6話 続続 異世界転生した冒険者、シヴァンが最強のオークと対峙!運命の決戦
村長や村人達のただならぬ殺気を感じた我々は臨戦態勢に入り、オークの縄を解いた。
小雨がポツポツと降り注ぐ。
「なぜ分かったんじゃ」
村長は怪訝な表情でこちらを睨む。杖をいつの間にかシヴァン達に向けかざしており、さっきまでの杖に体を預けよろよろと歩く村長は、もうどこにも存在しなかった。
村人がそれぞれ持っているものを掲げると、炎や氷、風や落雷などの魔法が飛び交う。
パーティメンバーはそれぞれ散り応戦した。
「オークの体で作った物は魔力が高いでのう。よく売れるんじゃよ。ところがしばらくオーク狩りをしていたらオーク共が隠れてしまってのう。我々は探知魔法がつかえないからな」
シヴァンは叫んだ。
「貴様ら金のためにオーク達を!?」
「オークは人間ではない。ただの家畜と一緒じゃ。殺して金にして何が悪い?」
メンバーやオークも防戦するが村人の数が多く分が悪い。
村長が放つ炎が足を焼き、シヴァンの悲鳴が山に響く。
奮戦虚しく、天候は荒れ豪雨になり、同時に追い詰められてしまうパーティメンバーとオーク。
勝ち誇る村長。
「さてシヴァンくん。我々も馬鹿ではない。
君等みたいな低レベルの冒険者にわざわざ依頼したのはこのような事態にするためじゃ。
しかし君らは我々の想定を超え、企みを暴いてしまった。
何故分かった?翻訳魔法など君等に扱える代物ではあるまい?
ワシにはわかるぞ。
この場を切り抜けられないようでは実は力を隠してたということでもあるまい?」
シヴァンは冷や汗を浮かべる。
ーーおそらく喋っても黙っても俺達は殺される。できるだけ時間を稼ぐしか…
その時天から巨大な雷が村人全員を一斉に襲った。
「何っ!?」
村長は飛び退き落雷をぎりぎり避けるが、他の村人全員が落雷の直撃により行動不能となり地に伏す。
「これは……まさか、落雷魔法か!?き、貴様らがやったのか!?」
あっけにとられるシヴァンだが、この隙をついて村長に全員で襲いかかり後ろ手に縛った。
いつの間にか村長たちが持っていた得物のうちいくつかは消えていた。
そしてミミィとはもう出会うことはなかった。
シヴァン達は国の機関に報告し、村長たちを引き渡す。
ーーあの落雷が無ければやられていた。果たして彼女は何者だったのだろうか。あの落雷はまさか……