4話 異世界転生した冒険者、シヴァンが最強のオークと対峙!運命の決戦
夕焼けに染まる山道をたどって、シヴァン達冒険者一行はようやく村に辿り着いた。
険しい山道を越えたどり着いた場所は、周囲を深い森に囲まれていた。朽ちかけた木造の建物が立ち並び、どこか寂れた雰囲気が漂っていた。
「…2匹のオークは時々山から降りて村を荒らし、大勢の住民が犠牲になってるんじゃ…。そのオークが住む詳しい場所はわからないんじゃがの……」
よろめきながら玄関先まで出てきた村長は、古びた杖に体を預け、遠くの山々をぼんやりと眺めていた。
刻まれた皺の深い顔には、村の歴史が刻まれていた。
その瞳には、長年の重責と疲労が滲み出ている。
周りでは住民達があくびをしながら桑で畑を耕しており、羊は放し飼いにされていた。
シヴァンは憤慨した。
ーーこんな長閑で平和そうな村を荒らし、あまつさえ住民の命を奪うなど言語道断だ!!
村長の言葉を受けた次の日。
冒険者達はオークを探しに山にやってきた。
メンバーは得意の探知魔法でオークの場所を探し当てる。
洞窟の入り口は茂みに隠れており、一見すると分かりにくかった。
3mほどの体格をした2匹のオークは、シヴァン達を見ると逃げ出した。
当然我々は追いかけ、壁に追い詰めたオークに剣を刺そうとするとーー
「ちょっと待ってください!!」
その声とともオークとの間に割って入ったのは、ルーペを手に持ちウサギのような耳を生やした、利発そうな獣人の少女だった。
「貴方がた、オークちゃんを殺すのは待ってもらえませんか?」
「あ、アンタどこから現れた…何者だ!?そしてなぜ邪魔をする!?」
「私は不幸な出来事を未然に解決するために動いている、トラブル調査解決団のミミィです。
解決にあたっては報酬をもらっています。よろしくお願いします」
いきなり名刺を渡されシヴァンは虚を突かれた。
ミミィは続ける。
「……貴方がたはクエストを受ける時不思議に思いませんでしたか?
村は平和そのものですよ。
聞くところによると村の人達は大勢犠牲になったそうですね。
貴方がたは村人の様子を見てどう想いました?
いつ襲われるかも分からないような態度をしてましたか?」
ーーそう言われれば、村人の様子は平和そのものだった気が……
「いいですか。私がオークちゃんに翻訳魔法をかけます。
彼らの言い分も聞いて下さい」
その獣人の少女はミミィという名前を名乗ったあと魔法を唱え始め
オークにやらわかな光が当たる。
そのオークのうち一人はいきなりとんでもないことを言い出す。
「うう、オデ達は、あの村のニンゲンと、やってきた冒険者に大勢殺されたダヨ…
ミンナの体はアイツラに取られたダ…
ミンナ、ミンナ死んじまってとうとうオデ達二人だけに…
オデ達が何をしタ!!」
ーーこれはどういう事だ?
村の住民が殺されてるのではないか?
これではまるでアベコベではないか!!
「ふざけるな!!お前たちの妄言になど騙されるものか!!」
「じゃあ、こっちにくるンダ……」
オークについて行き洞窟の奥に行くとおびただしい数の、真新しい墓が現れた。
「あの墓はドマ、あれはンナンナ、そっちはゼミ……それからそれから……」
オークは無数の墓を指差し名前を挙げていく。
「皆死んじまったダヨ……体もなくて、その墓の中は空っぽダ……」
オークは寂しそうな声で訴える。
ーーそういえばこのオークたちは我々をみるなり逃げ出していたが。
しかしシヴァンはオークの言うことを鵜呑みには出来なかった。
「しかしこれを見たからと行って村人達がオークを虐殺したとは限らないし、村人が襲われなかった証拠にもならないだろ?」
「おっしゃるとおりです。だからあなたがたはこれから村に戻り、よく観察してください。村全体を」
いたずらっぽい笑みを浮かべながら、ミミィは楽しそうに言った。