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ふれられないゆき

「いつも不思議に思ってたんだけど、なんで二人は幸せそうにキスして終わりなの?」


 私はいつも映画のラストシーンを見て疑問に思う。


「意味がわかんないよ。別にキスしなくてもいいじゃん」


 男と女。仲良くなって最後にキスして。それの何が面白いのかわかんない。


「また、小雪はこういうの見るといつもそれだな。どれそろそろ慣れたか?」


 一緒に家のリビングで映画を見ていたパパが、ツインテールにしていて丸見えになっている私のうなじを触ってきた。


「いやっ!」


 悪寒が走り、パパの手を払いのける。

 私は人に触られるのが嫌いだ。

 ううん、嫌いなんてレベルじゃない。

 触られるなんて……気持ち悪い……


「やめてよ、パパ触らないで」


「まだダメなんだな……」


 パパは残念そうに部屋から去っていく。

 いくらパパでも嫌な物は嫌。

 触られたくない。


 そんな私達のやりとりを台所から見ていたママが溜め息を吐いていた。


「もうちょっとパパに優しくしてあげてね、小雪」


「でも……触られたくないんだもん……

 ねえ、ママ。男の子と付き合ったりするのって楽しいの?」


「私は楽しかったわよ。いいえ、今でも楽しいわ。パパや小雪と一緒にいるのがね」


 ママは会話しながら、夕食の支度をトントンと音をたて進めていた。


 パパとママはお見合いで結婚をしたらしい。

 それでも毎日が楽しく暮らしているんだって……

 私は男の子とは付き合ったことなんてないし、デートすらしたことない。

 もちろん、手をつないで歩くなんて……私には無理だと思う。


 男女の恋愛とか全くわからない。

 親友の楓はそんな私にも分かるようにって少女漫画を貸してくれたりするけど……


 少女漫画でも付き合えばどうなるのか教えてくれない。

 いつも三角関係が~とか、好きな男の子が~って話ばっかり。

 主人公の感情なんてまったく共感できない。


 漫画もアニメもアイドルだって。

 かっこいいとかそんな感情は全然生まれない。


 ただ、それでも……

 気にはなるんだ。

 今、私のクラスではカップルが続々と出来ているから……

 なんでそんなに一緒にいたいなんて思うんだろう。私の知らないことがあるんだろうなって。


 私達三年生は部活も引退しちゃったし、ヒマな時間が増えたのもあると思う。

 受験勉強ばっかでストレスも溜まってるのかな。

 最後の思い出作りでカップルが誕生しているだけなのかもしれないけど……


 あれ?

 スマホのランプが点滅してる。

 今まで気付かなかったけど、映画を見てるときに着信でもあったのかな。


 スマホを開いてみるとラインだった。

 友達申請?


「同じクラスのさとしです。偶然にも、こゆきちゃんのIDをダチから教えてもらえました!

前から友達なりたかったんだけど、どう? ぜひ仲良くしてほしいな」


 ドキっとした。

 なんでだろう。なんで私はドキっとしたんだろう。

 男の子からの連絡なんて来たこと無かったから……?


 これ……どうすればいいんだろ。

 返事すればいい?

 でも……さとしなんてクラスにいたっけ?

 誰のことだろう……


 気付けば三十分くらいスマホを見てはウロウロ部屋を動き回ってた。

 やめよう。

 悩んでも答えなんて出ない。


 明日楓に聞こう。

 楓ならこういうの、詳しいはずだもんね。

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