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好きですと言わない為の練習会 ――私的補遺 #01
※この作品は、
「好きです」と言わないための練習会の記録です。
会話と沈黙が中心になります。
昼の会議は、正しかったと思う。
“好きです”と言わない方法は、
確かに存在する。
言葉にしない代わりに、
距離を詰めることもできるし、
時間を共有することもできる。
それらは全部、
討論の中で整理された。
でも夜になると、
討論に出なかった意見が
静かに戻ってくる。
本当は、
伝わってほしい。
本当は、
勘違いでもいいから
気づいてほしい。
それでも、
“好きです”と言った瞬間に
この関係が
一つの答えに固定されてしまうのが怖い。
だから私は、
練習する。
言わないための練習を。
相手のいない場所で、
相手のことを考えながら。
成功条件は簡単だ。
明日も、
同じ雑談が続くこと。
失敗条件も簡単だ。
それでも、
少しだけ期待してしまうこと。
……特に問題はない。
問題があるとしたら、
これを問題だと思っていないことだけだ。
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