照れてんですか、夕凪さん?
「夕凪さん?まだ、読書中なの?」
「うん・・・」
そう、あれからすこしは進展したもののおれたちはまだ・・・。はぁ。
「終わった」
「今日は早いね。じゃあさ、どっかいかない?」
「本屋さん」
「本屋さん以外ね」
「じゃぁ・・・無い」
「そんな~。どっか、いきましょうよ~」
「じゃあ、海」
「海ですか~。なんか意外」
「この本に書いてあったから・・・」
「本?」
「うん。これ、おもしろいの」
そういった彼女の顔は一瞬だけどとても無邪気に見えた。
「じゃあ、自転車で行く?」
「うん」
「じゃあ、乗って」
「でも、自分の自転車あるし・・・」
「夕凪さんの力じゃ、いつまでたっても着かないでしょ」
「そんなことないもん」
そう彼女は頬を膨らませていった。なんか、ふぐみたいで可愛いかも。俺、結構つぼ。
「夕凪さんも怒るんだね」
「当たり前です。私だって人間ですから・・・」
「ははっ。でも、夕凪さんが少しずついろんな表情を見せてくれるようになって、なんかうれしい」
「そうなんですか・・・」
そういって彼女は頬を赤らめて目線をそらした。あっ、照れてる。照れてる~♪
「なんか、可愛いね」
「べっ、べつに・・・しょんな・・・」
動揺しすぎでしょっ。てか、ちゃんとしゃべれてないし。何か俺って、意外とSなのかも。
「それより、行こうよ。海」
「そうだね。そうしないと夕凪さんがゆでだこになっちゃうや」
「もう、明君ってば・・・」
「はははっ。さぁ、乗って」
「うん」
そういって彼女は俺の自転車の後ろに乗った。
「二人乗りっていいの?」
「さぁ。でも、いいんじゃない。青春っぽくて」
「そうだね・・・、うぁ。びっくりした。急にこがないでよ」
「へいへい。じゃあ、こぐよ」
「うん」
そういって俺たちは海へと向かった。そのとき、後ろからぎゅっと夕凪さんが俺に抱きついてきた・・・?
「明君、早いよ・・・。明君?」
やばい、俺何どきどきしてんだろ?
「明君、顔真っ赤だよ。もしかして、照れてるの?」
「べっ、別にそんなんじゃねーよ」
なんか、いじられてる?俺が、夕凪さんにいじられてる?なんて・・・シュールな光景なんだ。
そうして、俺たちはいじり、いじられ海へと向かった。