~エリートを越える~
3
「なんでクラスアップが認められないんですか!?」
ゴールデンゴーレムの一件でプヨと共にレベル28になった俺は、翌日朝早く冒険者学校へと登校し職員室で黙々と何かの書類を書いていたゴドン教官に意気揚々とクラス変えを申し出た。
ところがゴドン教官はチラリと見ただけでまともに取り合ってくれなかった。
「あのなぁ、つい数日前までレベル7のお前がいきなりレベル28っておかしすぎるだろ。どうせ授業に出席しなかったこの数日でプロの冒険者にレベリングを委託したんだろ?そんな中身を伴わないレベルアップなんてムダだ。実戦じゃ使い物にならん」
ゴドン教官が言うように、金持ちや貴族のどら息子は手っ取り早く見栄えするようにプロの冒険者に依頼してモンスターを弱らせトドメだけ刺すことで自分も経験値を貰うレベリングの委託を行ったりする。
もちろん、俺だってそんな方法でレベル上げする奴は邪道だと思うし見かけ倒しなので嫌いだ。
そして最悪な事にゴドン教官は、俺もそのレベリングの委託をしたと決めつけている。
「しかもお前はレベルの上がりにくいモンスターテイマーなんだぞ?いったいいくら払ったんだ?というか…まてよ。おい、本当にどこからその依頼料をだした?お前の家は金持ちってわけでもないだろう、おいジェイク!正直に言え!お前、何をやらかした!」
「だから!それはこのプヨが……」
「だいたい、そのモンスターもなんだ?お前、モンスターのたまごを買う金だってないだろう?まさか…どこかからそのモンスター盗んだんじゃないだろうな、隠してもムダだぞ!全部言え!」
まさか犯罪を疑われる事になるなんて夢にも思わず俺は慌てて必死に説明したが、何を言っても全く信用されなかった。
街の路地裏で5Gでモンスターのたまごを買った事もゴールデンゴーレムを2体も倒した事も。ゴドン教官は俺が適当な嘘をついてると思ったのか更に疑いの目を向けてきた。
「ぷよ!ぷよ!」
「ほら、先生が俺達を信用しないからプヨも抗議してますよ!」
「バカ、スライムにそんな知能あるわけないだろ!とにかく詳細がはっきりするまでお前は謹慎だ。」
「なんでだよ!詳細も何ももう全部話したっつーの!」
こんな理不尽な話あるかよ、俺とプヨは命懸けでゴールデンゴーレムを倒したんだ。怪しい事なんて何一つない!納得がいかずゴドン教官に食い下がっていると、俺達の言い争いに気づいたのか一人の女性が近付いてきた。
「どうしました?」
「が、学長……」
そう、この女性は冒険者養成学校で最も高い地位にいる学長シリウス・ハインベルグだ。
若冠25歳にしてS級冒険者に登録された彼女は、王国から直接指名されて冒険者養成学校学長の地位へと登り詰めた。
本物の天才だ。
「いや、それがコイツ俺のFクラスの生徒なんですがレベル7から数日でレベル28になったんですよ。」
「え?数日で……ですか?」
「ええ、しかも見たことも聞いたこともない奇妙なモンスターのたまごを露店商から5Gで買ったおかげだとかなんとか、意味の分からない事を言うんです。」
「モンスターを使役する、ってことはモンスターテイマーですよね?」
「ええ。あり得ないでしょう?モンスターのたまごが5Gなんてあるわけないし、コイツは平民の生まれでレベリングの委託をするような大金を持ってるはずがないんです。コイツはここ数日無断欠席してたので、恐らくその間に何らかの方法で大金を得てプロの冒険者にレベリングを委託したんでしょう。」
「違う!」
「それ以外に説明がつかないだろうが!」
「そんなこと言ったって全部本当なんだからしょうがないだろ!?」
「それでそのモンスターさんはどちらに?」
「目の前にいますよ……俺の肩に乗ってるでしょう?」
「えっ?この子がそうなの!ぷるぷるしててかわいい!触っても大丈夫かしら!?」
「え?ええ、賢いやつなんで大丈夫だと思いますけど……」
なんか学長のテンションがいきなり上がったな……。
未だに俺を疑い睨み付けてくるゴドン教官をまるっと無視してプヨに興味が移ったようだ。
学長は恐る恐るプヨを指先でつついてみる。敵意がないことを理解してるのか、プヨも嫌がる素振りを見せない。
「ぷよ?」
「かわいいー!『ぷよ?』ですって!スライムの鳴き声なんて初めて聞きましたねぇ」
シリウス学長は仕切りに感心しながらしばらくプヨを観察したり触ったりしていたが、ふと俺の方へと目を向けた。
「あなたのお名前は?」
「…ジェイク・マスターハンドです」
「ジェイク君。私はあなたがレベリングの依託をした、とは思えません。何故ならモンスターテイマーのレベルの上がりにくさは筋金入りです。私の知り合いにもモンスターテイマーは居ますが、十数年も冒険者を続けてようやくレベル40代になれたそうです。なのでどんなに一流の冒険者を雇っても数日で20レベルも上げるなんて、物理的にあり得ないんです。」
「いや、しかし学長!げんにコイツはレベルが上がってるわけで…」
「はい、なのでこれは私の推測ですが、プヨちゃんは私でも知らない新種のモンスターかもしれません。もしかしたら、プヨちゃんにはテイマーのレベルアップを促す固有スキルがあるのかもしれません。」
「「レベルアップを促すスキル?」」
図らずも俺とゴドン教官は同じセリフを口にした。
たしかに、俺はプヨのような透明なスライムなんて見たことも聞いたこともない。
シリウス学長はゴドン教官にプヨちゃんと同じモンスターを見たことありますか?と問い掛けた。
ゴドン教官も元々は冒険者でありB級だったと言う、B級ならきっと色々なモンスターと対峙する機会が会ったはずだ。シリウス学長に言われてゴドン教官は顎に手を当てて考え込む。
「たしかに、俺も透明なスライムなんてのは見たことも聞いたこともありません。学長の言うようにもしかしたらこの透明なスライムには固有スキルがあるのかもしれませんね、だとしたら、これはとんでもない大ニュースですよ。新種のモンスターの発見だってここ数十年ないのに更にレベル上げを促すスキルを持ってるとしたら、王国に調査報告を行う必要がありますね」
おいおい、なんだかまた話の方向がとんでもない事になってきたぞ。
もしかしてプヨの存在って歴史に残るくらい凄いのか?手のひらでプルプル震える普通のやわらかチビスライムにしか見えないんだけど。
「というわけで、ジェイク君。面倒を掛けますが少し詳しくお話しさせて貰えませんか?」
「はい。それは、まあ……」
学長にわざわざ言われたら、俺としても何も言えない。
ゴドン教官みたいに頭ごなしじゃなきゃ俺だって多少は折れるさ。それから俺とプヨは学長室に連れられ、プヨに関して根掘り葉掘り質問された。
特に、ゴールデンゴーレムとの戦いでプヨが黄金の大剣になった点に関して学長は特に興味を持ったようで何度も繰り返し細かい部分まで質問して来た。
「それでは、その大剣になったプヨちゃんはゴールデンゴーレムを一刀両断したわけですね?」
「はい、バターより柔らかく感じるくらい何の抵抗もなくスパッと切れました」
「モンスターが武器に……?そして、なぜか『れんごくけん』を2つ習得してる、と。」
ふむ、と学長はあごに手を当てて考え込む。
「全く分かりません」
思わず椅子からコケそうになった俺に構わず学長は言葉を続けた。
「私、これでもS級冒険者ですからこの大陸のダンジョンは全て行ってますしそれなりにモンスターに関する知識もあります。ですが、プヨちゃんに関しては思い当たる事がひとつもありません。これってかなり妙なんです。」
そう言われると……高名な冒険者であるシリウス学長に分からない事が俺みたいな駆け出し冒険者に分かるわけない、プヨって何者なんだ?
「とにかく、プヨちゃんの事は王立図書館に問い合わせてみましょう。そこでも何も分からなければプヨちゃんは新種として正式に登録される事になるかもしれません」
学長が出してくれた紅茶をのんきに吸収してるこのプヨが……新種?すごいことなんだよな?…よく分からん。
「そして、ジェイク君のクラスアップの件ですが」
あ、そうだ!そもそも俺はそれをお願いしに来たんだよ。
話の流れで全く別方向になったけど、俺にはプヨが新種かどうかよりクラスアップ出来るのかどうかが重要なんだ!俺は、ついゴクリと喉を鳴らしてシリウス学長の次の言葉を待った。
「とりあえず、プヨちゃんとあなたの戦闘能力を見せて貰えませんか?前例がないことですから、あなた達がどれくらい戦えるのか見せてほしいのです。」
「はい!お願いします!」
と、言うわけで俺とプヨはしばらく学長室で待たされてその間にシリウス学長はなんらかの準備を行ったようだ。
しばらくして戻ってきたシリウス学長に修練場へ来て下さいと言われ、残っていたわずかな紅茶を飲み干して椅子から立ち上がりシリウス学長の後に続いて修練場へと着いた。
「お相手はちょうどダンジョンから戻ってきたAクラスのキグナスさんにお願いしました。キグナスさんなら、学生とは思えない実力がありますから。万が一の事故なども心配いらないでしょう。頑張ってくださいね」
「はい!」
修練場の真ん中でいつものように澄ました面であのキグナスが佇んでいた。
ダンジョン帰りだと言うが、そういえばこの前に会った時にこれからダンジョンに向かうって言ってたもんな。俺はメラメラと闘志を剥き出しにしてキグナスに近づくが、まるで俺なんか目に入らないかのようにキグナスは平然としている。
その態度が余計に腹が立つ、絶対にぶっ飛ばしてやる。
よく見ればマリアも少し離れた所にいて、俺と学長を見つけると困った顔をしながら駆け寄ってきた。
「シリウス学長!いくらなんでもジェイクとキグナスじゃ勝負になるとは思えません!ムチャすぎますよ!」
学長が何か説明してマリアに話し掛けているが、俺の耳にはもう届いてない。
ここでキグナスに勝てればクラスアップ……1度は諦めかけた夢に手が届くかもしれないんだ。絶対に負けるもんか!すぐそばまで近づくとキグナスはようやく面倒臭そうに俺の顔を見た。
「ふぅ…ジェイク君、急な話で何も聞かされず呼び出されて君と戦うように言われて驚いてるんだけど。学長がどういう意図であれ、僕は一切の手加減はしない。大ケガだけしないように気を付けてほしい」
その瞬間、俺の中で何かがブチりと音を立てて千切れたような気がした。
キグナスの野郎、勝つのは当たり前で正真正銘、俺みたいな雑魚に負けるとは微塵も思ってないんだろう。『お前ごときじゃ勝負にならない』と暗に言われたようなものだ。
きっと今までの俺ならキグナスの実力にビビって俯きながらトボトボ引き返していただろう。
でも今は違う。プヨは圧倒的な力の差があるゴールデンゴーレムに立ち向かったんだ、パートナーの俺だって引くわけにはいかないだろう。
俺が1歩も引かずに全力で睨み返すと、少しだけ意外そうな顔をしてキグナスは剣を構えた。
「双方よろしいですね?では。はじめ!」
学長の開始の合図と同時に俺は全身全霊でプヨに指示を出した。
キグナスは冷ややかな目で剣を抜いたまま構えようともしない
「プヨ!全力で行くぞ!"れんごくけん"!!」
「ぷよー!!」
ゴールデンゴーレムの時と同じように、プヨの体は黄金の大剣へと姿を変えて一瞬で俺の手の中に収まる。
さすがにキグナスも驚いたのか、得体のしれない現象に警戒して距離を取る。
俺の身長と変わらないほどの大剣と化したプヨだが、重さはほとんど感じない。
だが、その鋭さはゴールデンゴーレムを意図も簡単に両断した実績から折り紙つきだ。キグナスも表情を引き締めて剣を構える。
相手がはるか格下の俺だろうと油断はしてはくれないようだ。ゴールデンゴーレムをあっさりと両断出来るプヨのれんごくけんの危険さを感じ取ってるらしい辺り、悔しいがキグナスは一流の冒険者って事だ。
だが甘い!何故か分からないけど、俺にはれんごくけんとなったプヨの使い方が自然と分かる。俺はまさかりのように大剣を担ぎ、それを一気に降り下ろした。
「でりゃあぁぁあーー!」
降り下ろした大剣から魔力を纏った衝撃波が発生し、それは流星のように凄まじい速度でキグナスへと襲い掛かる。
「……ッ!」
しかしキグナスは素早い動きで斬撃を交わし、俺の飛ばした斬撃はかすかに服を切り裂くだけに留まった。
ほぼ完璧に交わされるのは意外だったが、やはりキグナスと言えど避けざるを得ないような威力が黄金の大剣となったプヨにはあるらしい。
さっきまでの格下を見るような目はもうそこにはなく、俺をはっきりと敵として捉えているキグナスの本気の表情がそこにはあった。
「うそっ!ジェイク、いつの間にそんな技を!?」
マリアの驚いてる声が聞こえるが気にしてる暇はない、キグナスは瞬く間に華麗なフットワークで間合いを詰めてきた。
この大剣じゃ懐に入られたら自由に振り回せない!さすがキグナス、相手の嫌がる事をやるのがうまいぜ。俺に距離を取る隙を与えない為、目にも止まらぬ連撃がキグナスのレイピアから繰り出される。
しかし、プヨのれんごくけんには俺の身体能力を上げる効果があるのかいつも以上に体がよく動く。大剣の腹を盾代わりに受け止めながら確実にレイピアを防ぐ。
「……僕の貫通スキルを持つレイピアを防ぐなんて、その大剣は一体なんだ!?」
えっ、貫通なんてスキルがあるの?やめろよ!プヨに穴が空いたらどうすんだ!にしてもキグナスの攻撃スピードが早すぎる!これじゃ防戦一方だ、なにか手はないか!?
『"れんごくけん"を使うぷよ!』
えっ?なに今の。確実に何か聞こえたんだけど。
俺はキグナスの剣撃を捌きながら、つい辺りを見回す。しかし当然ながら少し離れた場所でシリウス学長と心配そうな顔のマリアがいるだけで他には誰もいない。となると、これはまさか
「れんごくけんならもう使ってるじゃねーか!」
『違うぷよ!もう1つの"れんごくけん"ぷよ!』
「もう1つの!?…………"れんごくけん"!」
「ぷよーーー!」
大剣になったプヨのどこから声が出てるのか分からないが、プヨが雄叫びを上げると大剣は消えて、それと同時に俺の両腕に黄金のガントレットが装着されていた。
「なっ……!?」
突然の事にキグナスの体が一瞬止まる。
「そうか、分かったぞプヨ……"煉獄剣"と"煉獄拳"なんだな?行くぞキグナス!大ケガするなよ!?」
「くっ……!」
突然の変化に一瞬呆気に取られたキグナスが我に帰り慌てて距離を取ろうとするがもう遅い、俺はキグナスが離れる前に自分でも信じられないような音速の如し速度でラッシュを繰り広げる
「でりゃあぁぁあーー!!」
実際に拳を繰り出している自分でも信じられないような凄まじいスピードだと言うのに、なんとキグナスは最初の10発ほどは防御したり交わそうとした。
だが1発、また1発と喰らう度に徐々にラッシュについて行けなくなり俺の拳をまともに喰らい始める
ここだ!ここで決める!本来ならキグナスは俺なんかより圧倒的な実力がある相手だ。
この機会を逃せばどうなるか分からない。俺は更に拳の回転数を上げてキグナスへと渾身の連打を叩き込んだ。
やつの体に当たるならなんだっていい、1発叩き込む毎に腕が鉛のように重く感じる。一発でも多く一瞬でも早く、呼吸する事も忘れて無我夢中に拳を奮った。
「は~い、すとっぷ。勝負アリです。」
「はぁ……はぁ…………が、学長……」
何発叩き込んだのか分からないが、俺の拳はいつの間にか学長に掴まれていた。連打を止めた瞬間、一気に疲れが襲ってきた。俺はその場に倒れるように座り込んで息を整える。
「キグナス!」
マリアが俺と同じく倒れ込んだキグナスに駆け寄る。少しばかり意識の朦朧とした様子のキグナスだったが、マリアが少し揺さぶるとすっと目を開けた。
「ん…………そうか、僕は…負けたのか?予想もしてなかった、完敗だよ…ジェイク君。」
げっ!もう立てるのかよ!俺なんてまだ息も整ってねぇぞ!?完全にバケモンだわ意味わからんこいつ
「凄まじい連打だった、まさか僕の目にも追えない早さとは……完敗だよ、ジェイク」
「…おう。」
俺はキグナスの差し出して来た手をしっかりと握り返した。
はー……負けても爽やかな奴だねぇ。いけすかない奴だと思ってたけど、人に厳しくて自分には更に厳しい奴なんだと始めてキグナスの事が少しだけ分かった気がした。
俺だったらきっと格下の相手に負けたらこんなに清々しい態度はとれない。
キグナスは心も強いんだな。キグナスが俺の事を君付けではなく呼び捨てにして朗らかに佇んでいるのが、キグナスに対等と認められたようで少しだけ嬉しかった。
でも本当のところ、俺が勝てたのはプヨのお陰だよ、理屈は分からないけどプヨの煉獄剣と煉獄拳にはステータスを引き揚げる効果があったらしい。俺が強くなったわけじゃない、それがなければ俺なんてキグナスに一撃喰らわす事が出来たかどうかさえ怪しい気がする。
「これなら父も納得するだろう。良き夫婦としてこれから力を合わせていこうな、ジェイク」
……………………ん?
「キ、キグナス!」
マリアが妙に慌ててる。おかしいな、俺にはまるでキグナスと俺が結婚するみたいに言ったように聞こえたぞ?え?なに、意味が分からないんですけど
「ぷ……ぷよ?」
ほら、プヨまで混乱してるじゃないか。全くキグナスの野郎意味の分からんこと言いやがって。突然の事に俺がポカンとしてると段々とキグナスの爽やかな笑顔が歪んで来た。しばし無言の空気が流れる中、なんとなく気まずそうにシリウス学長が切り出した。
「えーと、ジェイク君?もしかしてキグナスさんの事よく知らない?」
「えっ、どういう意味ですか学長?」
「あのねぇ、ジェイク……キグナスは入学式の首席挨拶で『僕を倒せる男性が現れるまで女にはならない、僕が欲しければ倒してみろ。1度でも負ければ僕は潔くその人のものになろうじゃないか』って宣言して大騒ぎになったんだよ?覚えてないの?」
んんん?なにそれ……入学式なんて堅苦しくて俺、寝てたよ。自分の境遇を知って落ち込んでて式どころじゃなかったし……え?ていうか、キグナスって……女の子なの?嘘でしょ?だってこいつ男の格好してるし、確かに女みたいに綺麗な顔してるとは常々思ってたけどさ、え?あれ?女なの?キグナスって女の子なの?
「ジェイク……もしかして、キグナスが女の子だって事自体分かってなかった?」
「えっ、いやあのその……うん、まぁ」
「ぼ、僕はたしかに女らしい格好はしてないが……そんなに男っぽいか!?ムキムキに見えるか!?」
「えっ、いやっ、女みたいに綺麗な顔してるとは思ってたけど……」
「でも男だと思ってたんだろキサマー!」
おいおいおいキグナスの野郎……あ、野郎じゃねえや紛らわしいなキグナスのやつ怒りで体力回復してるし!こ、殺される!助けてプヨ!マリアと学長も苦笑いしてる場合じゃねーって!
ぎゃー!