表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/101

なんで結婚しないの?って聞かれて、笑った私へ

「ねえ、なんで紬ちゃんって、けっこんしないの?」


――その瞬間、

時間が、ピタッと止まった気がした。


友達の子ども、5歳。

悪気なんて1ミリもない。

ただ、純粋に“気になったから聞いてみた”ってだけ。


その透明なまなざしに、

どんな嘘も通じない気がして、

思わず一瞬、言葉を失った。



「それなあ、いい質問だね〜!」って笑って返したけど、

その裏側で頭はフル回転してた。


なんでだろう。

なんで私は、まだ結婚してないんだろう。


好きな人がいなかったわけじゃない。

結婚を意識した恋も、いくつかあった。

プロポーズされたことだって、一度ある。


でも全部、

“何か”が足りなかった。



足りなかったのはタイミングかもしれないし、

覚悟かもしれないし、

たぶん――相手を信じる勇気、だったかもしれない。



「お姫さまはね、だれかとけっこんしてるんだよ」

って言われて、

そっか、私、お姫さまじゃないんだなって思った。


でもそのあと、続けて言ってくれた。


「でも、つむぎちゃんはかわいいから、だいじょうぶだよ!」


……いや、フォローが天才すぎる。



帰り道、

なんとなく胸の奥がジンとした。

自分でも気づかないうちに、

“この質問”を恐れてたのかもしれない。


でも――

ちょっとだけ、誇らしくもあった。


だって私、

この年まで“選ばれなかった”わけじゃない。

“選ばなかった”だけ、なんだ。



今の生活に、不満がないわけじゃない。

でも、幸せでもある。


自分で決めた人生に、

少なくとも後悔はしてない。



次にあの子に会ったら、

ちゃんと答えてあげようかな。


「まだ結婚してないけど、

そのぶん、おいしいアイスと出会う確率はめっちゃ高いんだよ」って。


そうやって、

自分の人生に、ちゃんと笑っていられたら、それでいい。




子どもって、ほんとズルいよね。

ストレートすぎて、刺さるのよ。


でも、

ちゃんと答えられた自分に、

ちょっとだけ“強くなったな”って思えた今日でした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ