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8話 続 異世界転生、無限の収納スキルで始めるスローライフ!魔法と料理と、無限のアイテムで彩る日常

 森の澄み切った朝の空気の中、マサトは小屋から出てきた。深呼吸をすると、鳥のさえずりが心地よく耳に響く。


「さて、今日の朝食は何にしようかな?」


 そう呟きながら、彼は異次元の収納庫に手を伸ばす。

 収納庫の中には、昨日の狩りで手に入れた新鮮な鹿肉や、畑で採れたばかりの野菜、そして世界中のレシピ本がぎっしり詰まっている。


「今日は、この鹿肉でステーキにしよう。それに、ハーブを添えて……」


 そう心に決め、収納庫から必要な食材を取り出す。調理器具を取り出し、フライパンを熱する。

 ジュージューと音を立てて焼けるステーキの香ばしい匂いが、小屋の中に広がる。




「今日はこのあたりだな。」


 マサトは海から収納した海水を放出し、あっという間に巨大な湖が生成された。

 続いて、サンゴや海藻を移植する。

 収納スキルで持ち運んだものは湖に設置されるとすぐに定着し、美しい背景を形成し始めた。


「これで、魚たちの住処ができたな。」


 そう呟きながら、マサトは様々な種類の魚を海に放流する。

 カラフルな熱帯魚、悠々と泳ぐマンタ、そして大きな鯨まで。巨大な湖は生命に満ち溢れた。


「よし、最後に山だ。今日はこのあたりでいいかな」


 マサトは突如大量の土を放出し、その土はあっという間に山と呼べる大きさとなった。

 マサトは木を植え始める。収納スキルで持ち運べる巨木は、まるで積み木のように簡単に地面に立てられる。


 木の根元には、腐葉土や鉱物を散布し、土壌を豊かにする。


 仕上がりに満足するマサトの背後から突如、声がした。


「こんにちは、マサトさん」


 マサトが振り返るとそこにはウサギの耳をした獣人の少女が立っていた。

 少女は大きな瞳でマサトを見上げ、少し恥ずかしそうに笑った。


「あの…、すごいですね。あっという間にこんな大きな山を作ってしまうなんて」


 マサトは少し照れながら答えた。


「まあね。ちょっとやりすぎかな?」


「いえ、そんなことないです! !すごく素敵です。こんなところに住んでみたい。

 …この山、なんて名前ですか?」


「まだ名前はないな。何かいい名前ないか?」


「うーん…略奪の山、なんてどうですか?」


「!?」





 少女からは先程までの笑みが消え、冷酷な表情が浮かんでいた。


「お前は…誰だ!?」


「こんにちはマサトさん。私はこの国の王から依頼され、この国で起きている様々な天変地異を調査しているものです。今この国は崩壊の危機にあります。自然豊かなこの国は今や見る影もなく

 山は消え森林は消滅し砂漠となり、海の生物も激減しています。…あなたですね?」


 マサトは、少女の言葉に動揺を隠せない。

 収納した土で作った山が、国の崩壊と結び付けられるとは予想もしていなかった。


「…どういうことだ?」


「あなたはこの国の土を持ち出し、無許可で生態系を破壊している。

 それはこの国のバランスを崩し、多くの生物や市民の命を奪う行為です。

 あなたはこの国の破壊者なのです。

 私は、依頼を完了するためにあなたを止める」


「待ってくれ!!俺はただ、自分の好きなように生きていただけだ!」


 マサトは、必死に叫ぶ。


「自覚のない悪ほど手に負えないことはありませんよ。

まあ…あなたを捕まえても、そのスキルが有れば即脱出できる。

あなたを無力化して収納スキルを取り上げるか、もしくは息の根を止めるしか無いでしょうね。

さて、どうしますマサトさん」


 マサトは無言で収納スキルを手のひらに出現させた。

 

 ーーこのスキルを人に向けて使ったことはないが、やむを得ない。

 ここで捕まるわけには行かない。


「来るなら…容赦しないぞ?」


「やはりあなたはどこまでも自分勝手ですね。いいですか聞いて下さい。あなたは山を切り崩し数多くの住民の生活を破綻させている。植林や狩りなどで生計を立てていた人間は計り知れない。その人達の人生を狂わせた。

 海から数多くの魚が消え漁師達も危機に瀕しています。生活苦で自殺した者や体を売った人間だって大勢います。はっきりいいます。あなたは大量殺人の悪魔です。」


 そんなつもりはなかった。マサトには後悔の顔が浮かんだ。

 しかし、いきなりそんなことを言われてスキルを取り上げると言われても受け入れられるわけがない。


 マサトは少女に向かい収納スキルを放つが、次の瞬間少女の姿は消えていた。


「やはり…反省するわけ無いですよね」


 背後から声が聞こえたと思ったらマサトは首の付け根に衝撃を感じ、意識を失った。

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