旅の道のり
「シュウサ!そっち行ったぞ!」
決意を固めてからはや二年。
俺達勇者パーティーは、全国を駆け巡り世界中の依頼をこなしてきた。各地の魔物を狩り、各所で実力を認められてきた。
そんな俺達は今、魔王城が在る魔界への門を護る深龍の討伐をしている。闇魔法系列最上位の【深淵魔法】を扱う討伐難易度最上位のSランク。
刃の付いた翼と尻尾を避けながら、硬い甲殻を砕く戦闘は辛かった。
その甲斐あって、深龍の命は尽きそうだ。仕留めるなら、このスキルで!
「【明日ヘノ光】!」
【命勇撃】の進化スキル。
恐ろしいまでの威力を持つこの一撃の、重い光に身を任せて振り下ろす。魔界の門番はその生を閉じた。
「うん、だいぶ強くなったな」
昔じゃ深龍どころか、竜種を見つけたらすぐに逃げろって感じだったからなぁ。あいつら顔が怖いんだよな、今でも怖いけど。
後は⋯。
「シュウサ君!できたよ!」
「ありがとう」
悔菜から手渡された武器は、さっきの深龍と三種の龍を素材にした剣だ。
「銘は?」
「そうだなぁ⋯。”煌憧刃羅”、なんてどうかな」
コガレテ、煌憧刃羅か。
「いいね。最高の剣だ」
悔菜のスキル【錬成】は元は普通の武器しか作れなかったんだけど、魔物の素材を使えばその魔物の特徴が出る剣になるらしいのだが、この剣はどうだろう。
「【鑑定】」
〘煌憧刃羅〙
風、雷、光、闇属性の龍の力を宿した魔剣
人を助けよ、願いで作られた剣に人々は焦がれる
能力:
【龍煌深影】〚ーーーーー〛
・相手に攻撃を当てることでゲージを溜め、ゲージを1消費することで特定の技を放てるようになる
・身体能力を向上させる
【嵐撃】風属性を武器に付与する
【雷撃】雷属性を武器に付与する
【煌撃】光属性を武器に付与する
【深撃】闇属性を武器に付与する
「⋯⋯」
「どう?」
⋯強すぎね?
目の前でソワソワしている悔菜には悪いけど、もう一回確認するね。ゲージを貯めて四属性の技を使用可能になって、身体能力が上がる。
地味だけれど、うん、強すぎ。
「悔菜」
「どう?」
「封印してもいい?」
「何故っ!?」
コガレテ君は使ったら戻れない気がするよ⋯。
「【嵐撃】」
攻撃を一回当てることだけで発動できるこの技。
風属性を攻撃に付与するという単純な効果だが、これがやばい。
魔物にはそれぞれ弱点となる属性が存在する。
その弱点属性で攻撃すれば、無属性攻撃の1.5倍ほど威力が上がる。だから、冒険者たちは狩る対象に合わせて武器を変えるのだ。
だが、この武器はその必要がない。
無属性攻撃でも頭がオカシイのに、弱点属性まで含めたらオワタ式になる。
それが連発可能であり、他スキルとの並列使用が可能だ。俺が持つ最高火力スキル【明日ヘノ光】は相手の罪に応じて威力が上がる。要は、悪いやつ特攻ってことだ。
これだけで大体を木端微塵にできるが、さらに【嵐撃】をプラスしたらどうなる?
その結果がこれだ。
風属性が弱点の魔物、フォグジャナルという植物系の魔物の変異種を斬ったのだが、地面が抉れている。そう、抉れている。
「なぁ悔菜」
「なんだいワトソン君」
「ワトソンじゃないんだが。まあいいや、シュウサの火力って俺達よりも低いよな」
「そうだね」
「明らかに俺等より火力出てるよな」
「そうだね」
「あの武器作ったのお前だよな」
「違うかもしれないね」
「違わねーんだよ!どうすんだよ俺達の役割取られちまったじゃねえか!」
「あの子も立派に育ったねぇ爺さんや⋯」
「そうだな婆さんや⋯」
「ほれ爺さん。なんか私にいうことがあったんじゃないのかい」
「そうじゃったそうじゃった。⋯はて、忘れちまったな。じゃねえんだよ!老人トークで誤魔化すな!」
「あれにノるゴルトもゴルトだよな」
「そうですね。ノらなければいいのに」
「お前らそこ座れぇ!!正座だ正座!あ?胡座なんか許すわけ無いだろォ!!!」
あ、みんなの顔が兵長みたいに⋯。
(눈_눈)




