3日でやめた。でも、また入れた。
マッチングアプリ、
前にやったときは――3日で削除した。
プロフィール書くのめんどい。
“趣味はカフェ巡り”ってテンプレ感しんどい。
写真詐欺の嵐。
なにより、知らない人と“はじめまして”する体力がなかった。
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「私には向いてない」って思って、
アプリからも恋からもログアウトしたまま、
Netflixとコンビニワインに恋してたこの1年。
でも――
ある日、急にスマホを持つ手が止まった。
会社の後輩(年下の彼)が、
さらっと言ったひと言。
「紬さんもアプリ、やってみたらいいのに。
変な人ばっかじゃないっすよ?」
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その瞬間、
「いやいや、こっちは寝るのが最優先なのよ」って思った。
でも――
その言い方が妙に引っかかって、
帰りの電車でふとアプリを検索してた。
しかも、知らないうちに――再ダウンロードしてた。
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眠い。
プロフィール、またゼロから書くの?
“初回デートで行きたい場所”とか選ばされるの?
めんど……いや、ちょっと頑張るか。
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書いた。プロフィール。
気づけば、前よりちょっと砕けた文章。
「寝るのが趣味です」って書いちゃったけど、
それも私だし、もう盛らなくていいと思った。
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数時間後。
「いいね」がちらほら来てる。
別にイケメンとかじゃないけど、
一人、
“なんか、話してみたいかも”って思える人がいた。
年齢は近いし、
自己紹介に「寝るのが得意です」って書いてある。
……運命かよ。
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正直、返信するか迷った。
既読スルーすれば、楽だった。
でも、
眠さに打ち勝つ勇気って、
恋を始める前の“最初のハードル”だと思った。
だから送った。
「こんばんは。私も、寝るの得意です。」
アプリって、めんどくさいし、
疲れるし、嘘っぽいし、
たまに地雷も踏むし。
でも、
“ちゃんと誰かと話したい”って思えた夜、
もう一回だけ、やってみようって思った。
だから今、ちょっとだけ目をこすって、恋をしてます。