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[現代恋愛女性向け・完結短編]死のうとしてたら拾われて幸せになりました。~30歳OLは死のうとしていたら漁師に拾われ溺愛される~

掲載日:2026/03/13

 曇りが空一面に覆われている海岸の上で、一人のスーツを着た30歳くらいの大人の女性が裸足で佇んでいた。


(もう死んでしまいたい。もう人生に疲れた)


 と、裸足でスーツを着た女性ー相園愛花は、自分の足下を見る。 愛花が居る場所は絶壁で、一歩踏み出せば数メートル下にある海に真っ逆さまだ。 愛花はその海をぼうっと見ているが、座り込み暫くその場で座っていた。(こんなに死にたいのに、怖いなんて。変なの)

 愛花は自分の足を確認すると小刻みに震えていることがわかった。 確かに多少は未練があるんだろう。でも、それを超えるぐらいに死にたい気持ちが勝手に出てきて、ずうっと漠然とした不安を抱えており愛花の人生をずっと苦しめてきた。


 勿論仕事も辞めたし、何もかも捨ててきた。貯金全部使い果たした。


 だから、実際に現場に行けば未練なくすぐ跳べるだろうと思っていた。


 ー私は…一体何がしたんだろう。私はどうして生きちゃいけないんだろう。そんな思いもないとはいえず、何か人生を研磨させなければいけない。何か高尚にならねばならない責務に取り憑かれ、それを叶えられない自分はゴミだと、愛花はずっと思っていた。


ーお前は幸せな人間だろ?感謝しろよ。お前の為だよ


 いつの日か、言われた言葉を思い出した。そして、愛花はその言葉に吐き気を催す。それは、自分の身近な家族に言われた呪いの言葉だ。


 愛花は自分の家族が苦手だった。しかし、愛してほしいという思いもあったせいで、嫌いにはなれなかった。愛花は家族から暴力を受けて育っていた。優秀な姉と比較され、テストの点数が悪いと父と母に殴られていた。姉は愛花に無関心であり愛花を助けることもせず、悠々自適な生活を過ごしていた。


 しかし、それなりに勉強したからか、3人と離れれた所に就職が決まり、そこで愛花は自分の人生をやり直そうと、頑張った。そして、仕事場で出会った人と婚約を決め、結婚する予定だったが、3年付き合った1人目の、男性は職場の後輩と浮気で破談。


 職場を変え、次はイベントで出会い、付き合った2人目の男は、行方不明に。そして、27歳最後に出会った男は結婚詐欺の男だった。


男性遍歴が、狂っており、幸せになりたいと強く願っていた愛花にとっては耐え難い苦痛であり、絶望ばかり経験してしまうと、歳を重ねる度に恐怖に震えて、つい先日29歳から30歳に上がった愛花は、何かがプツンと途切れ、もう死んでしまえ。という気持ちを強固にしてしまったのだ。


(どうせ、私は幸せになれない…)


 今までの記憶を振り返り、反芻思考に陥った愛花は自暴自棄になり、職場も捨て、貯金も使い込み、全てを失って、海にやってきた。


 そうだ。もう、何もかもやり直しが効かないんだ。だったら腹括ろう。私は生きてはいけないのだろうから。 


 そうして、愛花が飛び降りる、その時だった。


「おい!こんな所で何してんだ!やめろ」


 男性の怒鳴り声が聞こえ、愛花はびっくりし震えた。見ると、自分と同じ年齢ぐらいの男性が愛花の数メートル先に居た。


(まずい。警察を呼ばれる!)


 そう思うのも束の間、愛花は手を捕まえられ、引き寄せられる。


「お願い離して!」

「離してじゃねえ!何だお前海に飛び込むつもりか!?ここは公共の場だぞ!迷惑だ!」

「違う!!そうじゃない!!」

「そうじゃなくても、ここは人の立ち入り禁止なんだよ!ったく、警察に連れて行ってやる」 


 愛花はその一言にぞっとする。確かに愛花のいる所は立ち入り禁止の場所だった。それは、人がなるべく少ない場所を選ぶ為だった。


「いやっ…嫌だ!」

「ちょっと、ここで暴れるな」


 愛花はその事に恐怖し、思いっきり暴れた。


「嫌だっ!嫌だっ!離して!」 


愛花は抵抗をすると、手が離れた。


「やめて…、もう嫌だッッ」


すると、パニックになった愛花は、そのまま崖の上から飛び降りた。


「っ…!」


 空中に浮いた愛花は下を見る。すると、ふと又声が聞こえる。


ーあんたが消えて、せいせいした


 その言葉だけ耳奥に残ると、愛花はそのまま気絶してしまった。 


最終愛花は目が覚めた。そこは、病室だった。


「大丈夫か?」


 すると、男の焦った声が耳に届く。その男は、心配そうに愛花を見ていた。

「…えと」

「ここは病院だ。気絶したから俺が、救急車呼んだ。…すまないな。びっくりしただろ?…」


 …救急車…。 愛花は先程の出来事を思い出す。


「…いえ、ありがとうございます…助けてくれたんですね」


 必死に言葉を発する愛花。


「まあ…俺は。海斗って名前だ。近くで漁師をしてるんだ」

「…それで、あんな所に…」


海斗ーカイトーという男は、日に焼けた肌と、力強い腕を持つ漁師だった。


「どうしてあんな所にいたんだ?」


 海斗の問いかけに、愛花はこれまでの自分の辛い経験を打ち明ける。海斗は静かに愛花の話を聞き、何も言わずにただそばにいてくれた。


 それから数日、愛花は海斗の家で過ごすことになる。海斗は、毎朝新鮮な魚を捕ってきては、愛花のために料理を作ってくれた。素朴ながらも愛情のこもった料理は、愛花の心を温めた。海斗との穏やかな日々の中で、愛花は少しずつ自分を取り戻していく。都会の喧騒から離れ、自然の中で過ごす時間は、愛花にとって癒やしの時間だった。ある日、海斗は愛花に言った。


「都会に戻らなくてもいい。一緒にここに住まないか?」


 海斗の言葉に、愛花は驚きと感動を覚えた。


「仕事だって、ここで探せばいい。一緒に何か始めよう。」


 海斗の言葉に、愛花は決意を新たにする。


「うん。一緒に頑張ろう。」


二人は、海辺の小さな家で、新しい生活を始めることになった。

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