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好きと言わないための練習会 ――共有事項(昼)

※この作品は、

「好きです」と言わないための練習会の記録です。

会話と沈黙が中心になります。


「今日は、共有事項だけです」


彼女はそう言って、

珍しくホワイトボードに書いた。


――共有事項


「内容は一つ」

彼女は続ける。

「今後もしばらく、この形式で続けます」


「しばらく、ですね」

誰かが言う。


「はい」

彼女は頷く。

「期限は決めていません」


誰も不安そうな顔はしない。

むしろ、少し安堵の空気。


「形式は現状維持」

「議題は必要に応じて」

「発言は任意」


いつも通りの説明が、

今日は“決定事項”として並べられる。


「質問はありますか」


一瞬、間が空く。


「……特に」

誰かが言う。

「困ってないので」


「そうですね」

彼女は即答する。

「困っていないのは、良い状態です」


ホワイトボードの文字を、

軽く指で叩く。


「共有は以上です」

「解釈は各自に任せます」


それで終わりだった。


立ち上がるとき、

誰かが言う。


「もう、説明もいらないですね」


「ええ」

彼女は言った。

「皆さん、慣れていますから」


笑いは起きなかった。

でも、空気は軽い。


共有事項は、

共有されたというより、

置かれただけだった。


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