顔がタイプなだけの人に、期待してしまう。
正直に言うと――顔、めっちゃタイプだった。
マッチングアプリでマッチした彼。
横顔の写真にちょっと惹かれて、プロフィール読まずに「いいね」押した。
結果、話してみたらまあまあだったけど、
とにかく顔が、どストライクだった。
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会ってみたら、やっぱりかっこよかった。
清潔感あるし、
髪型も無造作に見えてちゃんと計算されてる感じ。
スーツの着こなしも自然で、
「この人、歩いてるだけで好感度上がるやつじゃん」とか思ってた。
話してみると――
うん、普通。
めっちゃ面白いわけでもないし、
気遣いもギリギリ合格ライン。
でも、笑った顔がかっこいいから、
なぜか全部オッケーな気がしてしまった。
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それに気づいた瞬間、
自分でもちょっと笑ってしまった。
「私、顔で判断してるじゃん」って。
でも、
それでもいいかもしれないと思った。
顔って、どうでもよくない。
一緒にいる時間、見る頻度、写真、記憶――
そのすべてに関わってくるから。
好みの顔って、
見てるだけでちょっとテンション上がるし、
機嫌悪い日でも、ちょっとだけ救われる。
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ただ問題は、“それだけ”だったこと。
初めてのごはん、
お店の予約もこっち持ち。
会話もほぼ私が回して、
最後は普通に「じゃ、またね〜」で終了。
LINEも続かず、既読無視。
私が頑張って送ったスタンプも、スルー。
いやいや。
顔が好きってだけで、
なんで私がこんなに頑張ってんの?
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友達に話したら、めっちゃ笑われた。
「いや、それただの“顔のファン”じゃん」
「推し活ならぬ“顔活”だよそれ」
「むしろその人、つむぎのこと“サービス精神で会っただけ”まである」
確かに。
ほんとそれかもしれない。
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思い返せば、私は昔から
顔がタイプな人にはちょっと甘かった。
優しくされるとすぐ嬉しくなって、
LINEが返ってくるだけで“脈アリ”って勘違いして。
でも、
そういう恋って、だいたい続かない。
顔に飽きたら終わるし、
中身が響かなかったら、それ以上は伸びない。
それでも――
タイプの顔だと、期待しちゃうんだよね。
「もしかしたら、何かあるかも」って。
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でも、
“何かあるかも”が、“何もなかった”ときのダメージ、
けっこうくるよね。
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次からは、ちゃんとプロフィール読む。
そして、
“顔が好きなだけの人”には、
恋をしないって決めた。
……たぶん。
顔がタイプって、罪ですよね。
どんな対応も「許せる」に変換されるし、
頑張ってる自分すら、なんか楽しくなっちゃって。
でも、顔は入り口でしかないんだよなぁ。
……って、
毎回思うのに、やっぱりハマっちゃう。
もう、仕方ない。