子ども欲しい?”に即答できない。
「つむぎさんって、子ども欲しいですか?」
職場のランチ中、後輩の何気ない一言だった。
結婚を控えた別の同僚が“そろそろ妊活”って話をしていて、
その流れでふと振られた話題。
「えっ、あたしは絶対欲しい!2人は欲しい!」
「私はどっちでもいいかな〜、パートナー次第かも!」
そんな中で、私の答えは出てこなかった。
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欲しいか欲しくないかで言えば、
「欲しい」と思ったことはある。
でも、
“本当に自分が産んで育てるイメージ”となると、
正直、想像がうまくできない。
子どもが好きかって聞かれると、
めちゃくちゃ好きなわけでも、苦手なわけでもない。
親になった友達の子どもを見ると、
かわいいな、とは思う。
でもそれって、
“お客さんとしての感想”に近い気がしてしまう。
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30代後半になって、
“子ども”というワードは、急に重たくなった。
話題に出すのも、少しだけ慎重になる。
妊娠している友達には、気を遣うし、
不妊治療をしている知人には、もっと気を遣う。
そして自分自身には――
“なんとなく避けてきた問い”として残ってる。
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「つむぎさんは?」
そう聞かれたとき、私は笑って答えた。
「うーん、わかんないなあ。タイミングあれば、かな」
“タイミングあれば”。
どれだけ曖昧で、
でも、どれだけ本音に近い言葉なんだろう。
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昔は、「いつかは自然にできるもの」だと思ってた。
でも、その“自然に”は、もうとっくに過ぎていて。
選ぶなら、ちゃんと“自分で決めないといけない段階”に来てる。
それなのに、まだ心が追いついてない。
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“子どもが欲しい”って、
“結婚したい”よりもずっと、踏み込んだ願いだと思う。
だからこそ、その手前でつまずいてる私には、
答える資格がない気がしてしまう。
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帰り道、駅のホームで小さな子どもと手を繋ぐ親子を見かけた。
その光景に、
「いいな」と思う気持ちと、
「私はどうなんだろう」という気持ちが交差する。
子どもが欲しい。
でも、それは“寂しさの埋め合わせ”じゃないか?
自分が母親になれるのか?
一人じゃ無理じゃないか?
頭の中で、いろんな自問自答がぐるぐる回る。
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結論は、まだ出ていない。
きっとこのまま、簡単には出ない。
でも、それでも私は、
“この問いから目を逸らしたくない”と思っている。
「子ども欲しい?」って聞かれると、
一瞬、時間が止まる。
はい/いいえ、じゃ割り切れないし、
答えた瞬間に何かを背負う気がして、言葉が出なくなる。
それでも、答えを出さないままじゃ、
どこにも進めない気がしてる。
……でも、もうちょっと、考えさせて。