お見合いって、負けですか?
「つむぎ、もうお見合いとか考えたことないの?」
久々に会った友達に、
焼き鳥片手にさらっと言われた。
「え、てか私もうしたよ。こないだ親の知り合いが組んでくれてさ」
「全然恋愛って感じじゃなかったけど、
人としてはめっちゃしっかりしてて、むしろ安心感すごかった」
まじか。
って思った。
でも口では「へ〜、意外とそういうのもアリかもね」って返した。
⸻
お見合い。
婚活。
結婚相談所。
一度は調べたことがある。
でも「私はまだいいや」と、そっとページを閉じた。
なんでだろう。
別に悪いことじゃないはずなのに。
なのにどこかで、“それは最後の手段”だと思ってる自分がいる。
⸻
私はずっと、“自然な出会い”にこだわってきた。
職場で、飲み会で、たまたま誘われた食事会で。
なにかの拍子に目が合って、
少しずつ惹かれて、気づいたら好きになってる――
そんなドラマみたいな恋を、
本気で期待してるわけじゃないけど、
やっぱり、少しくらいは夢見ていた。
⸻
お見合いって、“戦略”だ。
出会いを“目的”にして動く行動力は、本当にすごいと思う。
だけど、そこに踏み込むと、
「私、負けたのかな」ってどこかで思ってしまいそうで、
足が止まってしまう。
誰に負けたのかは、わからない。
でも、“自然に選ばれなかった自分”を、
ちょっとだけ認めることになってしまいそうで。
⸻
でも、ふと我に返る。
それって何と戦ってるんだろう?
「自然な出会いじゃなきゃ意味ない」って、誰が決めた?
食べたいものを探すのにアプリを使って、
観たい映画を検索して、
好きな服をネットで探すように。
会いたい人に会うための手段を選ぶことって、
本当は“勝ち負け”じゃない。
“目的にまっすぐ向かってるだけ”なのかもしれない。
⸻
私、いまのままじゃ結婚できないかもしれない。
それは、ちょっとだけ、怖い。
でも、
“誰にも選ばれなかった”って思うことの方が、
もっと怖い。
だからたぶん、そろそろ――
「それも手段のひとつ」と、ちゃんと向き合う時期なんだろうな。
⸻
スマホで“都内 婚活 紹介”と検索して、
そっとページを閉じた。
でも今日は、それでいい。
また開けばいい。
お見合いって、
“誰にも選ばれなかった人が行く場所”じゃない。
会いたい人に会うための選択肢があるなら、
そこに向かうのって、むしろちゃんと自分を信じてる証拠かも。
……そう思えるようになるまで、
ちょっと時間がかかっただけなんです。