朝っぱらから来るんじゃねーよ、たぬき親父
極悪ホステスの最新話です。
楽しんでいただけると幸いです。
ところで皆は貴族の階級って知ってるかしら?
侯爵から男爵までは王とは遠い血縁か血が繋がっていないけど、武勲を立てたり、国士であったりっていういわゆる超エリートに与えられる称号なわけ。
特に王族を助けたりなんかすると階級が上がることもある。古い家柄なんかは少しずつ階級上げてったみたいね。
それで公爵と大公爵なんだけど、公爵はプリンスとデュークってのがあって、プリンスが王族の親戚。正月やお盆に集まる人たちね。大公爵はさらに近い親戚か王族の兄弟だったりするの。
ほら、王様って1人しかなれないでしょ?じゃあ兄弟がいたら残りはどうするかって話。
普通は長男が受け継ぐか、才能があれば他の人が受け継ぐけど、普通は長男が王で次男とか下は大公爵か公爵っていう地位をもらうの。
それで公国か大公国をつくれる。モナコとかがそうよね。モナコの歴史は入り組んでいるから割愛するわ。大公家が世襲制で統治してる。つまり王様になった兄弟の国の属国扱いでつくれるのね。
諸外国に娘嫁がせて何人も王妃を輩出したり、王を輩出してる家系は『大公』って自分で名乗ってる。
もちろん作らないで政治の世界で強い発言権を持つこともできる。ガルシア大公は領主と政治の世界を選んだみたいね。
んで、たぶんだけどオルコット公爵家はプリンスで、ウィリアムズ公爵家はデュークかもしれないわね。
デュークもあんまり血が繋がっていない人が多いの。でも国の為に大きな武勲を立てたり、協力したりしたら王からデュークの名前を貰って領地をもらえるのよね。
ちなみに呼び方は男爵から侯爵までが卿、公爵や大公爵は閣下って呼ぶわよ。
大公と公爵は貴族の最上位ってわけ。
皆が読んでる階級差があるラブロマンスで公爵の男と男爵の娘がくっついてたりしてない?あれたぶんデュークだからよ。
イギリスなんかじゃあ爵位与えすぎて一時は公爵が40家あったっていうしね。王族はそのどれかから1人王妃を選べばいいし、なんなら国同士の政治的な結婚で他国のお姫様を嫁にしてもいい。選び放題よね。
ちなみに現在だと先進国はどこも貴族制をほとんど廃止したり力もたないようにしてるから貴族と平民の結婚もできるわよ。
まあ今貴族の男と結婚したところで昔のご令嬢扱いなんかあまりされないでしょうし、選ばれるには教養と現在までのいろんな書類ーー通院歴とか犯罪歴とか学歴とか職歴とか学業成績とかキリスト教だとチャリティーとかあとはスポーツとかそういうのーーを調べられて合格出て初めて結婚できるんでしょうけど。
だから平民と言ってもガチのお嬢様じゃないと貴族との結婚は難しいかもね。
ーーーーー
「こんにちは、失礼するよ。ウィリアムズ公爵とクラリス嬢はいらっしゃるかな?」
ある日連絡もなしにガルシア大公が家にやってきたからメイドも執事も大慌てでガルシア大公を応接間に通し、お義父様と私を呼びに来た。
私は昨日の夜会でクッソ眠かったけど大公様じゃしょーがねえかって思って失礼のないように薄紫のシンプルなドレス着て、メイクもラフにして髪を結い上げて応接間に行ったの。
扉を開けてもらって「遅れて申し訳ありません」って礼をして顔を上げたら、ガルシア大公がニコニコしながら見てたわ。あ、こりゃなんか企んでやがんな。
「突然連絡もなしに来てしまって申し訳ないね。急ぎの用事でね。ーー兄からの」
「陛下からですか?」
お義父様は驚いたようにガルシア大公に尋ねた。そしてチラリと私の方を見た。あーあれかな?アメリアの件?
「実は兄があのアメリアをこてんぱんにしたっていうクラリス嬢に興味を持ってな。一度茶会に誘いたいというんだ」
「はあ」
「そこで悪いんだがウィリアムズ公爵、クラリス嬢を借りてもよろしいかな?ああ、アメリアは大丈夫だ。きちんと反省して今は感情を抑える術を学んでいるよ」
君のおかげだクラリス、とウインクしてきたガルシア大公に私はもう嘘もバレちゃっているしいっかと思って「恐縮でございます」って返したわ。
ガルシア大公はハハハって笑って「そう、それだ」って私の方を見て言った。
「君のあの時の訓辞は素晴らしかったね。公爵家の若奥様に恥じぬ見事な訓辞だった。貴族はもとより、他国の人間も君に一気に惹き込まれた。さすがあのオーサ女王陛下が気に入るだけはある。ーそれでだね、君に嘘を吐いても見破るだろうから正直に話そう。今回の茶会は陛下が君を王妃陛下の侍女にするかどうかを確かめるための茶会だ」
「は?」
「あの時のアメリアの無礼な態度を静かに言葉だけで止めた君だ。両陛下も興味を持ってね。ぜひ会ってみたいとのことだ。できれば君1人で来て欲しい。できるかい?」
ガルシア大公の言葉に私は少し考え、まあ茶会だしいいかと考えた。どうせ別にそんな大したことにはならないだろうって思ってね。
「かしこまりました。わたくしでよければ参加いたします」
「茶会の時には私もいるから安心してくれ。では追って招待状を渡すからね。ーーところで今日の化粧はずいぶん自然だね。そちらの方が可愛いな」
「ありがとうございます、ガルシア大公様」
私は得意の営業スマイルで返し、ガルシア大公を見送った。めんどくせーなーと思っているとお義父様に「話がある」といわれて書斎に連れてかれた。
「クラリス、君は当日はどうする気だ?」
「どうするとは?」
「その、ドレスやそういったものだ。両陛下にお会いするからな。失礼があってはいかん」
心配そうに見ているお義父様にそーいやこの間までバカ嫁演じてたんだってこと思い出して「大丈夫ですわ」と私は答えた。
「きっと今度の茶会はわたくしの値踏みでございましょう。でしたら着飾れば着飾るほどウィリアムズ公爵家にとって恥を晒しますわ。クローゼットにあるドレスを着て自然体で参ります。そちらの方があちらの王室の方々もお話しがしやすいでしょうし」
「そうか、それもそうだな」
お義父様は頷いて私に「がんばりなさい」と言って書斎から出した。私は正直王室の侍女なんかめんどくせーし、やりたくもなかったからテキトーに普段着で行ってがっかりさせてさっさと帰ろうと思ってた。
だってやりたくねえじゃん?雑用も王妃のご機嫌取りも。
クソめんどくせーと思ってクローゼットの中を見、まあテキトーにこれでいいかと考えた。
レースもほとんどついていない紺に中がクリーム色のドレス。
茶会だし、昼間だから手袋付けて靴はドレスに合わせて青系にしてメイクはエルフ系かな。
帽子はドレスとセットで買ったやつ。日傘は濃い青。香水はどうしようかなーって考えてストレリチアにしたわ。
なんかいろいろ配合されてるらしいけどこれが一番爽やかだし。それで決めて私は部屋で読書を再開した。
お読みいただきありがとうございます。
次は明日に更新します。




