声
「ゆき、ゆき」
ぼくを呼ぶ声がする。ぼくは少し目を開けて声の方を見てみた。そこには、少しだけ心配そうな顔でぼくの方を見るママさんがいた。
どうしたんですか?どうしてそんな顔をしているんですか?
「ゆきちゃん、よかった、起きた!少しうなされているみたいだったから心配したよ。」
ママさんはぼくのことを抱きついた。むぎゅぅって、いつもなら嬉しいところだけど、この時は少し強くってびっくりしてしまった。
ぼくはどうやら夢を見ていたみたいだった。どんな夢を見ていたんだっけ?あんまり覚えていないけど、変な夢だったんだろうなってなんとなく思った。
ぼくはママさんのハグから抜け出して、それまで寝ていた場所、いつものソファーのぼくの場所に座った。
窓の外には、ゆきがヒラヒラしている。どこかとても上の方からヒラヒラと舞っては、ここまで降りてきている。
そして、地面につく頃には、ほとんど溶けていなくなっちゃっている。
ぼくはなんだか胸が締め付けられる様な感じがしては、世界がまた滲んでいってしまった。
ぽふっ
温かい手がぼくの背中を撫でてくれた。ゆっくりゆっくり、なんどもなんども。
そしてぼくを抱きかかえて、お膝の上にぼくを寝かせてくれた。
「まだ雪が降ってるね」
ぼくを撫でながら、ママさんはお話を始めた。
「ねえゆきちゃん、覚えてる?私とゆきちゃんが初めて会った日も雪が降っていたよね。
わたしが喋れなくなって、誰とも気持ちを通わせられなくなって、一人ぼっちになっちゃった時、あの時あなたに出会えたのは、私には奇跡だったの。」
ママさんは優しい顔をしている。ぼくは少しだけママさんの顔をペロッとして、ママさんの言葉を聞いた。
今日はママさんの声がよく聞こえる。とっても優しい声だ。




