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第十六話 香織の真意

更新遅くなり申し訳ないです。


これからも更新していきますので読んでいただけると嬉しいです

真が去った後の美術室には香織と後輩の3人が残り、恋バナに区切りをつけ、コンクールの話になっていた。


「香織先輩はどんな絵を描くか決まりましたか?」

コノミちゃんはそれとなく聞いてみた。


「うーーん、、、描きたいものは何となく決まっているんだけど、具体的にはこれから詰めていくところ」

そう答えた香織は特に焦っている様子はない。


「先輩の絵、好きなので楽しみにしてますね!」


「ありがとう!」

後輩達からの期待を対し、プレッシャーは無いようで素直に香織は感謝の言葉を述べた。


「よし!! じゃあお喋りはこの辺にして描き始めようか」

香織の言葉をキッカケにみんな一斉に自分の作業を始めた。


香織も絵を描くために椅子に座るが手が進まないでいた。

雑な線で顔の輪郭を描いたり、窓から見える雲を描いたりして時間を潰していた。


これは何が描きたいか決まっていないから適当に描いて時間を潰しているわけではない。

香織が描きたいものは既にハッキリと決まってはいるのだが、まだその物語は結末を迎えていないから描けないでいたのだ、、、。


「ユイちゃんと駿はどんな結末を迎えるんだろ、、、楽しみだな」

誰にも聞こえないくらいの小声で呟いた香織はそっと鉛筆を置いた。


ハッピーエンドなら明るい絵?、バッドエンドなら暗い絵? 

どんな絵が描けるかはこれからのお楽しみ。

そう考えると香織はワクワクしていた。


部活終了時刻の10分前。

香織は後輩達に挨拶を済ませ、一足先に美術室を後にして帰路についた。


特に何処かに寄り道する事はなく、真っ直ぐ自宅へと向かう香織は家に着くなり自室へと向かった。


学校のカバンをベットの雑に置いてから香織は机に向かった。

そこにはiPad proが置いてあり、それを手に取った香織は絵を描けるアプリを開いた。


アプリを開くと、今までに香織が描いてきた絵の一覧が表示された。

しかし、そこに表示されている絵は美術室でみんなに見せた絵とは全く違う絵ばかりだった。


真っ暗な部屋で血の涙を流しながら立ち尽くしている女性の絵。

真っ赤な背景に黒や紫の絵の具を叩きつけた様に描かれている抽象的な絵。

香織の絵は画家のアルフレッド・クビンが描くような絵の不気味さをどれも含んでいる。


他の絵も黒や赤をメインに使っているものばかりで暗い絵ばかりだが、どれもとてつもなく上手く描かれている。


香織がこの絵を描いた心理は本人以外には分からないが、この絵を見た人はみんな香織を不気味がるだろう。


その事を香織自身も理解しているからこそ、誰かに見せることなどせずに自分の中にだけしまっているのだろう。


そして、まだ何も描かれてはいないがタイトルだけは決まっているファイルが二つあった。


一つは「堕天」。 もう一つは「色欲」


香織は「堕天」の方のファイルを開き、描き始めた。

2時間は経過しただろうか、、。

かなりラフな感じではあるが、画面には一枚の絵が完成していた。


上半分には大きな太陽と綺麗な青空が描かれているが、下半分にはドス黒い大荒れしている海が描かれている。


そして、黒く汚れ、ボロボロな羽がある天使がぐったりとした様子で落下している姿が画面の中央に描かれていた。


そしてその天使は美術室でみんなに見せた、木々に囲まれた中でピアノを弾いている少女にそっくりであった、、、、。



「うーーーん、、、やっぱり何か違うんだよね」

独り言を言った香織は絵を見つめていた。


「やっぱりちゃんと自分の目で見て、感じた物じゃないとリアリティがないか、、」


そう言って香織は絵を保存する事は無く、消してしまった。


一気に疲労感に襲われた香織はiPadを机に放置したまま、ベッドにダイブした。

そのまま目を閉じていたが、カバンの中に入れたままにしていたスマホが振動したのを感じ、体を起こした香織はスマホをチェックした。


「駿の件で今度2人で話せる?」

送り主は真だった。


相手が真と分かり、香織は少しテンションが上がった。

「もちろん!」

と返信した香織は少し浮かれた気持ちで部屋を後にし、リビングへと向かった。


リビングには夕飯の香りが広がっていた。

「今日、お父さん帰り遅くなるって」

そう言って香織の母親は夕飯をテーブルに並べていた。


香織は夕飯を食べようと椅子に座ったとき、真からの返信に気づいた。


「今からは無理?」

予想外の返信に香織は焦りつつも、急ぎで会いたい理由を知りたいとも思っていた。


「いいよ。どこに行けばいい?」


そう返信するなり、香織は出かける支度をした。


その様子を見ていた香織の母親は何かを察した様に微笑んでいた。

「彼氏さんによろしくね」


「そんなんじゃないから」と言った香織は恥ずかしそうにしつつ家を出た。


待ち合わせ場所は香織の家の最寄り駅だった。


駅に着くと、真がスマホをいじりながら立っているのが見えた。


「お待たせ」


「急に呼んで悪かった。 話したい事あるんだけど、少し歩かない?」


真の提案に賛成し2人は歩き始めた。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます!


登場人物がそれぞれの目的の為に動き始めていき、歯車がうごいはじめます

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