ワタシは困惑
ここまでのことを整理しよう。
ワタシは人を殺した。ふたりも殺した。その証拠を消すためにいろんなことをした。その結果、事件発生から丸3日たってもワタシのもとに警察の手が届いていない。あの適当な証拠末梢が以外に利いているらしく犯人が未だにどんな人物なのかすらつかめていないらしい。だが、この事件の犯人を知る人物がひとりいる。それは見ず知らずの女子中学生。名前は山田ということだけ分かっている。ケータイの電話帳に登録されたその少女の名前を見てワタシはどうするべきか悩む。
何度事を整理しても悩むことは変わらない。このまま放置していても彼女はワタシがそう夫婦を殺した殺人犯ですっと警察に言うことはなさそうだ。だが、本当にこのままでいいのか。あの奇妙な鬼のような眼は明らかに普通ではない。あの鬼は今は何も危害を加えなくともいつかはワタシ自身にかみついてくる気がする。
殺してしまうべきなのか。だが、仮にあの少女、山田を殺したとしてワタシに利益はあるのか?老夫婦を殺したのはただの金が目的だった。対してあの山田という少女はどうだ。ただ、ワタシの証拠を掴まれてしまったということだけだ。明確であるようでワタシの判断を鈍らせる。まだ、ワタシよりも5、6歳も年下のまだまだこれからも未来のある子供だ。あの老夫婦とはワタシの殺しに対する決断力と行動力が大きく違う。それに・・・・・。
首に張られた絆創膏を撫でる。触れるとまだ痛みが出る程度の怪我。
この傷をつけたのは彼女だ。だが、これを張ってくれたのも彼女だ。優しさを見せたあの一面を知ってしまったせいで余計にワタシの判断を鈍らせる。惑わせる。
「連絡先を交換した割には1日何も連絡がないな」
無視すれば弱みを使った精神的攻撃が待っている。とにかく、現状をどうにかできない心境である以上少女、山田の言うことを聞いていくしかない。気付けば、日付はあの事件から丸々3日たっていた。早朝、新聞を配るバイクの音が聞こえる。新聞をとっている金の余裕のないワタシの家に新聞が届くはずもない。情報は決まってネットかテレビだ。
「ひと眠りするか」
布団に入り丸くなるのと同時にケータイが震える。バイブレーションは短いのでメールだ。
すぐに布団から手を出して内容を確認して跳び起きる。
「どういう風の吹き回しだよ」
少女、山田からのメールであった。その内容に驚きを隠せない。
『今日、デートしませんか?』
そう短く書かれていた。
その後すぐに11時に中学近くのショッピングモールに集合と書かれていた。
あの少女、山田はマジでデートする気なのだ。だが、仮にもワタシはふたりの人間を殺した殺人犯である。いくらなんでもやることがおかしすぎる。いくら弱みを握っているかと言って行動が大胆すぎる。ワタシとしてはあまり出歩きたくない。しかし、これを破ればどうなるのか容易に想像できる。
「ついてないな」
まぁ、おばさんには働きに行くと言えばここ2日間に渡した金の説明がつく分にはまぁ都合がいいか。
と前向きに事を考えていると再びケータイが震える。内容を見て呆れる。
「あいつは何がしたいんだ?」
内容はこうだ。
『ボクたち付き合わない?恋人になろうよ』
殺人を犯したワタシはその物的証拠握る少女に告白された。これを笑わずにいられるか?




