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イイ女ってのは日ごろの努力が必要なの。というわけで近況報告

極悪ホステスの最新話です。

楽しんでいただけると幸いです。

私とグロリア様の間で交わした秘密がある。

普通の手紙の時は白か他の色の便せんに書く。ちょっとヤバイ時はスミレ色の便せん。これはちょっと相談が必要かもって時はスミレ色の便せんに香水を振りかける。至急の時はピンクの便せん。


さまざまな便せんを扱うことでかく乱し、たぶん公爵に読まれてるだろうから内容は挨拶とフツーの話。

あとちょっと便せんに細工してある。やり方は簡単。

アルファベットの一文字に線を足すの。どこに足すかは決まっている。が、はたから見ればランダム。

つまり、他の人間が文章を偽造してもこれはグロリア様と私しか知らない秘密だからどうしてもバレる。

暗号って面白いわよね。


「『わたくしと共にヘレナ様にもご教授ください』だそうよ」

「そうですの」

「あなたの見解は?」


レースのついた青いドレスを着たグロリア様はソファに座ってお茶を飲み、尋ねた。私もお茶を一口飲んでこう言った。


「王宮でのパーティーでヘレナ様をアレキサンドル王太子に見初めさせたいんでしょう。それでここへきてグロリア様から習うついでに調べたいのかと」

「例えば?」

「グロリア様の当日着ていくだろうドレス、グロリア様と殿下の関係性、あとできればグロリア様の弱味」

「なかなかの見解。ーーでは手筈通りにいく?」

「まあヘレナ様のこと、いつものレッスンで泣くでしょうが、当日はもっと厳しくお願いします」

「あなたは大丈夫?」


グロリア様の質問に私はニヤリと口角を上げた。


「あの程度の痛み、実家では日常茶飯事でしたわ。それに最初の舞踏会では痕が残るほど背中を打っていただきましたの。お付きのメイドに。ですので存分になさってくださいまし。馬に鞭を振るうように」

「ーーあなたは本当に恐ろしいくらいしぶとくて計算高くて意志が強いわね。王太子妃の座をめぐるライバルがあなたじゃなくてよかったわ」

「わたくし、金髪の男は守備範囲外ですので」

「あら、夫のヨアンは?」

「政略結婚の相手ですわ。ーー最近妙につきまとってきますけれど」

「あらあら、惚れられているんじゃない?」

「グロリア様、ご冗談はほどほどになさってくださいまし」


グロリア様はケラケラ笑って「好きじゃない男に惚れてしまうのが恋の魔力というものよ」と言って立ち上がり、引き出しから鞭を取り出した。

イギリスなんかで昔あった、子どもを躾けるための鞭。

私たちはヘレナが来ることを予期して、グロリア様が私に教えるときはこうして鞭で打って厳しく教えてますっていう演技をしている。

メイドが入ってきたとき怯えたくらい。だからどんどん洗練されて行く私を見てもこの屋敷のメイドたちは「あれだけされれば当然だ」って態度で私をグロリア様の部屋へ通している。


ていうかなんかここのメイド、最近妙に優しいのよね。たぶん私があれだけ厳しくされても週に1回必ず時間通りに現れるからだと思うけど。

ピアノ練習はグロリア様の指示でリヴェラ子爵家のアナベル嬢に習うように言われたと口裏を合わせた。

アナベル嬢は14歳とは思えないピアノの腕だし当然よね。私がいた世界にいたらきっと天才少女としてテレビに引っ張りだこだったでしょうね。


ピアノは最近ようやくフツーの14歳程度の子が弾けるようにまで上達した。全部アナベル嬢のおかげ。


お礼にアクセサリーを1個プレゼントしたわ。先日の王宮へのパーティーの招待と王妃からの手紙で気をよくした公爵が私にお小遣いくれたから。

あんまり派手すぎず、でもアナベル嬢に似合って、年相応で綺麗なやつ。

アナベル嬢はふわふわカールのはちみつ色の髪で、目もピンク色でとっても可愛かったから小さいけどアレキサンドライトがついてるのにしたの。光の加減で2色楽しめる宝石だしね。

お金ってこういう時に使わなくっちゃ。金髪の男は嫌いだけど、ギャルもやってたから女の子は大好き。

性格のいい子はね。喜んでくれてたらいいんだけど。


そういえば公爵にもう1つ買ってもらったものがあるの。それがピアノ。


ヘレナのより全然グレードは落ちるけどそんなのどうでもいい。

夕食の時にさっき言ったピアノ練習のことを話したら公爵は3日後には別の部屋にピアノ買ってくれたわ。

私はそこでようやく毎日練習できて満足。ピアノの腕?3~4か月じゃあもちろんヘレナより断然下よ。ヘレナが私のピアノの音を聞いてクスッて笑ったけど別にんなもんどうでもいい。ていうか都合がいい。


ナサニエルも公爵も「まあこんなもんか」って顔して「がんばりなさい」って口先の応援して去って行ったわ。


ーーそう、たった3~4か月でヘレナを超えると困るのよ。だってヘレナはこの屋敷に住んで8年くらいで、愛されヒロインでお姫様だから。私がいきなり上に行ったら大変でしょ?だからちょっとずつ上に行って1年かけて追い越すつもり。


ああそう、勉強の方は順調よ。歴史は暗記したし、哲学も政治経済も詩学も医学も覚えたわ。言語はここの言語って英語に似てるみたいね。

クラリスの記憶があるからフツーに上流階級の言葉はできるけど、他の国の言語も習得中。

ホステスなめんじゃないわよ。私の客の中には中国人もいたしフランス人もいたしインド系もアメリカ人もいたわ。だから系統さえ分かればあとは言い回しに注意して覚えるだけ。軽いわね。

勉強やピアノの成果はこれくらい。


私さあ、自分じゃなんの努力もしねーくせにイケメンの恋人に好き好き言われてるヒロインっての?嫌いなのよね。まずはこんぐらいは努力しろよって感じ。

恋愛ってさあ両方の立場が対等で両方に愛があってこそ成り立つものじゃん?お人形愛でてんじゃないんだしさ。

なんかそういう話見てると思うのよね、あーこれあれだ、捨てられた子猫を可愛がるやつだって。

つまり対等の人間扱いしてないから男の方も優しく気分よくさせるわけよ。だって犬猫に対して人間と同じように本気で言い争いするやついる?自分より格下で自分の立場を崩すことがないから安心して優しくしてるわけ。

犬猫扱いされてるのを優しいって思うってどんだけだよって一回見た不憫系ヒロインの恋愛モノ見て思ったわ。


まあつまんない話はこれくらいにして仕事の方は最近はめっきりね。私がグロリア様に師事してるせいで週3日は家を空けるから、ちょっと事務仕事をするくらい。

公爵は私を使ってオルコット公爵家と太いパイプを持ちたいみたいだから、チェスターに仕事を回さないようにって言ったみたいね。

この間通りすがりにチェスターに挨拶したら、今まで一度もしてこなかった若奥様への挨拶をしてきたわ。私はそれを笑顔で返し、ちょっと立場が変わってきたのを感じた。


あとはヨアン。なんか最近構ってくるのよね。ウゼーなとも思ってたけど一応妻だし相手オトメンだし妻らしく応対してる。気品ある妻ってやつ。

私があの離婚騒動と骨董市デート以降グロリア様に師事しちゃったから毎日勉強とレッスンで忙しくて遊べなくて困ってるらしい。マチルダから聞いた。

ヘレナといきゃいいだろって思ったんだけど、なんかそれじゃイヤみたい。仕方ないから今度初2人きりでのデートすることにしたわ。一応仲睦まじい夫婦演じないとね。


発言は王太子に啖呵切ってからちょっと意見言わせてもらえるようになった。私はこういう性格って印象ついたみたい。

とりあえずグロリア様のところで勉強して自信がついたっていうことにして、そういう風に過ごしてる。

ナサニエルや公爵やヘレナは教育者によって石ころも宝石に変わるのかって思ってるみたいね。ちょうどいいから放っておいてる。



「グロリア様、今日もありがとうございました」

「ええ。それでは次にヘレナ嬢が来た時には覚悟してね。徹底的にやるわ」

「はい、私はへこたれない泥くさい嫁で」

「それではまた来週」


グロリア様の屋敷を後にし、私は家路についた。

いやー今日も収穫がたくさん。面白い本も紹介してもらったし。私は部屋に戻ると早速お風呂に入った。

そしてマチルダに背中についた鞭の痕に薬を塗ってもらい、着替えて部屋で遅めの昼食を取った。


そういえば3か月で5kgくらい太ったけど、クラリスって胸でかいのね。それも綺麗なお椀型。

アバラ骨も消えて、イイ感じのモデル体型になったのを鏡で見て、私はそろそろ筋トレするかと考えた。

イイ女は日々の努力が大切。体力もつくしね。


私はとりあえず昼食を取った後、庭を散歩することに決めた。この世界ジムないしね。




お読みいただきありがとうございました。

次は明日に更新します。


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