表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/101

“選ぶ”には入ってこないけど、“惜しい”にはされる。

「俺、独身だったら絶対紬さんに告白してたな〜」


「いや、年齢近かったら絶対付き合ってたって」


職場の飲み会とか、久しぶりに会った男友達とか、

酔ったタイミングで、たまに言われるセリフ。


失礼な物言いではあるが

たしかに褒め言葉なんだと思う。

好意はあるってことなんだろう。


でも、

そういう言葉を言ってくる人に、

“選ばれたこと”は、一度もない。



「奥さんいるから無理だけど」「もうちょい若かったらね」

そんな前置きや条件付きの“もしも話”は、

たしかに私の自尊心を一瞬だけくすぐる。


でもそのあと、

すぐに現実に戻される。


だってそれって、

“現実では選ばないけど、気にはしてます”っていう、

すごく都合のいい立ち位置。



まわりの男性に、

「モテそうだよね」って言われたことも何度もある。


“〇〇そう”って、なんだろう。

“いそう”“してそう”“モテそう”――

全部、“実際はそうじゃない”前提で語られる言葉。


そして私は、

ずっと“そう見える側”で、

でも“そうなったことのない側”だった。



「惜しい」って思われるのに、

「じゃあ付き合いたい」とは言ってもらえない。


それってつまり、

“決定打に欠ける女”ってことなんだと思う。



一緒にいたら楽しいし、居心地もいい。

でも、“この人を手放したくない”とは思われない。


きっと私は、

“誰かの本気”に触れられる場所にはいない。



それでも私は、

そのたびに笑って受け流してる。


「やだ〜、なにそれ(笑)」って笑って、

その場を盛り上げて、

ちょっといい気分になるふりをする。


でも帰り道は、

ちょっとだけ胸が苦しくなる。



たぶん私が欲しいのは、

“もし独身だったら”じゃなくて、

“今、あなたが選びたい人”になれること。



いつまで「惜しかったね」で終わる恋の対象に、

私はい続けるんだろう。


「独身だったら」「年齢が近ければ」

そういう“仮定の恋”に、

何回救われて、何回置いていかれたんだろう。


本当は、

惜しいって言われるより、

ちゃんと“今の私”を選んでくれる人が欲しいだけなのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ