一緒にいると落ち着くって言われるけど、“ドキドキしない”とも言われる
「紬といると落ち着くわ」
「なんか、実家みたいな安心感ある」
「紬はほんと、癒し系だよね〜」
そう言われるたび、
私はちょっとだけ笑って、
ちょっとだけ傷ついている。
“好き”じゃないんだなって、気づいてしまうから。
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「好き」と「落ち着く」は、
たしかに重なる部分もあるけど、
イコールじゃない。
特に男の人は、
“落ち着く”と“ドキドキ”を分けて考える人が多い気がする。
私が、“安定”の側に入れられていることは、
なんとなくわかってる。
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社会人になって、恋愛の仕方が変わった。
昔みたいに一気に燃え上がって、夜中までLINEして、
「早く会いたい」なんて言い合うような恋は、少なくなった。
その代わり、
ごはんを一緒に食べて、
疲れてる日は無理に会わなくてよくて、
それでもちゃんと“つながってる”感じがする――
そんな関係を、
私は大事にしたいと思ってる。
でも、
相手は違うみたいだ。
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「紬って、落ち着きすぎてて…たまに彼女って感じしないんだよね」
って言われたのは、
つい最近のこと。
一緒にごはんを食べて、笑って、
“いい空気”だったはずなのに。
その言葉で、
私はまた、“彼女になれない女”のラベルを貼られた。
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一緒にいて落ち着くって、悪いこと?
癒しになるって、恋じゃないの?
たしかに私は、
キャピキャピしてないし、
テンション高くないし、
リアクションも派手じゃない。
でも、
静かに相手を見て、
ちゃんと話を聞いて、
その人の“いいところ”を見つけて、好きになってる。
それって、
“ときめき”じゃないのかな。
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「もっとドキドキする子がいい」
って言われても、
私は無理に“恋愛っぽい女”にはなれない。
こっちだって、
好きな人には胸が高鳴るし、
不意に名前を呼ばれたら照れるし、
手を繋がれたらちゃんとドキドキしてる。
でもその“静かなときめき”は、
見つけてもらえないことが多い。
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そういえば昔、
恋人だった人に「一緒にいると寝ちゃうんだよね」って笑われたことがある。
私の前だと、安心して眠くなるらしい。
そのときはうれしかった。
でも今ならわかる。
その安心感の裏で、
私は“女として見られてない”って
どこかで感じてた。
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私は、“火花が散るような恋”がしたいわけじゃない。
でも、“穏やかで確かな恋”は、
ちゃんと“ときめき”を含んでてほしい。
だから私は、
落ち着くだけじゃなくて、
ちゃんと好きになってもらえるような存在になりたい。
「落ち着く」って褒め言葉に、
なんでこんなに寂しさを感じるんだろう。
ドキドキがなくてもいい。
でも、私という人間に“ときめき”を見つけてほしい。
“癒される”だけじゃ、
心が満たされないときもある。
私は、ちゃんと“恋の相手”として見てほしいんです。