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第10話:真の最初の事件(後編)

通報を受けた道警は、現場にやって来ると、現場検証を行った。

そのお陰か、被害者の身元が割れた。

被害者は、小島 優希(こじまゆうき26歳。会社員。

死亡推定時刻は、午後7:15頃。

死因は、真の思った通り、青酸性の毒物。毒はテーブルの上の料理から検出された。

小島は、人柄も良く、人から恨まれる様な事は無い、と言う。

また、警察の捜査で、1人の容疑者が捜査線上に浮上した。

当時、料理を作っていた、<高山 かな>────フロントにいた、別嬪(べっぴん)さんだ。

だが、真は疑った。

「彼女が殺しなんてする筈が無い!」

真はかなを連れて行こうとした刑事に、怒鳴りつけてやった。

しかし刑事は、そんな真の言葉を無視して、かなを連れて行ってしまった。

真は決心した。必ず無実を証明する、と。


かなが連れて行かれてから、約1時間が経過した。

真は、食堂に残っていた数人に、小島の事を聞いていた。

とは言っても、小島とは誰も面識が無い。ただ、一人を除いては。

その一人とは、最初に小島に声を掛けた女性だ。

女性は、小島 霧子(こじまきりこ25歳。無職。

亡くなった小島とは、ごく普通の夫婦である。

二人は、結婚したばかりで、新婚旅行で北海道に来ていた。

これから楽しい旅行生活を送ろうとした矢先、こんな事件が起きてしまい、誠に残念である。

(・・・彼の部屋でも見せて貰うかな。)

真は、霧子に頼んで、お部屋を見せて貰おう事にした。

小島夫妻の部屋は206号室。真の部屋<205号室>の隣の部屋だ。

「あの、お荷物拝見しても宜しいですか?」

「良いわよ。」

真は、許可を得ると、被害者の荷物を鞄から出した。

タバコ、ライター、ノート型パソコン、手帳、日記帳、携帯電話、お風呂セット、着替えの8点が床に並べられた。

その中から、真はノート型パソコンを確認した。

(何だこれ?)

真はパソコンのデスクトップに表示された、変なアイコンを開く。

すると画面には、<パスワードを入力して下さい>と出た。

(パスワード制限か・・・。きっと、見られたく無い物が書いてあんだろう。)

そんな事を思いながら、真は適当にパスワードを入れてみた。

が、画面に表示されたのは、エラーメッセージだけであった。

「優希さんの誕生日って何時ですか?」

「6月30日よ。」

「ありがと。」

真は、その日付を入力欄に入れてみた。

しかし、再びエラー表示である。

(仕方が無い。アレを使おう。)

真はポケットから、小さな機械を取り出し、それをUSBでパソコンに繋いだ後、電源を入れた。

すると、パソコンの画面に、自動的にパスワードが入力された。

成る程。パスワードを解析する道具か。


真は、OKを押し、ファイルを開いた。

その瞬間、真は我が目を疑った。

(嘘だろっ?こんなの・・・。)

一体、何が書いてあったのか。それは、麻薬の密売リストだった。

今までに売り渡してきた人物の名前が、ズラッと並んでいる。

真は、全て読み終えると、パソコンを閉じ、手帳を手に取って開いた。

が、気になる様な事は書いて無かった。

真は手帳を起くと、再度パソコンを開いた。

(やっぱり、メールとか気になるよな。)

真はメールソフトを開き、受信箱のトップのメールを開いた。

するとこんなメッセージが出て来た。

『こんばんは、由香です。

優希さん、この間は有り難う御座います。

今度は何時にしますか?』

(返信があるな。)

真は<返信メッセージ>のリンクをクリックした。

『こんばんは、優希です。

今、旅行中なので、旅行から帰った次の日の日曜日にしましょう。』

このやり取りは、紛れもなく不倫である。

(まさか、これが原因で?)

真は目を動かし、霧子の事をチラッと見た。

(ま、まさかな。)

真はパソコンを閉じ、立ち上がると、霧子に「失礼しました」と言ってから、部屋を出て行った。


北海道警察 捜査一課第一取調室

かなは、二人の刑事を相手に、取り調べを受けていた。

「お嬢ちゃん、本当の事言ってくれないかな?」

刑事は問うが、かなは何も喋らない。

「君さ、ちゃんと答えないと、帰れないよ?」

「だから、さっきから言ってるでしょ。私は殺して無いって。」

「でも、食事に青酸カリを入れられたのは、料理を作った君だけだ。」

「バカ。」

かなは小声で呟いた。

しかしその声は、刑事達には聞こえなかった。かなにとっては、都合の良い事だ。

その時、ガタンッと勢いよく扉が開いた。

真だ。真がやって来たのだ。

「また君か・・・。」

刑事は呆れた様な顔で呟いた。

「で、こんな所にまで来て、一体何の用だね?」

「あなた方を呼びに来たんですよ。真犯人が解ったのでね。」

「そうか・・・・・・何ぃっ?」

刑事は目をまん丸にして驚いた。

「兎に角、現場に戻りましょう。」

そう言い残し、真は去って行った。


事件現場

真はそこで、ある人物を待っていた。

「待っていましたよ。」

背後に気配を感じた真は、そう言った。

「やはり、犯人は貴方(あなた)だったんですね。小島 霧子さん。」

「ちょ、ちょっと待って。

一体、何の事?」

(とぼ)けても無駄ですよ。貴方が優希さんを殺害した事は、もう解っています。

事件のあった時間、貴方は優希さんと一緒に、この食堂にいましたね。

貴方はそこで、彼の食事に、水に混ぜた青酸カリを密かに入れ、彼を殺害した。

動機は恐らく、由香と言う女性との不倫。

貴方は、優希さんがその女性と不倫関係にあったのを、ご存知だったんじゃないんですか?」

霧子はフフッと笑って、

「面白い推理ね。でも、残念だけど、証拠が無いわ。

私を犯人にしたいのなら、証拠を持って来て頂戴。私が犯人だと言う証拠をね!」

「これじゃないですか?」

真はポケットから、小さな瓶を取りだした。

「旅館のゴミ捨て場に置いてありました。

これ、貴方が青酸カリを入れて持ち込んだ物ですよね?」

真が訊ねると、観念したのか、霧子は全てを話始めた。

「そうよ。あの人は私が殺したの。

最低よね。既婚者なのに、他の女と付き合うなんて・・・。」

「罪を認めるんですね?」

後からやって来た刑事が、霧子に訊ねた。

霧子は「はい」と返事をすると、刑事と一緒に食堂を出て行った。

そして、入れ替わりに、かなが食堂に入って来て、真に抱きついた。

「霧崎さん、有り難う御座います!」

真は赤くなりながら、

「いやいや、当然の事をしたまでですよ。」

と言った。

何はともあれ、一件落着である。




かな:「そう言えば、真に会ったのって、これが最初だったんだよね。」

綾:「知ってるよ。」

かな:「何で?」

真:「俺が話したからだ。」

ナ:「何であんたいんの?」

作:「私が出しました。」


以上、真とかな、綾の三人のミニ劇場でした。



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