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ヘレナの決断

極悪ホステスの最新話です。

楽しんでいただけると幸いです。

ヘレナがどうして修道女になったか教えてあげるわ。私たちが仲良くなってよく部屋で遊んだり勉強してた時のことよ。



ある日、深刻そうな顔でヘレナが私に打ち明けた。


「あのねクラリス、私ね、修道女になろうと思っているの」

「ふえ?」


ヘレナの部屋で本を読みつつお菓子を食べてた私は驚いて、変な声出しちゃった。



「修道女って、本気?」

「ええ、ほら私って出自もそうだし養子でしょう?貴族令嬢として結婚するよりも修道女になって神に尽くそうって思っているの」

「出自なんて関係ないんじゃないの?ヘレナ、あなたが修道女に本気でなりたいんならわたくしはとめないけれども、もしも出自や養子であることを気にして修道女になるっていうんだったらわたくしは反対するわ。だってそんなもの関係ないもの」


私はヘレナの相談に真剣に乗ったの。だってそうでしょ?生まれで人生あきらめたら私なんか元の世界じゃあ今頃ろくでなしよ。言い訳探して逃げる女は嫌いなの。だからヘレナに真剣に聞いたわ。


「ヘレナは本当はなにがしたいの?本当に修道女でいいの?出自でこうするしかないって考えているのならわたくしあなたをビンタしてよ」

「本当に修道女になりたいのよ。実を言うとね、この間街に出たでしょう?そこで見たでしょう?貧しい人々を。私、その方々を救いたいの。だから修道女になってその方々のために祈って、行動したいのよ」

「だったら貴族でもできるじゃない。基金を設立して、チャリティーをすればいいのよ」

「それじゃだめなの。私ね、触れ合いたいの。私が元居た世界よ。私が救わないと」


ヘレナの意志は強くて、私は少し考えた。これは折れないな。なるほどね。自ら行動して彼らを救いたいと。

私はこの間久しぶりに家に帰った時にチャリティーとして貧民街に赴いて貧困に苦しんでいる人たちを見た。

貴族はたまにこういうところに出かけて彼らにお金あげたり、食事あげたりしてる。それで私たちは食事やお金あげたり話したりしてた。


私が貧しい男女と話している間、ヘレナはショックを受けてたわ。それを思い出して私は少し考え、言った。


「...でもお義父様がなんていうか分からないわ」

「そうね、でも」

「だからこうしましょう。あなたは今から基金を設立してチャリティーを行って、看護や衛生を勉強して貴族としてまず彼らを救うの。それをしばらく続けるのよ。理由を聞かれたら『神のご意志のためですわ』って答えるの。舞踏会の出席も控えて、彼らを救う活動を積極的に行うのよ。ドレスもアクセサリーも捨てるの。贅沢なものは一切ね。そうすればお義父様も根負けしてお許しになると思うわ。まずは外堀を埋めるのよ」

「分かったわ」

「わたくしもできるだけ協力するわ。あなたがやりたいことだもの。文句を言われても平気よ。信念があればなんだってできるってグロリア様も言っていたし」

「そうね、ありがとうクラリス」

「...結婚はいいのね?」

「いらないわ。私の生涯は彼らに尽くすためにあるのよ。だから貧しさも知っているし、豊かさも知ったのよ」


かっけーなこの女。と私はヘレナを見て「ヘレナ、あなた今とても格好良いわ」と正直に言った。

ヘレナは「そんなことないわ」と言ってたけど眼が変わってる。

人間って意志を持つとものすごい光を放つのよね。ほら、芸術家とか大手企業の社長とか芸能人とか女社長って眼がギラギラしてるでしょ?つい眼を見ちゃうでしょ?それか逸らすでしょ?あんな感じ。

そこで陰口言うようじゃあ負け組確定ね。


だって彼らは信念と自信を持って失敗してもへこたれないで行動して成功してんのよ?それをなーーんもしてないやつが文句だけ言ったら?客観的に見てどっちがカッコイイと思う?

へこたれないヒーローと部屋で陰口だけ言っていい気になってるモブ。


今のヘレナは信念持って行動しようとしてるヒーロー。私そういう奴大好き。もう昔のヘレナじゃないわ。私は本心から「あなた、すごく格好いい」ともう一度言って、作戦を開始するために話し合った。



ヘレナの行動は早かったわ。ドレスもチャリティー活動に必要なのだけ残して、レースがふんだんに使われている高いのとかアクセサリーもお義父様に初めて買ってもらったダイヤがついたネックレス1つだけを残して靴も動きやすいのを何足か残して後は全部売ったの。

活動資金にするためにね。

香水もいつもつけてるやつだけにして金になりそうなやつは全部売ったわ。


私はグロリア様やシャーロット嬢やマシュー様にヘレナが今度貧困に苦しんでいる人の為にチャリティーを行うから、貴族の間で協力してほしいってお願いしたの。話を広めたり、まあ広報担当ね。


それから私とヘレナとなぜかついてきたヨアンでチャリティー活動を定期的に行って、それが社交界で話題になって、次第に人が増えていったわ。


アメリアとの観劇の時は私のドレス貸してあげたの。アクセサリーもね。テキトーに選んで着ててって言って、それで観劇を楽しんだわけ。私たち体格似てるし、そんなに問題はなかったわ。



ヘレナの活動はすごかった。これが天職って感じ。王室にも手紙送って援助を頼んだし、1人でビラを配ったりもしたし、看護も衛生も勉強して空家を自分のお金で買ってホームレスの簡易的な入居施設にしてたわ。


なんかもうここまでくると最初は反対してたお義父様もナサニエルも文句言えなくなって、更に社交界で話題になっているでしょう?ヘレナがバリバリ活動するのに文句言えなくなったの。

修道女の件はまだ許してなかったけど。


ヘレナはこのほかにも孤児院に通って子どもたちへ絵本やおもちゃあげたり、字を教えたり、刑務所行って囚人の話聞いたりしていた。私も一緒についていったけど、なんかもう女神って感じ。


アレキサンドル王太子が一回興味持ってヘレナを口説いてみたけど盛大にフラれてたわ。男ってなにかに夢中になってる女好きよね。輝いているからかしら?


とにかくヘレナは活動して活動して活動しまくって、最後に修道女になるって決めたの。

私はこの女かっこいいなって思って、応援したわ。

今のヘレナなら誰に何を言われても自分の信念を貫き通すってわかってたから、私は公爵や奥様への進言はやめておいた。


ヘレナの矜持に関わることだしね。


こういうことよ。





お読みいただきありがとうございます。

次は今日の18時に更新します。


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