なんでやねんって素で声出たわ
極悪ホステスの最新話です。
楽しんでいただけると幸いです。
「うっそだろ」
数日後に届いた手紙に王妃陛下が私を側近の侍従に加えたい旨が書かれてて私は頭を掻いた。
なんでだよ。楽しませすぎたのか?マチルダは「よろしゅうございましたね」と笑顔で言っているが、私はめんどくさくてどうしようもなかった。断りてー。
あ、ヨアンと結婚してるし断るかって思って公爵のところへ行ったら、「王妃陛下の身の回りの世話ではなく、政策などの王妃陛下のお仕事の補佐だそうだから大丈夫」って上機嫌で言われて私はがっかりした。
ヨアンが「おめでとう、クラリス」って喜んでみてる。うるせーよテメー。ヘレナに「行きたくねー」って泣きつくとヘレナは「まあ演技しすぎたわね。王妃陛下はユーモアが分かるお方ですし、あきらめることね」って引きはがした。
一緒に勉強してるときからヘレナには素で話すようになっていたため私は「ヘレナ様お願い、わたくしの身代わりになって」とお願いした。するとヘレナは私の方を見て、
「ダーメ。あなたのキャリアの始まりよ。謹んでお受けすることね。がんばってクラリス」
って言って去って行った。ちくしょー。
奥様も喜んでいるし、公爵も上機嫌だし、ナサニエルは私が家から消えるから喜んでいるし、ヨアンは素直に賞賛してるし、ヘレナはああだしもうバリキャリで行くしかねーって私は覚悟を決めて手紙を書いて準備して屋敷を出て王宮に向かった。
あーもう二度と入ることは無いって思ってたのに。
私の仕事は王妃陛下の補佐だからほかにも補佐官いるから週末には屋敷に帰ってゆっくりするもよし、宛がわれた部屋があるからそこに住み込んで、週末は遊びに行ってもよしってことだったので、1か月に一回は帰ることにしてあとは遊ぼうって思ってた。
王宮での私の部屋はだいたいウィリアムズ公爵家の自分の部屋と同じくらいの広さ。ただ色が違う。
木の壁に赤の天井付きのベッドに絵画が飾られてて、白い椅子とテーブルがあって暖炉があって鏡台もあった。あとは文机も。トイレと風呂も独立してあって、これ元の世界にいた時よりいい部屋じゃん?って思って私は荷物を置いて案内人が去って行ったあと扉を閉めて、ベッドにダイブした。
あーキングサイズのベッドサイコー。お風呂も見るとヨーロッパのシャワー付きのバスタブにソファ置いた籐椅子なんかが置いてあって、乾燥地帯はちげーなって思った。日本でこんなん置いたらすぐにカビるわ。
石鹸もスゲーいいやつ。シャンプーとかがない世界だから石鹸で髪洗わないとならないのがネックだけどまあいいかって思った。
お、入浴剤代わりの花も用意されてある。スゲーリッチじゃん。私はテンション上がって、今日の夜絶対にお湯に浸かろうって思って風呂を出た。
そして補佐官用の紺のスーツみたいなドレスに黄緑のバッヂつけて廊下を歩いていたらアメリアに会った。アメリアは「あ」って感じでこっちを見てたけど、顔を赤らめて速足で去って行った。
もしかしてオメーあの時の即興劇まだ信じてるのかよ。誰か教えてやれよ。私はアメリア殿下の素直さにちょっと可哀想になってきた。ヒス起こさなければ教えてやろーっと。
「失礼いたします、本日より王妃陛下の補佐を行うことになりましたクラリス・ウィリアムズと申します」
私がそう言って部屋に入ると、周り男ばっかで驚いた。王妃陛下の補佐官だから女ばっかかと思ってた。
王妃陛下は「ああよく来たわね、クラリス。悪いんだけど早速この書類を片付けて」と書類の束を渡してきた。
オイ、新人には教師役つけろよ。私は「かしこまりました」って言いつつ書類を見ると、今日の株価相場と王立図書館の資金と輸入品の数を計算するやつでなーんだって思いつつ、空いてる席に座ってさっさと計算を始めた。
電卓ねーのが困るよなーパソコンねーのはしょうがないとしても。
私はさっさと計算し、あーこれはと思って陛下の元へ行き、尋ねた。
「王妃陛下、今日の貨幣価値がドォルデン王国が高いので下がるまで輸入は控えた方がよろしいかもしれません。先にこちらのイーシーア女王国の品を買いましょう。今安いですし。あとは現在のエラディア王国の貨幣が下がっておりますので輸出しましょう。ドォルデン王国とシャンデア・キンギス王国は買いますわ。この2つの国は今貨幣の価値が上がっていますので」
そういうと王妃陛下はちょっとびっくりした顔をして、「そうしましょうか」って私の書いた輸入輸出の書類にサインした。
私は「なにか事件が起きない限りしばらくはこの貨幣価値が続くと思いますので」と一言添えて次の書類にかかった。
私、元居た世界でヨーロッパのアンティーク下着とか化粧品とか買ってたからさ、毎日今日は円安か円高かを調べてたんだよね。ついでにユーロも。
円高でユーロ安の時にネットショッピングして買うと安く手に入っていいのよね。
そんでさっさと仕事を終えて、昼食を食べていると(王宮は使用人への飯も豪華だな)一人の男が話しかけてきた。
緑の眼の淡い金髪(最近金髪見慣れてきたんだよね)で長髪で眼鏡かけてる執事風の男。なんかオタクの女がキャーとか言いそうな中性的なイケメン。
「一緒に食べてもいいですか?」って聞かれたから私は「どうぞ」って答えた。それでもしゃもしゃ肉を頬張っていると金髪イケメンが「あの」って話しかけてきた。なんだよ。
「私の名はエルバート・グエンと申します。クラリス・ウィリアムズ嬢ですよね?よろしくお願いします」
「あ、はい。よろしくお願いします」
差し出された手を私はフツーに握って挨拶した。グエンは私を興味深そうに見つつ「計算がお得意なんですか?」って聞いてきた。どっちの計算だよ。
「先ほどの王妃陛下への進言と仕事ぶりを拝見しまして、仕事が早いなと」
「ええまあ、数学と経済は得意ですので...」
「それはすばらしい」
グエンはニッコリ微笑み「あ、どうぞ食事の続きを」と促してきた。なんだコイツ。馴れ馴れしいな。
私は素直に食事の続きに入り、グエンとはそれほど会話をしないで「お先に失礼します」と盆を持って席を立った。なんかコイツ怪しいな。
まあなんか仕掛けてきてクビになってもいいけど。私は食事も取ったし、午後の仕事に出るために執務室に戻った。
お読みいただきありがとうございます。
次は明日に投稿します。




