正気ですか、夕凪さん?
まぁ、なんだかんだで付き合うことになった。俺と夕凪さんだったが・・・・。
「夕凪さんってば~」
「今は読書中。黙ってて」
「でも俺、一応彼氏だし・・・」
「それはそれ。これはこれ」
「うっ・・・・」
俺は必死に夕凪さんに話しをかけるがずっとこの調子なのだ。このままではいけない。何か策を練らないと・・・・。夕凪さんと俺が理想の関係になれるような、策を。
そうして僕は、その作戦を練ることにした。まず、作戦その一だ。
「夕凪さん、お菓子いる?」
「いいの?」
おっ、かかった。かかった。
「うん、どうぞ」
「ありがとう、明君」
おっ、夕凪さんなんだかんだで俺の名前しってたんだ。何かテンション上がってきたぞ。
「夕凪さん、夕凪さん。夕凪さんは何のお菓子がすきなの?」
「アメ」
「女の子らしくていいね。俺も実はアメ好きなんだ」
「そう」
「アメっていえばやっぱりイチゴだよね」
「うん」
「夕凪さん?夕凪さんの中では、一単語で返事するのがはやってるの?」
「いいえ」
「だったら、もっとしゃべろうよ。トーキング、トーキング」
「変にテンション高い男は嫌われますよ」
なっ。夕凪さん・・・それはあんまりです。そう、それが夕凪さんが俺に発した最も長い言葉だった。
「じゃあ、メールで会話しよう」
これはあまり使いたくなかった作戦二だっ。
「携帯もってない」
「そうなんだ・・・」
会話終了。って、まじかよ。会話できねーじゃん。よし、こうなったら作戦三だ。
「夕凪さん、今日一緒にかえらない?」
「いいけど、読んでからね」
やったー。ついについにやりました、俺。
「夕凪さん本当にいいの?」
「うん・・・」
「やったーっ」
「そんなにうれしいの?」
「うん」
「そう・・・」
そういって夕凪さんははにかむように笑った。・・・もしかしてこれは、初スマイル?やった。やったぜ、俺。一歩前進だ。
そうして、俺たちの関係ははぎこちなくも少しずつ前にすすんでいくのだった。
「夕凪さん、明日も帰ろうよ」
「うん・・・」