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鈴被告人……判決、ギルティ

さてさて、絶賛調子乗り中な僕ですが、まあ、もちろんこのままなんてわけにはいかないわけで……。

そうです、僕には怖い怖い将也からのお説教が待っているのです。

なにそれ、ご褒美ですか? ご褒美ですね! えへへ。

 「えへへ、ニヤニヤ。しょーや、むふふ」

 「鈴被告、その態度は何かね……?」

 「っは! も、申し訳ありません、将也裁判長様。何卒、何卒、寛大なお心で」

唐突に始まる裁判ゴッコ、これが僕たちのコミュニケーションだったりする。

つまり、普段通りってことなのだ。

 「ならんな、被告は反省の色が全く見えない……よって、判決、百敲きの刑に処する」

判決は非道だった。昔々の刑罰を持ち出してくるなんて……なんて、なんておにちくさんなのだ……。

あれ、でもちょっと待って……百敲き、鞭でやるの? 将也が? ないよね、うんないない。じゃあ何で……はっ、まさか。

ふと、子供の頃見たとあるアニメのとあるワンシーンを思い出した。それは悪い事をした子供がお母さんに叱られて、罰としてお尻を大きな手で叩かれる、というもの。まあ、教育的なシーンだ……。

チラッ、将也の手を見た。すごく大きかった。

凄く大きい将也の手が僕のお尻を……。

 「そ、そんな……裁判長、ご容赦を……ご容赦を」

 「ひ、被告は何故そんなに嬉しそうなのだ……?}

 「そ、そんな嬉しそうになんて。た、ただ、ほら、僕被告だから、あの逆らえないかなぁって。その、うん」

危ない危ない、僕がちょっと期待してたのがばれそうになっちゃったよ。

 「はぁ……まあ、そろそろか。いつもの鈴に戻った事だし。んじゃあ鈴、ここからは真面目な話とお説教だからな。おふざけ厳禁だ。わかったな?」

 「……はい」

も、勿論解ってたもんね。将也は僕を話が出来る状態にするためだけにわざと何時もみたいな雰囲気を作ってたなんてこと、言われなくても分かってたもん。いや、本当だよ。

 「さて、鈴。まずはお説教だ。もちろん何の事かはわかってるよな」

 「うん。あれ、だよね?」

そう言って僕が指差したのは未だに銀色の刃が出たままになっているカッターナイフ。僕が命を絶とうとした文房具……。

 「どうしてあんなことした?」

どうして、か……貴方の中の僕の居場所がなくなるのが耐えられなくて。

なんて言ったらどうなるかな。貴方のことが大好きで、とか、もっと直球にずっと前から好きでしたとか言ったらどうなるのかな。この女の子の体なら別におかしくないよね。そしたら僕の物語ここでハッピーエンド、将也と鈴は幸せに暮らしました。

なんてね。はぁ、なる訳無いじゃん。

言ったら僕が自滅するだけ。僕は将也のことが大好きだけど別に自殺願望があるわけじゃないんだ。

好き好んで止めを刺されにいく趣味は無いよ。

 「ちょっと、こんな事になって気が動転しちゃって。ごめんなさい。今後はこんな事無いようにするね」

これが答えとしては一番良い手だと思う。将也はきっとこれで納得してくれる。いや、納得しなくてもきっとこれで終わらせてくれる。

それに気が動転してたのは事実だと思うし。だって将也はこんな事で僕を拒絶するほど小さい人間じゃないって、それは僕が一番よく知っていたんだから。

 「そっか。そうだよな。こんな事が自分の身に起こったら気が動転しておかしな行動を取ってもおかしくないよな。特に鈴は思い込みが強いところがあるし……いや、妄想たくましいと言うべきか」

 「んなっ! 失礼だな、もう。……うん、事実だけどね」

ほら。きっと実際には納得していないんだろうけれどこうして終わらせてくれるでしょ。僕が言いたくないって分かってくれてるんだよ。

僕って結構大事にされてるんだよ。幼馴染としてだけどね……。

頼りない幼馴染を守るのが役目って思ってるんだよきっと。だから何時も守ってくれる。僕が女の子じゃなくても、守ってくれるんだ。

そう、今日だって……、

 「あれ……? そういえば、将也。僕の首って少しも傷付いてないよね?

もしかしてやる前に気失っちゃった? それとも、あの……ひょっとしてなんだけど将也が……助けてくれちゃったりとか……だったりする?」

 「いや、一応はそうなんだけど……えっと、なんていうか……」

将也にしては妙に歯切れの悪い反応。なんだか珍しいな、何時もはこんな言葉濁したりとかしないんだけど……。

 「どうしたの? 何かあった?」

 「いや、なにか……あった、と言えばあったと言えなくも……えっと、鈴……お前漫画とか結構読む人だったよな?」

 「え、ま、漫画……は、たまにかな」

恥ずかしいから内緒なんだけど恋愛漫画とか結構好きだったり。ああ、いや、秘密なんだけどね。なんで知ってる……。

 「じゃ、じゃあ、なんか超能力ものとかは、なんか読んだりしないのか?」

 「え、超能力? えっとなんかあったかな……僕がよく読んでる少女……じゃなくって、なんかきゅんきゅんする? 漫画にはあんまりそういうのは出ないから」

 「そっか。そうだよな。ま、まあ、じゃあいいや。うん。なんでもない。忘れてくれ」

あらま、忘れろって言われちゃいましたか。まあ、そう言われたら僕にはそうするしかないわけで。

 「えっと、将也は僕にそういう漫画読んでて欲しかったの? えっと、コンビニで立ち読みするやつ? みたいなの」

ああいう漫画はあんまり僕の欲求を満たしてくれないから読まないんだよね。

 「いやいや、知らないならそれで良いんだ。本当に忘れてくれ。それと立ち読みするやつって言うのはやめような。お店の方が大変困るやつだからな、それ」

 「あはは、了解です!」

ピシッ。さてと、音を出しての敬礼を決めたところで、一旦きゅうけー。

 「紅茶入れてくるので、ちょっとお待ちを」



  



 

 


 



 

 

 


 

ラストのきゅうけーはメタだけどメタじゃなかったり。

作中でも実際休憩中です。


次回、名探偵鈴ちゃん、爆誕(予定)

次回も見てください。

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