その後、ケーキは美しく切られたみたいね。まあどうでもいいけど
極悪ホステスの最新話です。
楽しんでいただけると幸いです。
ある日の午後、私とヨアン(今はユーアンね。イーシーア語でヨアンはユーアンって発音されるの。私はクラリッサね)は穏やかに過ごしてた。
あれから私は割と広い家を建てて、使用人や庭師なんかを雇って、ヨアンは家の管理やったり編み物したり刺繍したり、貴族仲間(男たちね)と一緒に扇持ってドレス着て集まりに出たりしていた。
私は軍服着たりあるいはスーツ着て舞踏会に夫君を連れて参加したわ。
髪も切ったの。セミロングくらいにね。そしてだんだん顔つきが精悍になっていった。
こっちで言えばまあ『女らしい』顔つきになったわ。
ヨアンは逆に髪を伸ばしたわ。まあ当然よね。この国じゃあ男がドレス着て着飾るんだもの。
意外と長髪似合ったわ。清楚で可愛らしい感じ。私の夫君にぴったりね。
顔つきも完全に『男らしく』なったわよ。
こっちに来て3年も経つとお互い慣れるものね。
ヨアンは趣味の編み物に刺繍にあとは子育てに夢中だった。(そう、子どもできたの私たち。生み方が他の国とは違うんだけど生々しいから割愛するわ。とりあえず、私が育休する必要がない方法があるってことだけ知っておいて)名前はアストリッド。女の子よ。
つまり私の後継者が生まれたの。もう少し育ったら弟妹もつくる予定。
そして私は新聞を読み、ヨアンは趣味の刺繍をしていた時、使用人が「失礼します、ご主人様、お客様です」って困惑した顔でやってきたの。私は「とりあえず通して」って言って通させたわ。
そしたらやってきたのよ。シャムロック元伯爵と元伯爵夫人とベティがね。ボロボロの格好で。
それで「クラリス」って呼ぶから私は「クラリッサ」と訂正したわ。
「今はクラリッサ・セランデル伯爵よ。何の用かしら?」
「私たちを助けてくれ」
「なぜ?」
私はヨアンを別の部屋に行かせて尋ねた。父母は言ったわ。
「私たちはお前の実の親だろう?!助けるのが娘としての務めだ!」ってね。私はフ、って笑って言ったの。
「私はあなた方の家のメイドでしょう?あなたたち私に言ったじゃない、『本当の娘はベティだけだ』ってね」
「それは...」
「だから私は自力で這い上がってここまで来たの。さあ、もう帰って。でないと警察に連絡しないとならなくなるわ」
「謝るから、頼む」
「お前、この者たちを家から出しなさい。それと連絡を。『エリー』から脱走者が出たってね」
「かしこまりました」
「待ってくれクラリス!」
「クラリスなんて女はもうどこにもいないわ」
使用人たちに家から追い出され、連絡しやってきた軍用車に詰め込まれて元父母と妹は元エラディア王国、現第三イーシーア女王国居住区・エリーに連れ戻されたわ。
ちなみに第一はシャンデア・キンギス皇国の領地で第二はドォルデン王国の領地よ。
ケーキみたいに綺麗にエラディアを三等分したの私たち。平等にね。
ところで父母のあの様子を見て私がせいせいしてると思う?まさか。私すっかり忘れてたのよね。あの人たちのこと。
最大の復讐ってなにか知ってる?それはね、『危害をくわえてきた人間より成功し幸せになること』よ。
私は使用人にヨアンを呼びに行かせ、不安そうにしてるヨアンに笑顔を向けた。
「今のは誰?クラリッサ」
「大丈夫、ただの不審者よユーアン」
今日の午後は暖かくてとっても気持ちがいいわね。さて、仕事は休みだし、今日は久々にヨアンとアストリッドと家族の夕食を囲みましょうか。
そうそう、今度ヨアンにピンクダイヤモンドのネックレス買ってあげないとね。夫婦仲ってたまにこういうサプライズがないといっつも家にいる夫君は不満がたまるでしょ?
亭主は仕事で忙しくて帰ってこないし。アストリッドの誕生日には王立兵団のお人形セットでも買ってあげましょうか。
旅行も行きたいわよね。アストリッドはベビーシッターに預けて2人で日帰りか一泊の旅行にでも行こうかしら。長期休暇が取れたら家族3人で。
私はふむ、と考えて新聞の続きに入った。
この話はまだ終わらないみたいね。ていうか作者、このルートは考えてなかったのかも。全然戻る気配がないわ。まあいいけど。
男として生きることになったクラリッサ・セランデルは今後どうなるのかしらね?
お読みいただきありがとうございました。
次は明日に更新します。
次回で再終話です。




