第十四話 恋愛トーク
こんにちは!
今回も読んで頂けると嬉しいです
あっという間にやって来た放課後に真は少しばかり憂鬱になっていた。
「すぐに美術室に向かう?」
真は香織に尋ねた。
「向かうけど、少し遠回りしていこう」
そう言って2人は教室を後にした。
2人は横並びになりながらゆっくりと廊下を歩きつつ、この後の事についての方針を話し合っていた。
「香織はアキちゃんの事、応援してるの?」
「応援したいけど、、、」
そう言って香織はため息を着いた。
「ユイちゃんとの件ががある以上、アキちゃんを応援する事は難しいよな」
「うん、、。結局は駿が決める事なんだけどさ。ユイちゃんの応援しつつ、その事を隠しながらアキちゃんのことも応援するのは罪悪感があるし」
「だよな。とはいえ、友達を駿と復縁させたいからアキちゃんは駿を諦めてほしいだなんて言えないしな」
「明日には告白するって状況ではないだろうし、とりあえずアキちゃんの話を聞いてみてからまた話そう」
美術室の前に着いた2人は会話をやめ、香織を先頭にして中へと入って行った。
そこにはすでにアキちゃんとルミちゃん、コノミちゃんの3人が座って談笑していた。
「こんにちは!」
香織と真が入って来たことに最初に気づいたルミちゃんが声を掛けてくれた。
そして、それに続くようにアキちゃんとコノミちゃんも挨拶をしてくれた。
「真先輩も今日はありがとうございます」
アキちゃんは少し恥ずかしそうにしつつも真に感謝を伝えた。
「俺が力になれるかは分からないけどね」
そうして後輩3人、真と香織の5人は、机を4個くっつけた所を囲うように座り、机の上には後輩たちが用意してくれていたお菓子が並べられていった。
「先輩達も遠慮なく食べてください」
そうしてみんなでお菓子を食べ始めることから話し合いは始まった。
「早速なんですけど、駿先輩って今は彼女いないんですよね?」
ルミちゃんが会話を切り出した。
「いないよ!」
香織の答えに聞いて、アキちゃんは安心したような表情をした。
そして香織はそのまま、アキちゃんに質問をした。
「アキちゃんは、駿を好きになったキッカケとかあるの?」
「落とし物を拾ってくれて、教室まで届けてくれたんですよね、、、。」
そう言っているアキちゃんの顔はかなり赤くなっている。
「可愛いー! 少女漫画の様な恋の始まり方じゃん」
香織は恋愛話に対し、目をキラキラさせている。
そんな香織とは対照的に、真は冷静で、それで相手を好きになるのは駿のルックスが大きく影響している とは思いつつも口には出さずに真は話を聞いていた。
「連絡先は知ってるの?」
香織からの質問攻撃は止む気配がない。
「知らないんですよね。なので、先輩達の力を借りられないかと思いまして」
アキちゃんの発言に同意するかの様に、ルミちゃんとコノミちゃんは頷く。
「なるほど。勝手に教える訳にはいかないから、駿に確認してからでいい?
落とし物を拾ってくれたお礼がしたいみたいだから後輩に連絡先教えてもいいかって」
「もちろんです!」
結果はまだ分からないが、少しの前進にアキちゃんはとても嬉しそうにしている。
「男子からするとこういうのって迷惑じゃないですかね?」
アキちゃんからの質問が今度は真へと飛んできた。
「迷惑じゃないと思うよ。 俺だったら素直に嬉しいと思う」
真は自分が思っている事を素直に伝えたが、モテる駿にとってはありきたりな出来事なので怠く感じる事はあるのだろうか と考えてしまった。
「駿先輩って同学年の女子からもモテるんですか?」
今度はコノミちゃんからの質問が飛んできた。
「男女関係なく人気者なのは間違いないけど、誰々が駿を狙ってるて話はあまり聞かないな。俺が知らないだけで裏では取り合いが起きてるかもしれないけど。 香織は知ってる?」
「駿をカッコイイって言ってる女子はいるけど、告白まで到達したって女子は少ないんじゃないかな? 後輩人気の方が圧倒的てイメージはあるかも」
もちろん2人はユイちゃんの事について言及はしない。
「分かってはいましたがライバルは多そうですね、、、。駿先輩の元カノってどんな人なんですかね?」
コノミちゃんからのエグい質問に、真と香織は目を合わせた。
ずっと黙っていたら、元カノの事を知っていると思われてしまっても不思議はないので、すぐに真が答える。
「俺たちと同じ学年で吹奏楽部の人だよ」
情報を与えすぎじゃない?と言った目で香織は真を見つめていた。
「やっぱり可愛い先輩なんですかね?」
アキちゃんは自信無さそうに聞いてきた。
「可愛い方だとは思う」
アキちゃんも可愛いとは思うが、駿が真と同じ感想に至るかは分からないので、アキちゃんも可愛いから大丈夫などと無責任な事を言えないでいた真。
「アキちゃんも可愛いから大丈夫だよ!」
香織の無責任な発言に対し、今度は真が香織に鋭い目線をむける。
「そう言ってもらえるだけで嬉しいです」
アキちゃんは頑張って笑顔を作っていた。
本当は駿の元カノの名前なども知りたいはずであるが、自分と元カノを比べるのが怖いのからなのか、それ以上は元カノについて聞いてくることはなかった。
「先輩お二人は好きな人とかいないんですか??」
場の空気を変えるかの様に、ルミちゃんが言った。
「俺はいない」
「、、、、私もいない」
即答した真に対して、ワンテンポ遅れた香織が怪しく思えたのだろう。
アキちゃんの恋愛相談から、今度は香織の恋愛に話はシフトして行った。
「香織先輩って元カレとかいないんですか??」
「彼氏いたことないよ、、」
「本当ですか?? なら今好きな人はいますか?」
さっきまでとは形勢が逆転し、今度は香織が恥ずかしそうにしている。
「私たちは、お二人の関係を疑っていますけどね」
「前にも言ったけど、真とはそんな関係じゃないからねー」
うんうん と香織に同意する為に頷く真。
そして、時間を確認するとすでに45分経とうとしていた。
「あ、そろそろ時間だから俺行くね」
「もうそんな時間経ったのね」
香織もスマホで時間を確認していた。
「ありがとうございました!また遊びに来てください」
「そうする」
そう言ってみんなに挨拶してから1人で美術室を後にした真は、今日のメインイベントの為に駅へと向かった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次話も近いうちに更新したいと思います