第七話 垣間見える真実
更新が遅くなりすいませんでした
今回も読んで頂けると嬉しいです!
「景色すごーーい」
駿のお見舞いで来たはずだったが、香織はリビングからの景色に感動していた。
真は2回目の訪問となるが、怪しまれない様に景色に驚いてるそぶりを見せた。
「お見舞いに来たんじゃないのかよ、、、」
駿のツッコミで2人はようやく視線を景色から駿へと移した。
「ごめんごめん。これ私たちからのプレゼント」
香織は先ほどドラッグストアで買った物を渡した。
「サンキュー! とりあえず適当に座っていいよ」
「駿!体調は大丈夫なのか?」
急に真剣な表情で聞いてきた真に、駿は少し驚いていた。
「なんでそんな深刻な顔してるんだよ。 ただの風邪だよ」
そう答えた駿はキッチンへと行ってしまった。
本当は風邪じゃなくても、駿は風邪と答えるしかないのは分かっていたが確認せずにはいられなかった。
真と香織がリビングのソファに座っていると、駿がキッチンから飲み物とちょっとしたお菓子を持ってやってきた。
「大したおもてなしはできないけど、どうぞー」
そういって駿も空いてる椅子に座り、3人んでテーブルを囲んだ。
「あの写真に写ってるの、小さい時の駿??」
リビングの家族写真に気づいた香織は興味を示した。
「そうだよ。小学4年くらいの時かな」
「可愛いーー! 面影あるね! 箱入り娘ならぬ、箱入り息子だね」
香織は本心で言ってる事なのだろうが、真は苦笑いでその場を凌ぐしかなかった。
それに自分が、そして恐らく駿も暴力を受けたこの現場で楽しい気分になれって方が無理である。
「そう見えるだろけど、母親は別居してるし俺は箱入りなんかじゃないよ」
駿は当たり前の様に発した言葉だったが、香織は写真についてふれた事を後悔し、申し訳なさそうな表情をした。
それを見かねた駿は慌てて補足した。
「隠してる事じゃないし、友達はみんな知ってる事だから気にしないでいいよ。
そういえば!!遊ぶ日程決めよう。」
駿のフォローもあり、香織に少し笑顔が戻った様に見えた。
「その事すっかり忘れてた」
真も香織をフォローするかの様に会話に入る。
そうして日常の会話に戻ると、重たい空気も一気に無くなった。
しかし、香織も自重したのか、その後に家族に関しての会話をする事は無く、
遊ぶ日程を決めた後には、その日にあった学校の出来事などを報告してから帰る事にした。
そして真は1つアクションを起こす事にした。
「あっっ!」
玄関で靴を履くとき、真はわざとバランスを崩したふりをして駿の左腕の肩付近を掴んだ。
「っつ、、、、、」
駿が痛みのあまり、左腕を抑えていた。
予想以上の痛がり方に真だけでなく、香織も不安そうに駿を見ている。
「ごめん、、」
真は謝りつつも、この痛がり方は確実に暴力の影響なのではないかと思っていた。
しかし、この場で暴力について聞く勇気は真には無く、心配する事しかできる事はなかった。
「驚かせてすまん。もう大丈夫だから。気をつけて帰れよ!」
すぐに冷静になった駿は、何事も無かった様に2人を送り出した。
そう言われてマンションを後にした2人だったが、あの痛がり方には香織も違和感を覚えた様だった。
「駿て今は腕怪我してるのかね?」
「俺も分からない。結構痛そうにしてたけど大丈夫かな。」
2人の不安を他所に、ユイちゃんからの連絡でスマホが香織のスマホが振動する。
「先にカフェで待ってるね!」
ユイちゃんからのメッセージを確認した香織は不安な表情を浮かべながら真の方を見た。
「真は駿の家庭の事知ってたの?」
「え、、」
父親の暴力のことが頭によぎった真は言葉に詰まる。
「前に、家庭環境が恋愛に影響するかどうか聞いてきた事があったでしょ?
今思えば、駿の家庭の事を知ってたから聞いたのかなと思ってさ」
「俺も今日初めて知ったよ。あの時は一つの可能性として疑問に思った事を聞いただけ」
正直、ここまで来ると香織にも暴力の件を話してもいいのではないかと真は迷い始めていた。それに、暴力とユイちゃんをフった事に因果関係が関係があるならば協力してくれるだろう。しかし問題はどうやって、暴力の事を香織に信じてもらうかだった。それがハッキリするまでは、協力をしてもらうか決めかねている状況から抜け出せない。
「ユイちゃんはこの事知ってると思う?」
「俺はユイちゃんも知ってると思うよ。友達とかはみんな知ってるって駿が言ったし、ユイちゃんだけに隠すのは無理だと思う」
「だよね〜」
はぁ、、とため息をつく香織と真はユイちゃんの待っているカフェへ向かった。
カフェに入ると丸テーブルのところにユイちゃんが座っていた。
真と香織がそこへ合流する。
「駿くん、大丈夫そうだった?」
「めっちゃ元気だったよ!」
ユイちゃんは真からの言葉で安心した様だった。
「それならよかった。駿くん、怪我も多いし心配になって、、、」
サッカー部だから怪我が多いで納得してしまうかもしれないが、真にとってはそうはいかない。
「どこ怪我してたの?」
「上半身ばかり痛めてた気がします。一回だけですが、胸のあたりに大きなアザがあるのは見たことありま、、す、、。」
言葉に詰まっているユイちゃんの顔は真っ赤になっていた。
おそらくその時の状況を思い出して、恥ずかしくなったのだろう。
「ユイちゃんは駿の裸を見たことがあると、、、」
追い討ちをかけるように、ニヤニヤしてる香織がユイちゃんをいじる。
「そういえばさ、ユイちゃんは駿のご両親の事知ってるの?」
いじられて可哀想なユイちゃんを救うためにも違う質問を真はした。
人の家庭の事を本人がいない場で話すのは良くない事だと自覚しつつも、香織と真の事は信頼してるからだろう。少し間を置いてからユイちゃんは話初めてくれた。
「お父さんはお医者さんで、お母さんとは、、、数年前から別居してる事を駿くんから聞いたことはあります」
母親との関係はユイちゃんも知っていたが、父親が医者という情報が得られた事は真にとってありがたかった。
そのあとは、真と駿、香織の3人で今度遊ぶ事になった事をユイちゃんに伝えてから解散した。
2人と解散してから真は自宅まで少し遠回りのルートで1人歩きながら、考え事をしていた。
真はここまで何回か駿と会ったり、香織やユイちゃんと話ているが、これ以上何か成果を得るには限界を感じ始めていた。
それに、暴力の件とユイちゃんを振ったかどうかの因果関係を知るには駿の考えを知らなければ不可能な事だ。
しかし入れ替わったところで、その対象の感情まで読み取れる訳ではない。
ならば、まずは香織も解決に協力してくれる「なぜユイちゃんを振ったか」
についての真相を知る必要がある。
その真相が父親の暴力と関係している様ならば、暴力の事を香織に打ち明けて、こっちの問題解決にも協力してもらう作戦で真は行くことにした。
それとは別に、駿の更なる情報を集めるために普段から駿と一緒にいることの多いクラスメイトと一度入れ替わる事にし、月曜日にその品定めをする事にした。
話す相手が変われば話の内容も変わるだろうし、そこから何か新しいキッカケを見つけられるかもしれない。と小さな希望を抱きながら真は歩みを早めた。
その夜、ユイちゃんから一通のメッセージが届いた。
「今度、2人で話せませんか??」
ここまで読んでいただきありがとうございました!
今週中には最低でももう一話投稿します