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ゆきの日のお話

ゆき――



あの日と同じ様にお空から白いひらひらが降ってきた。ぼくはこれをゆきと呼ぶことを知っている。どうだ!えらいだろう!えっへん!ぼくはこのひらひらがゆきと呼ぶことをママさんから教わった。




ママさんは今日も忙しそうにお家の中を行ったり来たりしている。でもぼくは知っている。ママさんはもうじきこっちにきて、ぼくのお腹を撫でるんだ!毎日だいたいそうだから。ぼくもお腹を撫でられるのは好きだから、いっぱいいっぱい撫でさせてあげるんだ。でも、あんまり眠たくないときにしてほしいなぁなんて、ぼくは何度も言っているのに、ママさんはちっともわかってくれない。もしかして、ママさんはぼくの言葉わからないのかなって思っちゃうよ。




お家の中はとっても暖かくて、特に窓際のこのソファーの上は最高!ぼくとママさんの匂いがたっぷりついていて特等席だね。ママさんはいっつも、ぼくたちの匂いをなぞのシュッシュするやつで消しちゃうんだ。どうなっているのかもう一体。




ごてん——




もうお眠ですよぼくは。起きていられません。ママさんはまだこっちにこないし、眠っちゃおう。




「わーーーーーーー!!!」




ママさんが近づいてくる!ママさんはいっつもなぞの声を上げてぼくの方に走ってくるんだ。すこしびっくりするけど、まあ許してあげましょう!さあ、ぼくをいっぱい撫でるといいですよ!




「ユキちゃん!今日もかーわいいね!ごしごしごしごし」




ママさんは豪快にぼくを撫で回す。ぼくも負けじと応戦するぞ!さあ、まずは頭からなでてみなさい!ぼくは頭をママさんの手にごしごし仕返した。




「まー!頭をごしごししてきて!ほんとにこの子はもう!」




ママさんとのごしごし合戦は止まらない。次は首です!その次はお尻!お腹もいいですよ!




「それ!ユキちゃん次はどこごしごしされたいのー?背中かなぁ?」




!!——




ママさん!背中はいけません!ぼくの背中には触っちゃいけませんよ!




「あれ、ユキちゃん背中はー?」




さあ逃げろ~逃げろ~。ぼくは背中を撫でさせない様に逃げ回った。ママさんはすっごい笑顔でぼくを追ってくる。




「ユキちゃん待て~」




ぼくは追いかけっこがすっかり楽しくなって、いっぱい走り回っては追いつかれて、また走り回っては追いつかれていた。気がつくとママさんとまたゴシゴシ合戦をしていた。




「ユキちゃん、背中気持ちいい?」




ママさん、そこ気持ちいいです——




いつの間にかママさんは背中を撫で回していた。ぼくとしたことが、油断をしていた!しかし、こんなことでは動じませんよ。ぼくは何食わぬ顔で立ち上がり、ママさんのお膝で丸くなった。




「ユキちゃんおねんね?かわいいね、ゆっくりお眠り」




見事に背中を撫でるのを終わらせたぼくは、ママさんに頭を撫でてもらいながら眠ることにした。あぶなかった。危うくバレるところだった。ぼくにはママさんには言えない秘密がある。ぼくの背中には取っ手がついている。これは絶対バレちゃいけない!

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