9話 続続 異世界転生、無限の収納スキルで始めるスローライフ!魔法と料理と、無限のアイテムで彩る日常
「なあ、俺はこれからどうなるんだ?」
どうやったかは分からないが、マサトはスキルを奪われていた。
更に地面に転がされていた。
後ろ手に縛られており、足も2重3重に縛られていて身動きが取れない様子。
声をかけられたウサギ耳の獣人の少女は、
「そんな事は…聞くまでもないでしょう」
「……そうか、俺はここまでなんだな…はぁ、やれやれ。
トラックでふっとばされ、死んだと思ったら異世界に連れてこられてチート能力をもらって。
これで人生ウハウハだったはずなんだけどなあ。
そうかあ、これで終わりかあ」
マサトと少女はお互いにため息をついた。
視線を逸らしたまま、少女は静かに口を開く。
「マサトさん…あなたみたいな人を見てると疑問におもうのです。
何故そこまで倫理観がないのですか。貴方は間接的に大勢殺している。
ここまで言われてこの状況になってもまだ自分のことばかり」
「そんな事言われても実感がないんだからしょうがないだろ」
マサトはまるで他人事のように、軽い口調でそう言った。
「あなたは現実世界でもそうだったんですか?」
「少なくとも法律を犯すような真似はしてないな」
「何故あなた達は…法律がなくなったら好き勝手やりだすんですか…?倫理観はどうなってるんですか」
マサトはしばらく考え込んだようだったが、
「…なあ、アンタはゲームって知ってるか?」
「あなた方がいうゲームというのは、おそらく鬼ごっこやかけっこ、ボール遊び等ではなく機械を操作する類のものなんでしょうね。…召喚された実物を見たことがあります」
「ゲームで能力を与えられて…わざわざ縛りプレイするバカにはなれないな」
「あなたにとってこの世界は…あの機械の中の世界みたいなものなんですか。能力があるから使う?
その結果がどうなるか、考えたことはなかったんですか!?」
マサトは少女の疑問にまともに答える気はないようで、まるで独り言のように呟いた。
「BANされるなら…注意書きくらい出してほしかったな」
「BANってなんですか?」
「この世界を追い出されるってことさ」
「3度目があると思ってるんですか?」
「分からないけどまあ…気楽に考えたほうが精神衛生上良くないか?」