恋は下を見て、愛は真ん中を見る。
居酒屋のカウンターで、ちょっといい感じに酔ってきた夜。
男友達に「恋と愛の違いってなんだと思う?」と聞かれた。
私は笑って、グラスを置いた。
「恋って漢字、下に“心”があるでしょ?
つまり、“心を落とす”ってことなんだよね。
感情がふわっと浮いて、相手に落ちていく。だから不安定で、揺れる」
「……ほう」
「逆に、“愛”は真ん中に“心”があるでしょ?
これはさ、“心が中心にある状態”ってこと。
つまり、ブレない。
見返りを求めなくても、そこにちゃんと“自分の心がある”から安心できるの」
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相手は「言いそう〜!そういうの絶対言うよな〜!」と笑った。
私も「わかってんじゃん」と返しながら、どこか少しだけドキドキしていた。
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若い頃は、“恋”ばっかりしてた。
連絡が来ないだけで寝れなくなって、
既読スルーに一喜一憂して、
好きって言われたら舞い上がって――
気づけば、落ちるだけ落ちて、ひとりで終わってた。
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でも最近は、
誰かの横にいても、自分の“中心”がズレないかどうかを見てる。
どんなに笑顔が素敵でも、
どんなに優しくても、
その人といると自分が不安定になるなら、
それは“恋”だけで終わる気がするから。
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恋は、心が落ちる。
愛は、心が真ん中にある。
だから――
恋愛って、“不安と安心のせめぎ合い”なんだよね。
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「で?」と友達。
「結局、お前はいま恋してんの?愛してんの?」
私はグラスをまた一口。
ちょっとだけ考えて、笑った。
「今は――まだどっちでもない。
でも、どっちでもないってことは、
これからどっちにもなれるってことじゃない?」
漢字って、たまにすごく深いよね。
恋は落ちる。
愛は支える。
だから恋愛って、どっちか片方だけじゃ、
ちょっと物足りないんだと思う。




