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だってやりたくないんだもん

極悪ホステスの最新話です。

お楽しみいただけると幸いです。

茶会の当日、私は用意してた紺色のドレスを着て王宮へ行った。


馬車から降りるとアレキサンドル王太子が出迎えたので私はお高くとまってる女みたいな態度で接して彼の眼を見た。

「今日は傲慢な女で行くから」って合図すると彼も察したのか、私が去って行ったあとで、侍従にこういった。


「クラリスは美人だけど愛想が無いのが問題だね」


サンキューアレキサンドル。やっぱアンタ頭いーわ。王宮のパーティーで私を見たことない侍従に向かって印象付けてくれた。

今日は絶対に傲慢な女で行こうって決めてた。なぜか?侍女がダリーから。給料も調べたけど安いし。

こんなんで毎日王妃に媚び売って雑用なんかしたくねーし。だいたいなによこのギャラの額。

池袋のガールズバーなん?私はウゼーと思いつつ庭園まで案内されていた。


「クラリス・ウィリアムズでございます。本日はお茶会へのお誘い、まことにありがとうございます」


私は表情を変えずに両陛下に挨拶し、椅子を引いてもらって座った。

両陛下の顔を見るとガルシア大公がなんて言ったのか知らないけどだいたい予想の付く私の情報を言ったんだろうなって顔してた。そして騙したな、ガルシア大公とも。

アメリアも参加していたが、不思議そうにこっち見てる。

そりゃそうよね、パーティーの時の私とは打って変わって傲慢な女ですもんね。

アメリア、演技ってのを見せてあげるから勉強しなさい。


「君がクラリスか。アメリアに無礼な態度を取ったという」

「はい、取りました。わたくしの顔を打ちましたので。当然でございましょう?」


この私の美しい顔をお前んちのバカ娘がな、って感じで話すと、両陛下はピクリと眉を動かした。オイ、笑うんじゃねえよアレキサンドル。バレるじゃねーか。

目配せすると、アレキサンドルは「ごめんごめん」って感じで自分の父母に私を庇うように言ってくれた。


「父上、母上、クラリスもきっといきなり打たれて気が動転したのでしょう。でなければあんな、ね」

「あれくらいの訓辞で本気で怒るなんてとわたくしは驚きましてよ」

「まあまあクラリス」


アレキサンドルが私を宥めて、給仕人に私の皿にケーキを切って載せるように言った。

ガルシア大公は最初は驚いていたけど、気づいたのかさっきから咳ばらいをしつつ口元を隠して笑ってやがる。

その態度、おいテメー、パーティーの時の私の様子を詳細に陛下に話したな?

これだから口の軽いジジイはよー。

もういいプランBに変更。傲慢なビッチで信用なさそうな女にシフト。


「ーーそれで、単刀直入にうかがいますが、両陛下は今回どうしてわたくしをここへお呼びになりまして?」

「君の話をガルシア大公から聞いたからだよ、クラリス。素晴らしい令嬢だと」

「ホホ、ガルシア大公様ってば。さっそく褒めてくださったのね、嬉しいですわ」


ビッチを演じて私はガルシア大公となんかありました感を出した。

お、信じてんな。アメリアはともかく両陛下もアホだなラッキー。

ガルシア大公は面白がって「君の為ならね」ってウインクしてきた。あーあこれで高い酒でもキープしてくれたら最高なのにな。

アレキサンドルは「君、本当に誰でもいくねえ」と苦笑してる演技してる。サンキューアレキサンドル。

アンタいい俳優になれるわよ。


そうして演技して楽しんでいるうちにカンがいい方の王妃陛下が気づいて、面白そうに尋ねてきた。



「あなたは女もお好きなのかしら?」

「いただけるものによりますわ、王妃陛下」

「ホホホ、ではわたくしもあなたへのプレゼントを用意しなくちゃね」



王妃陛下が乗ってきたことで陛下がようやく私が演技していることに気づいたのか、なるほどなって顔で見ている。

アメリアは母親が自分もクラリスと寝たいって言ったことを信じられない顔で見てる。

オメーはそろそろ気づけよ。この即興劇によ。ドッキリとか知らねえタイプなのかよ。


そうして傲慢さは保ちつつ即興劇を繰り広げるくらいにはこのお茶会めんどくせーと思ってまーすってのを両陛下に示して、茶会は終了。

私は「ごきげんよう、アレキサンドル、バーナードおじさま」ってビッチのフリして馬車に乗り込んで帰った。後ろからでっけえ爆笑の声が聞こえる。


オイ、エンドロールまで演技しとけよ。


私はこれで失敗するだろって思って安心して家路についた。





お読みいただきありがとうございます。

次は今日の18時に投稿します。


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