“顔がいい”って褒められても、選ばれなきゃ意味がない
「紬って、顔はめちゃくちゃ可愛いのにね」
「絶対モテるでしょ?」
「ほんとに彼氏いないの?信じられないんだけど」
言われ慣れてる。
褒められてることはわかってる。
でも、心はちっともあったかくならない。
“顔がいい”って言葉は、
ある日から私にとって、
ただの“役に立たない褒め言葉”になった。
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大学時代、バイト先で気になっていた先輩がいた。
仕事ができて、無口だけど優しくて、
みんなから頼られていた人。
ある日、勇気を出して飲み会のあとに話しかけたら、
「紬ちゃん、顔が可愛いからすごく得してるよね」
って、笑われた。
そのあと続いた言葉は、
「でも付き合うなら、もっと落ち着いた子がいいかな」だった。
そのとき私は、
“顔がいい”が“選ばれる理由にならない”ことを、
初めて知った。
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顔がいいって言われることは、嬉しくないわけじゃない。
写真を褒められたり、メイクや服を褒められたり、
努力してる部分を認めてもらえた気もする。
でも、
“選ばれない”という現実が続くと、
その褒め言葉は、
自分を少しずつ空っぽにしていった。
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「なんで彼氏いないの?絶対可愛いのに」
って言われても、
私にとってはただの質問じゃない。
“見た目だけ評価して、勝手に納得して終わる”という
“責任のない感想”にしか聞こえなくなっていた。
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好きな人に、
「見た目はタイプ」と言われたことがある。
じゃあ、どうして付き合わなかったのかと聞いたら、
「タイミングかな…なんか、すごくちゃんとしてそうだったから」
って言われた。
“ちゃんとしてそう”って何。
“顔がいいのに”って何。
“なのに”って、こっちのせいみたいに聞こえるじゃないか。
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本当に好きだった人からは、
一度も“顔”のことなんて言われたことがない。
その代わり、
「考え方が好き」
「真剣に話すところ、いいと思う」
「紬って、静かに強いよね」
そんな言葉の方が、
ずっとずっと私を救ってきた。
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私がほしいのは、
顔だけじゃなくて、心まで“好き”って言ってくれる人。
それがいなかったから、
今の私はここにいる。
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「顔がいいね」って言われても、
そのあと誰かと付き合えるわけじゃない。
選ばれる保証にもならない。
むしろ、“顔さえよければ”って思われる分、
期待と現実のギャップで苦しくなる。
だったら――
私、そんな褒め言葉、いらない。
“顔がいい”なんて言葉、
褒められても、選ばれなきゃ意味がない。
そりゃ少しは嬉しいけど、
それだけで心は埋まらない。
外見じゃなくて、
私の中身を好きになってくれる人に出会いたい。
でもほんとは――
そう思ってる自分も、
ちょっとだけ見た目に助けられて生きてきたって、わかってる。




