迷ってたんだ。

君に初めて会った時、君を好きになったんだ。

それで、告白しようかしまいか考えてた時にこの手紙を読んでね。

まさか、君も俺に気があるなんて。

そうだ、良かったら、帰りに何処か寄って行かない?

何か御馳走ごちそうするよ。」

な、何だよこの展開!

あの糞アマ、何書きやがった!?

でもまぁ、何か御馳走してくれるって言うからこういうのも良いかな?

よし、今日は浩介のおごりだ。

高い物を喰ってやる!

こうして、私と浩介はレストランに行く事になった。

勿論、浩介のおごりだ。

浩介:「ねぇ、君の趣味は何?」

いきなり浩介が質問して来た。

趣味か・・・。

何て答えるか?

綾:「私の趣味ですか?

ん〜、趣味って言っても、どこら辺までが趣味の範囲なのかよく解りませんわ?」

浩介:「何でも良いんだよ。

ほら、趣味って好きな事をやる訳だから趣味なんだろ?」

綾:「それだったら、詮索かな?

気になる点があれば納得行くまで調べる。

それが私の趣味です。」

浩介:「ふ〜ん、彼奴と同じなんだ。

あ、着いたよ。」

浩介が此処だと言う。

綾:「此処って、あのCMでやってる・・・。」

浩介:「そ、オープン仕立ての、トライアルランド系列の超高級レストランさ。」

綾:「こ、こんな所、いくら貴方でも絶対に無理よ!」

浩介:「それがそうでも無いんだ。

このレストランは、うちの父さんが社長をやっている三谷財閥グループのレストランだから、費用は全部父持ち。

父宛でツケておけば食べ放題って寸法よ。」

綾:「なんか、凄いね。」

私達は中に入る事にした。

中はとてつも無く広かった。

ウェーター:「何名様でいらっしゃいますか?」

浩介:「2名」

ウェーター:「畏かしこまりました。

空いているお席にどうぞ。」

私達は言われるが儘に、空いている席に座った。

私達は、それぞれ好きな物を選ぶと、その場に居合わせたウェートレスに注文をした。

ウェートレス:「畏まりました。

少々お待ち下さい。」

と、言い残したウェーターは調理場に入って行った。

恐らく、先ほどの注文を料理人に作らせる為だろう。

だが、それは別の事の知らせだった。

多分、いつもの事件あれだ。

ウェートレス:「キャーっ!」

と、先ほどのウェートレスが悲鳴をあげた。

だが、私はそれには応じずに浩介との二人きりの時間を楽しんでいた。

数分後、パトカーのサイレンが聞こえた。

やがて、音が消えると、鑑識、刑事らがレストランに入って来た。

そして、そのまま調理場に入って行く。

何かあったのだろうか?

その直後、「プルルルルル」と、私の携帯が鳴る。

私は、浩介に「ゴメン」の一言を残してトイレに駆け込む。

勿論、女子トイレにだ。

綾:「(誰だろう・・・?)」

そう思いながらも私は通話ボタンを押した。

警部:『霧崎君、私だ。』

警部からだった。

私は真の声で電話に返事をした。

真:「はい、霧崎です。」

実を言うと、私は変声機を使わずに変声するのが得意で、私の150の秘密の一つである。

警部:『霧崎君、また君の力を借りたい。

お願い出来るかな?』

真:「すいません、今は手が放せないんです。

ちょっと厄介な事件ヤマに巻き込まれましてね。

それで、今直ぐ戻る訳にはいかないんですよ。

あ、何かお困りなら僕の姉に向かわせますよ。」

警部:『それが、君じゃないと駄目なんだ。』

真:「もしかして、事件ですか?」

警部:『ご名答。

だから、そこを何とかして、こっちへ来てはくれないかな?』

真:「では、電話越しにどういう事件なのかをお話下さい。

電話越しにて解決して差し上げます。」

警部:『本当に電話だけで解決出来るのかね?』

真:「俺を誰だと思っている?

俺様だぞ?

この世界で優秀なNo.1の名探偵に解けない事件など無い。

と言う事なのでさっさと現在の状況を教えて下さい。」

警部:『解った。

一度しか言わないから良く聞いてくれ。

君は、三谷財閥グループのトライアルランド系列のレストラン・トライアルを知っているかな?

それで、たった今、そのレストランで事件があったとの通報を受けたので、捜査しに来た所だ。』

真:「成る程。

それで、被害者の名前は?」

警部:『渡瀬 一平、35歳。

レストラン・トライアルの料理長を努める腕利きの料理人だ。

死因は心臓を料理包丁で一付き。

即死だそうだ。

死亡推定時刻は我々が駆け付ける30分前。

つまり、18:30だ。』

綾:「(渡瀬 一平!?

もしかして・・・。)」

真:「第一発見者は?」

警部:『ウェートレスの高木 由美さんだ。

彼女は被害者と交際関係にあったそうだ。』

真:「他には?」

警部:『今の所はそれだけだ。

それと、被害者が妙な物を持っていたんだ。』

真:「妙な物?」

警部:『あぁ、蝋燭ろうそくなんだが、事件とは関係無いだろ。』

真:「そうですか。

では、ちょっと今までのを話しを整理したいのでいったん切ります。

何か解ったらこちらからかけ直します。」

そう言い残して、私は電話を切った。

綾:「(渡瀬 一平か・・・。

多分、俺の記憶が正しければ、多分あの人だな。

確か、親父が弁護を任され、無罪を勝ち取った被告だったな。

この件、霧崎 綾として捜査した方がやりやすいだろう。)」

私は、女子トイレを後にすると、そのまま現場へ直行した。

浩介:「おい、何処行くんだよ?」

綾:「事件現場、貴方はそこでじっとしてて。」

私は、浩介に言い残すと、現場に入った。

見張りの警官:「関係者以外は立入禁止だよ。」

綾:「被害者の確認を取らせて下さい。

私、渡瀬さんの知り合いです。」

見張り警官:「ちょっと待ってて。

警部、被害者の知人の方が・・・。」

警部:「入れてやりなさい。」

見張りの警官は、keep outのテープを持ち上げて中に入れてくれた。

警部:「君が被害者の知人の方かね?」

綾:「いいえ、違います。

それと、これまでの調査によると、被害者は渡瀬 一平、35歳。

死亡推定時刻は16:30。

死因は心臓を料理包丁で一付きされ即死。

因みに、彼は2年前に殺人容疑で起訴され、霧崎 真の父・弁護士の霧崎 茂しげるによって無罪判決を言い渡された。」

警部:「と言う事は、君が犯人か?」

綾:「どうしてそうなるんでしょうか、何の証拠も無しに・・・。」

警部:「何故って、君は被害者の事を色々知っているし・・・。

兎に角、事件の事を詳しく知っているのは、我々警察と犯人だけだ。

と言う事は、犯人は君だとしか思えない。」

綾:「そんな横暴なやり方があって?

そう言えば、被害者は発見された時、蝋燭を持っていましたよね?」

警部:「おい、何故それを!?

蝋燭の事を知っているのは我々警察と犯人だけだ!

もし、君が犯人では無いのなら、それを知っているなんて可笑しい。」

綾:「貴方、噂に聞いた通り、もの凄くバカね。

いや、噂以上かもしれない・・・。

蝋燭は死に際に被害者が残したダイイングメッセージよ。

犯人が知ってる訳無いわ。

そんな事にも気付かないの?」

警部:「何かバカにされた気分だ・・・。」

綾:「私を犯人扱いして・・・。

当然の報いよ。」

警部:「すまん・・・。

それで、ダイイングメッセージと言うと、蝋燭に関係する人間か?」

綾:「そんな簡単な物じゃないわ、恐らくは・・・。

兎に角、この事件を解くには被害者の事をもっと調べる必要があるわ。」

そう言い残すと、私は調理場を後にして、もう一度女子トイレに向かった。

警部に真の声で電話を掛ける為だ。

綾:「(えーと、確かこの番号だったな。)」

「プルルルル」と、呼び出し音が鳴り、数秒してから警部が電話に出た。

警部:『あぁ、霧崎君か。

何か解ったのかね?』

真:「今、色々と考えていたんですが、蝋燭の意味が解りました。

恐らく、ダイイングメッセージでしょう。

犯人は、蝋燭に関係する人物。

だが、そんな簡単な代物じゃない。

警部、取りあえず、被害者の事を詳しく調べてみて下さい。

とんでもない物が解ると思います。」

警部:『あぁ、それならもう既に手配してるよ。』

真:「え、どういう風の吹き回し?」

警部:『いや、実は、謎の女の子に頼まれてね。

それで手配をしたんだ。』

真:「謎の女の子?」

と、惚とぼける俺。

警部:『あぁ、その子ったら、それを言い残したまま何処かへ行ってしまったよ。

あの子は一体何者なんだね?

君、何か知ってるんじゃないのか?』

真:「そんな、僕には解りませんよ。」

警部:『そうか・・・あ、ちょっと待って。』

警部は何やら刑事から捜査の結果を聞いている。

警部:『霧崎君。

今、被害者の事を調べたら君の言う通り、とんでもない事が解ったよ。』

真:「それはどんな?」

警部:『被害者の渡瀬は、2年前の事件を起こす前に、レストランの売上金を大量に横領していた事が判明した。

また、それが発覚した時に、渡瀬は酷く脅されていたらしいんだ。

そして、その後直ぐに、渡瀬を脅していた人物が殺された。

当時、その殺人容疑の犯人として逮捕されたのが、渡瀬だったんだ。』

真:「でも、今回の被害者は完全無罪だったんですよね?

だとすると、真犯人が他にいるって訳ですよ?」

警部:『その通り、そしてその真犯人は、火山ひやま 陰蝋かげろうと言う人物だ。』

綾:「(火山 陰蝋!?

蝋燭・・・火・・・そうか、そうだったのか!

蝋燭はそう言う意味だったんだ!)」

真:「警部、被害者の持っていた蝋燭の意味が解りました!」

警部:『何だと?』

真:「これは僕の推測ですが、恐らく、蝋燭は火山 陰蝋の事。」

警部:『では、火山が犯人か!?

だが、火山は拘留中だ。

檻の中の人間がどうやって被害者を殺したんだ?

っておい、聞いてるのか!?

糞、切れてやがる。

最後は自分でやれってか?』

綾:「(ちっ、電池切れか!)」

私は、携帯を仕舞って現場に向かった。

警部:「あ、君。

今まで何処に行ってたんだね?」

綾:「ちょっとお手洗いに。」

警部:「なら良いんだが・・・。」

綾:「そんな事より、ちょっと調べてみたんですが、被害者は2年前にレストランの売上金を横領していましたね?」

警部:「何故その事を?」

綾:「ネットで検索すれば沢山出てきますよ。

更に、それが発覚した時に渡瀬は酷く脅されていた。

そして、その後直ぐに、渡瀬を脅していた人物が殺された。

当時、その殺人容疑で逮捕されたのが渡瀬 一平だが、裁判で霧崎弁護士が無罪を勝ち取り、勝訴した。

と言う事は、真犯人は別にいる事になる・・・。

そ、真犯人は火山 陰蝋。」

警部:「その通りだ。」

綾:「となると、蝋燭の意味は火山 陰蝋だと取れる。」

警部:「だが、火山は拘留中だ。」

綾:「火山は今回の犯人ではありませんよ。

寧ろ、事件の引き金と言う人物。

恐らく、彼には共犯者がいた。

何故なら、あの事件は単独での犯行は無理だったから。

これは、弁護士の霧崎 茂氏が法廷で証明している。

だが、その共犯者は未だに捕まっていない。

と言う事は、その共犯者は被害者の渡瀬が釈放されて恨んでいる筈。

何故なら、主犯の火山は、渡瀬を当時の容疑者に仕立てようとしていたからだ。

これも、霧崎弁護士が法廷で明らかにしている。

となると、事件の全貌が明らかになって来る。」

警部:「成る程。

では、今回の犯人はその共犯者か。

それで、共犯者は何処にいるんだね?」

綾:「この店内にいる筈だと私は思います。」

私は、内部に火山の共犯者がいると判断した。

そうでなければ、渡瀬 一平の遺体が此処にある筈が無いからだ。

綾:「警部、16:25〜16:30までの店員のアリバイを洗って下さい。

アリバイの無い人物、若しくは、嘘を吐いている人物がいる筈です。」

警部:「よし、手配しよう。」

警部は、そう言って側にいた刑事に話しをした。

刑事は、それを聞き入れると、早速アリバイを洗いに行った。

そして、暫くして、刑事が戻って来た。

刑事:「容疑者全員のアリバイなんですが、二人の人がアリバイを持っておりません。

それと、一人、妙なことを言ってる人物がいました。

月島 光ひかりと言う方です。」

警部:「それで、なんと言っていたんだ?」

刑事:「それが、その時間だけ記憶が無いと言っているんです。」

警部:「残りの二人は?」

刑事:「一人は小玉 由美。

事件当時は一人で休憩室にいたとの事。

もう一人は、影山 優子。

事件当時はレジ会計にいたが、客が余りおらず、レジも打っていなかった。

その場に居合わせたウェーターやウェートレスも居なかった。

と言う事です。」

綾:「影山 優子さんを呼んで下さい。

私がこの店に来たのが16:30。

事件のあった時間。

しかし、彼女はその時刻、レジにはいませんでした。

いたのはウェーター。

男の人です。

つまり、影山さんが犯人です。」

警部:「よし、影山 優子を逮捕だ。」

側にいた刑事は、影山 優子を呼びに行った。

暫くして、刑事が影山を連れてきた。

警部:「影山さん、貴方が渡瀬さんを殺害した犯人ですね。

事件当時の貴方のアリバイが崩れました。」

優子:「待って、私がやったと言う証拠はあるの?」

綾:「蝋燭・・・火山 陰蝋をご存知ですね。」

優子:「そ、そんな人知らないわ!」

綾:「いいえ、貴方は知っている筈です。

火山 陰蝋を・・・。

何故なら、2年前の殺人事件の火山 陰蝋さんの起こした事件の共犯者だから。」

優子:「くっ、な、何故それを!?」

綾:「認めるんですね?」

優子:「えぇ、私はあの人の共犯者よ。

そして、渡瀬を殺したのも私よ。

これ以上言う事は無いわ。」

そう言うと、影山は刑事に手錠をはめられて、その場を後にした。

そして、私は浩介の所へ戻った。


あの後、霧崎 綾としての活躍ぶりはニュースでも取り上げられた。

霧崎 真が行方不明になったと言うニュースが流れたのは釈しゃくだけど・・・。

まぁ、実際は俺が流す様お願いしたんだけどね・・・。


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