表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/44

ま、いい出会いかもね

極悪ホステスの最新話です。

楽しんでいただけると幸いです。

カフェでヨアンとお茶をしてるとアディンセル侯爵家のマシューとその婚約者のレイス伯爵家のシャーロット嬢が「こんにちは」と言って笑顔で隣に座った。


私はマシューとシャーロットの目をそっと見て、マシューは今日は機嫌が良い、シャーロットはこんなとこで私みたいな女に会ってちょっとイラついてる感じの目をしてた。

ふーん、この子、銀糸の髪に白い肌にサファイアの目のお人形みたいな顔して意外と嫉妬深いのね。


マシューはヨアンと話してる。私はシャーロット嬢に挨拶した。


「ごきげんよう。こうしてお話しますのは初めてですわね。クラリス・ウィリアムズと申します。あちらのヨアン・ウィリアムズの妻でございます」

「はじめまして、わたくしマシュー・アディンセルの婚約者のシャーロット・レイスと申します。お会いできて光栄ですわ」


眉をピクリとも動かさずにシャーロット嬢はそう言った。私はこの女はもしかすると共犯関係になれるかもと思い、扇で口元を隠しながら、そっとシャーロットに耳打ちした。


「ご心配なさらずともわたくしはヨアン様一筋でございますので、どうぞ緊張をほぐしてらして」


するとシャーロットは一度驚いたように私の方を見、少し考えて尋ねた。


「ーー最近、マシューがあなたのことをよく話しますの。なにかあって?」

「ああ、忘れてましたわ」


そう言って私はマシューに呼び掛けて、言った。


「マシュー様、あの時は乞食のようなわたくしをお助けくださりありがとうございました。感謝のしようがございませんわ」

「いやいいよ。ーーところで、その、君はあの時」

「ああ、...実はですね」


ーーと、私はシャムロック伯爵家でメイドのような扱いを受けていたことをヘレナづてにウィリアムズ公爵が知り、では一芝居打つかとボロボロのドレスを着て登場するように指示されたと嘘を吐いた。

ヨアンとナサニエルには素のままでいて欲しかったからあえて伝えずにと。


「実の娘が結婚先であのような扱いを受けていれば親ならば驚いて駆け寄りますでしょう?ーーいかがでした?あの時のシャムロック伯爵と伯爵夫人は?」

「そういえば、見なかったな」

「そういえばわたくし、シャムロック伯爵夫妻が笑っていらっしゃったのを見ましたわ」


シャーロットがそう言ってくれたおかげでヨアンもマシューもシャムロック伯爵家にちょっと嫌悪感が湧いたみたい。私は続けて言った。


「これはヘレナ様とお義父様とわたくしとの秘密ですので、どうぞ口外なさらないでくださいまし。ウィリアムズ公爵家の皆様を悪役に仕立て上げてしまったこと、本当に申し訳なく思っておりますわ。そしてヘレナ様のお優しさ、お義父様の愛情にはとても感謝しておりますの」

「ーーわかった、そうしよう。なあ、シャーロット」

「ええ、そうですわね」


マシューとシャーロットは目配せをして私に微笑みかけた。イイ感じで噂を流してくれるみたい。

よかったねヘレナ。お義父様。悪役から一転、次男の嫁のあまりの不憫な境遇に心を痛め、自分のメンツを犠牲にして一芝居打った慈悲深い義父と心優しい令嬢になれたわよ。


ヨアンは驚いて聞いていて「そうだったのか」と口元を押さえた。テメーは反省しろよ。私がどんくらいあのジメジメした部屋にいたと思ってんだ。


私は微笑んで紅茶を飲み、シャーロットに尋ねた。


「ところで今日はお2人でデートですの?」

「はい、本屋と布屋へ行って刺繍用の糸を買った後、ショッピングをいたしまして、休憩ということでこちらに」

「あら、わたくしも本がとても好きですの。シャーロット様はどのような本がお好きですの?」

「文学が好きですわ。特に好きなのはーー」


シャーロットが上げた作家に私は「わたくしもその方大好きですわ。文章に音楽を感じるのです」というとシャーロットも「分かりますわクラリス様。彼は偉大な作家ですわ」と初めて笑顔を見せた。あら可愛い。


「クラリス様は今日はどちらへ?」

「わたくしはヨアン様と美術館と植物園に行っておりましたの。素敵でしたわあ。人の手による芸術も自然の芸術も大好きですの」

「あら素敵ですわね。ーーでは今度4人でどこかへ遊びに行きませんか?マシューはいかが?」

「シャーロットの望みならどこへでも」


マシューの言葉にヨアンも「いい提案ですね」とシャーロットに頷き、今度ダブルデートをすることになった。

私は気も合いそうなシャーロットともっと話せるのが楽しみで「楽しみですわ」と微笑んだ。

そしてお茶は終わり、マシュー達と別れた後、私はふと気づいた。


あ、そういえばシャーロット刺繍やってるんだった。教えてくれって言えばよかった。


そう思いつつ、そろそろ歌劇の時間だと私とヨアンは馬車に乗って劇場に向かった。


デート嬢のデート兼同伴にしては楽しかったわね。シャーロットは嘘がバレそうだったから途中で真実しか話さなかったけど。


あの子もやり手ね。味方に引き入れておこうと考え、私たちは席に座った。




お読みいただきありがとうございます。

次は今日の18時に更新します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ