第64話 昇格試験(上級)?ー1
まえがき
すみません、昨日上げる順番まちがえました
「やっぱり、わ、私も残りましょうか?」
「いや、ごめん。多分ソロになるから……何かあっても守れない。天道さん達と一緒にいる方が安全だ」
「そ、そうですね、すみません。では気をつけてくださいね! 私まってます」
「おう!」
A級キューブを攻略したあと俺達はそのまま、別れることになった。
会長達は東京に戻り、俺だけがクラスアップチケットを使うことになる。
田中さんだけは俺のために残ってくれるそうだ、何かあった時すぐに病院にいけるようにとのこと。
何から何までお世話になってしまっている。
「じゃあ、私だけ灰君と残りますんで。お疲れ様です、景虎会長。椿君によろしくお願いしますね」
「椿君……怒っとるかな」
「めちゃくちゃ怒ってると思いますよ」
「儂、帰りたくない……ここに残る」
「じじぃ、ほら、帰るぞ。しっかり怒られろ。……おい、暴れるな! 木がもげるだろうが! レイナ抑えろ!」
「わかった」
そういって天道さん達に連れていかれる会長は駄々っ子のようにも見える。
あんな図体の駄々っ子は嫌だが、会長は諦めたように那覇空港へと向かっていった。
俺と田中さんだけ残って手を振りながら、みんなを見送る。
実はA級キューブは、あのホテルから数百メートルしか離れていない。
なので移動はすぐなのだが、長丁場になるかもと、近くのコンビニで食料を買い込んだ。
「さて、灰君。じゃあいくかい? そのクラスアップチケットとやらで。とりあえず病院はここから目と鼻の先だ。ここには日本一の名医がいるから安心するといい」
「はは、大怪我前提ってのも嫌ですがね。それは心強い」
「そこに関しては残念ながら信用はないからね。死なないで帰ってきてくれたら何とかなるように手配しよう」
「そういわれると少しためらいというものが……」
「はは、さぁ行っておいで。私は仕事があるからね、ここで待っていよう」
そういうと田中さんは、車の中から椅子と机、そしてパラソル。
広場に一瞬で快適空間を作り出しパソコンを開いて仕事を始めた。
どこでも仕事できるのはすごいなと思いながら俺は9枚のクラスアップチケットと、もう一つのクラスアップチケットを鞄から取り出す。
「じゃあ、いきますね」
俺はその銀色のチケットを10枚束ねる。
直後光り輝くチケットが、一枚のチケットにまとまっていく。
「ほう、これが……ん? 色が銀色から変わっていくな」
「あ、あれ?」
銀色に光っていたチケット。
しかし、直後金色に変わって光り輝いた。
『使用者の魔力量が10万を超えていることを確認しました。騎士の紋章を確認。上級騎士昇格試験……上級から覚醒に変更します』
まさかと俺はその金色に光り輝くチケットのステータスを見る。
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属性:アイテム
名称:クラスアップチケット(覚醒)(10/10)
入手難易度:S
効果:ー
説明:魔力10万以上のみ参加可能
昇格試験(覚醒)を開始します。
転移まで、あと00:00:10
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「……またこんな感じかよ!! しかも後10秒って!!」
「ど、どうした!? 灰君!」
俺は行き場のない怒りと共にそのチケットを握りしめる。
もはやどうすることもできない、チケットを破ろうが捨てようが俺は強制転移させられるだろう。
ってか前もそうだけど隠し要素多すぎないか? 神の眼さんちゃんと仕事してください。
「はぁ……田中さん……俺……」
「俺?」
「生きて帰れないかも……」
そして俺の涙と共に視界は暗転した。
◇
「いってしまったか……」
田中は灰の最後の涙を見て苦笑いしながら、とはいえ何もできないので待機する。
パソコンを開き仕事を始めようとした、その時だった。
一通の電話が鳴る
「……はい。田中です」
「田中君か!? わしじゃ、灰君は!?」
「今行ったばかりですが……」
「そうか、間に合わんかったか……」
「どうかしましたか? そんなに慌てて」
「……儂も今聞いたばかりじゃが……奴らが日本に来た。滅神教じゃ」
「……どういうことです。来たとは、日本にですか?」
「そうじゃ。もうニュースになるころじゃろう。奴ら大司教クラスできよった。儂と龍之介、レイナはその対処に当たる。目的はわからんが、東京で暴れておるんじゃ」
田中は、すぐにパソコンを開きニュースをチェックする。
すると、東京にてテロ行為が発生、至急避難との見出し。
そして詳細は日本ダンジョン協会日本支部への爆破テロと無差別な攻略者への攻撃とあった。
「わかりました、私もすぐに対処を。アヴァロンの一軍を。弓一君は……確かNYですか」
「間が悪いことにな。では頼む、今椿君が対処に当たってくれているが……正直分が悪い。奴ら大司教ということはS級じゃ。しかも四人いるらしい」
「……S級が四人。では……米国にも支援を」
「あぁ……NYのダンジョン協会本部にはすでに救援を要請しておる、しかし米国からでは半日はかかるじゃろうな。だから田中君はそこに残り灰君を待て。きっと彼の力が必要じゃ」
「わかりました」
そして田中はすぐに電話をかけなおす。
アヴァロンの一軍と呼ばれるA級メンバーで精鋭達。
全員がA級キューブを攻略した経験も持つ。
ただし、相手はS級と呼ばれ、人類最高戦力たち。
いかにA級とはいえ相手にならない。
だから、田中は待つ。
「灰君……早く戻ってこい……」
この国に新しく生まれたもう一人のS級を。
◇灰視点
「これで……10!」
俺は神の試練のときと同じような真四角の巨大な部屋にいた。
部屋には四つの支柱が等間隔に立っているが、大きさは前の比ではなく、200メートルほどの立方体だろうか。
野球ができそうなほどには広い。
そしてそこには、10体の盾使いが待っていた。
「いや、そりゃ数は単純にきついけど。多すぎだろ。しかも全員魔力一万のA級だし」
俺はその盾使い達の残骸のステータスを見る。
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名前:盾使い
魔力:10000
スキル:挑発
攻撃力:反映率▶25%=2500
防御力:反映率▶50%=5000
素早さ:反映率▶25%=2500
知 力:反映率▶25%=2500
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「これで一応全部倒したけど……」
10体の盾使い。
数は多いが今の俺の相手ではなかった、ただし疲労だけはたまっていく。
俺はその奥の扉を見る。
直後ぞろぞろと現れる盾使いと魔法使い達。
その数は先ほどの倍はいるだろう。
「そりゃ、終わりなわけないよな─……」
俺は10体の盾使いと10体の魔法使い相手にミラージュを使う。
次にアサシンを含めた合計30体を相手にすることになるのだが。
「数揃えればいいなんて安易すぎるぞ!! くそ神がぁぁ!!」